執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は87.32円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は81.07円前後で週初を迎えました。週末の間にベッセント米財務長官やラトニック米商務長官が米国の関税政策に対して強気な姿勢を示したことで、リスク回避の動きが強まり、豪ドル/円は86.04円前後、NZドル/円は80.21円前後まで下落しました。その後も米関税政策を巡る材料に振り回される展開となり、豪ドル/円は約5円のレンジ、NZドル/円は約4円のレンジの中で乱高下しました。なお、NZ準備銀行(RBNZ)は9日に政策金利を0.25%引き下げ3.50%にしましたが、市場が利下げを織り込んでいたこともあり反応は限定的でした(執筆時)。
豪雇用統計は失業率に注目
来週は17日(木)に豪3月雇用統計が発表されます。豪州の労働市場はこれまでかなり強い状況が続いていましたが、2月は雇用者数が-5.28万人となり強かった労働市場に陰りが見えました。3月分でこの雇用者数の減少が一時的なものなのかを確認することになります。もう一つの注目は失業率です。2月の雇用者数が大幅に減少したにもかかわらず、同失業率は4.1%で横ばいとなりました(労働参加率が低下したため)。そのため、豪中銀(RBA)は労働市場は引き続き逼迫していると評価しています。RBAのブロック総裁は4月1日のRBA理事会後の定例記者会見で、「RBAの目標はインフレ率を抑制し、失業率の大幅な上昇を回避すること」と語っています。仮に3月失業率が大幅に上昇していた場合には、現在4割近い5月RBA理事会での50bp(0.50%ポイント)利下げの織り込みがさらに進むことになりそうです。
また、同日にはNZ1-3月期消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場予想は前年比+2.3%(10-12月期 2.2%)となっています。RBNZのインフレ目標は1-3%なので、予想に反して2%を割り込むようだとRBNZの追加利下げを促す形でNZドルが売られることになりそうです。
【豪雇用者数の推移】
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円の目先の下値目途は今週7日と9日安値の86.04円前後になります。この水準は2023年3月の安値水準でもあるのでかなり意識されそうです。ここを下抜けた場合には、節目となる85.00円前後が次のサポートとなりそうです。一方上値は日足一目均衡表・転換線や同基準線が目先の目途となりそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ:AUD/JPY:85.00-91.00、NZD/JPY:80.00-84.00
4/14週のイベント:
04/14 (月) 未定 中国 3月貿易収支
04/15 (火) 10:30 豪 豪準備銀行(RBA)、金融政策会合議事要旨公表
04/16 (水) 07:45 NZ 3月貿易収支
04/16 (水) 11:00 中国 3月小売売上高
04/16 (水) 11:00 中国 3月鉱工業生産
04/16 (水) 11:00 中国 1-3月期四半期国内総生産(GDP)
04/17 (木) 07:45 NZ 1-3月期四半期消費者物価(CPI)
04/17 (木) 10:30 豪 3月新規雇用者数
04/17 (木) 10:30 豪 3月失業率
一言コメント:
4月になりました。新しいことを始めるにはちょうど良い時期です。我が家は息子が少年サッカーチームに入ることになったので、私はそのチームでお父さんコーチとして指導をすることになりました。楽しみです。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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来週の為替予想 豪ドル 円
第4週 5月12日(月曜日)のドル円見通し: 為替レート 139.21、 最高 141.30、最低 137.12。 5月13日(火曜日)のドル円予想: 為替レート 138.80、 最高 140.88、最低 136.72。
2027年2月の豪ドル円見通し。当月始値 86.26、最低 84.47、当月最高 87.05。平均 85.89。月末 85.76。変更 -0.6%。
AUDはハイリスクの通貨だと考えられています。しかし近年の動向としては、円安豪ドル高のため、投資家にとって最も安全な投資とされています。ターニングポイントとなったのは、COVID19へのオーストラリアの取り組みが「成功 」し、いち早くビジネスを再開させたことが要因となっているようです。
2028年7月のドル円予想。当月始値 158.53、最低 155.97、当月最高 160.73。平均 158.40。月末 158.35。変更 -0.1%。
2027年3月の豪ドル円予想。当月始値 85.76、最低 85.76、当月最高 89.65。平均 87.38。月末 88.33。変更 3.0%。
2028年3月のドル円予想。当月始値 148.21、最低 148.21、当月最高 154.95。平均 151.01。月末 152.66。変更 3.0%。
2028年8月の豪ドル円見通し。当月始値 94.68、最低 90.76、当月最高 94.68。平均 93.07。月末 92.14。変更 -2.7%。
2028年6月のドル円見通し。当月始値 153.91、最低 153.91、当月最高 160.91。平均 156.82。月末 158.53。変更 3.0%。
2026年7月のドル円予想。当月始値 130.43、最低 130.43、当月最高 135.25。平均 132.34。月末 133.25。変更 2.2%。
2029年1月のドル円予想。当月始値 165.74、最低 163.77、当月最高 168.75。平均 166.13。月末 166.26。変更 0.3%。
2026年9月のドル円予想。当月始値 137.25、最低 131.13、当月最高 137.25。平均 134.69。月末 133.13。変更 -3.0%。
金利差は為替レート変動における最大のドライバーですが、経済の安定性も為替レート変動の一因と言えます。為替レート変動における最大のドライバーは金利差ですが、経済の安定性も一因になっていると言えます。一般的に、市場リスクとボラティリティは、安全通貨としての円の需要を高めます。
2028年4月の豪ドル円見通し。当月始値 89.66、最低 87.63、当月最高 90.29。平均 89.14。月末 88.96。変更 -0.8%。
2026年5月のドル円予想。当月始値 125.58、最低 125.58、当月最高 131.29。平均 127.95。月末 129.35。変更 3.0%。
インフレ率が高くなると、外国為替市場での通貨は弱くなります。1990年のインフレ率は、日本は3.08%、米国は5.40%でした。その年のドル対円相場は、年末までに1ドル160円から135円にまで下落しています。2000年のインフ レ率は日本は-0.68%、米国では3.4%と、ドル対円相場は107.8円にまで下がっています。
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