「ドル/円」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平
X(Twitter) : https://twitter.com/gaitamesk_ueha
最新のマーケット情報まとめ
現状分析
現在のドル円相場は、トランプ関税と米中貿易摩擦に注目が集まっている
テクニカル分析では、2週連続の大きな陰線が出現し、142円割れを目前としている
142円を割り込むと、140円割れを視野に入れた相場展開になる可能性がある
三尊形成の可能性があり、ネックラインは140円付近
今週の注目ポイント
トランプ関税の行方
米中貿易摩擦:米国は中国に対して145%の関税、中国は米国に125%の関税を課している
ホワイトハウス報道官の発表:トランプ大統領は中国との取引に前向き
除外措置(4/11発表)
一部電子機器(スマホ、ノートPC等)が対象
これは一時的・手続き上の措置
これらの製品は「半導体」として分類され、米国内生産を促すための特別な関税が予定
半導体税
ラトニック長官によると1-2ヶ月後に発動の可能性
トランプ大統領は近日中(今後1週間)に決定を下す方針を示唆
経済指標
4/16のアメリカ3月小売売上高に注目
トランプ関税によるスタグフレーション懸念がくすぶる中、消費活動の動向が重要
今後の見通し
140円割れを試す可能性がある
短期的な目標:142円を割り込むかどうか
戻りがあっても146円を明確に突破しない限り、戻り弱い展開が予想される
上値抵抗は146円半ばから148円のゾーン
結論
トランプ関税と米中貿易摩擦への警戒が続く中、ドル円相場は下落傾向にあり、140円割れの可能性が視野に入ってきている。142円の水準が当面の焦点となり、これを割り込むと下落が加速する恐れがある。反対に戻りがあっても、146円を明確に突破しない限りは戻りが弱い展開が続くと予想される。経済指標やトランプ政権の関税政策の進展を注視することが重要
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『最新のドル/円相場を解説』
経済指標・イベントの結果について
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お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。

外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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本日のドル円は142円~144円80銭程度を予想します
3月初旬には、トランプ大統領が円安に不満を表明したこともあり、ドル円は150円を割り込む展開に。そして4月3日(日本時間)、新たに発表された追加関税政策が市場に衝撃を与えました。この関税強化策を受け、株価が急落し、リスクオフムードが急速に広がったことで、円買いが強まり、ドル安が加速する状況となりました。
ドル円(USD/JPY)は、主に147〜150円レンジで安定した動きを見せました。堅調な米国の経済指標やFRBの金融政策への思惑がドルを支え、日銀の利上げ姿勢が円安を抑える構図となりました。3月下旬にはレンジを上抜けし、151円をトライする場面もありましたが、4月3日(日本時間)の追加関税政策の発表で株価が急落し、リスクオフの円買いが急進し、ドル円は145円台に急落しました。
本日のドル円は142円~144円80銭程度を予想します。
ドル円相場は1月下旬に158円台を記録し、トランプ政権の減税、規制緩和、移民政策がインフレを高止まりさせ、FRBの利下げ終了観測を強めたことで「トランプトレード」(ドル高・金利高)が加速しました。共和党が上下両院を掌握する「トリプルレッド」状態も政策実行力を高めるとの見方から、ドル買いがさらに進みました。しかし、2月に入ると、関税政策が米国経済を減速させる懸念が浮上し、ドル高は一服。
今週訪米し、17日にベッセント財務長官と日本に対する関税措置について協議する予定の赤沢経済財政・再生担当大臣は先週末、ベッセント財務長官が非関税障壁として掲げている為替に関して交渉するかを問われ、「相手方が持ち出すことについて、最初から頭ごなしにシャットアウトすることは出来ない」と答え、その上で、「そうゆう話題が米国側から出れば、もちろんそれについて議論に応じることになる」と話していました。先週金曜日には、この発言がドル売りを誘いドル円が142円台まで急落するきっかけになりました。ドル円はその流れから、欧州市場の朝方には142円割れを試すような動きを見せ、約半年ぶりの円高水準を付けています。厳しい交渉が予想されますが、日本としても交渉に際して「てぶら」という訳には行かず、何らかの提案を示すことで25%の関税回避をはかる可能性もあります。その「土産」に為替問題が入るかもしれません。前財務長官のイエレン氏は「為替は市場が決めるもの」というスタンスを堅持していましたが、ベッセント財務長官のスタンスはいまいち読み切れません。いずにしても、今週が「ヤマ場」になりそうな気配です。
以上の要因を踏まえ、筆者は関税政策による米国景気減速懸念とリスクオフの円高圧力が当面続くと考えます。年初2025年のドル円予想レンジを140〜160円と見ていましたが、トランプ政権の政策運営をここまで見てきて、年央にかけて140円台前半を試す展開を想定し、年末までには130円台への突入の可能性もあると見ます。
一方、日銀は緩やかな利上げ姿勢を維持しており、仮に円安が進む局面では日銀の利上げ観測が強まるでしょう。これはドル円の上値を抑える要因となりそうです。
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