シカゴIMM通貨先物ポジションの推移から為替市場の全体的な状況と投資マインドを読み解きます。
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部 中村勉
目次
ドル/円
IMMポジション ドル/円
ポイント
【円ネットロング大幅に増加】
4月8日時点で円のポジションは、ドルに対して約14.7万枚の買い越し(ネットロング)。
ロングが大きく積み増され、ショートが大きく取り崩されたことから、ネットロングは前週から約2.5万枚増加し。ネットロングは過去最大となった。
期間中のドル/円相場は、米国による予想以上に厳しい内容となった相互関税の公表を受けて一時144.55円前後まで下落した。
トランプ関税の影響で米経済が「リセッション(景気後退)」に陥るとの懸念から、投機筋は円先高観を強めているようだ。
ユーロ/ドル
IMMポジション ユーロ/ドル
ポイント
【ユーロネットロング増加】
4月8日時点でユーロのポジションは、ドルに対して約6.0万枚の買い越し(ネットロング)。
ロングが積み増され、ショートが取り崩されたことから、ネットロングは前週から約0.8万枚増加した。
期間中のユーロ/ドル相場は、トランプ政権の厳しい相互関税を受けてドル売りが強まると、一時約半年ぶりとなる1.11ドル台まで上昇したが、トランプ大統領が関税政策について交渉に応じる姿勢を示したことで1.09ドル台まで押し戻された。
米国の関税政策を巡り、米国に対する市場の信認が低下していることがドル売りの一因で、投機筋はユーロ先高観が強めたようだ。
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IMMポジション
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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大口投資家の動向は ドル円 トランプ関税に翻弄される
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のリー・ハードマン氏は、市場は安心するだろうと述べ、「トランプ氏が今後発表する関税で生じるドルの上昇リスクが、さらに弱まる効果があるはずだ」と述べた。
ニューヨーク原油先物相場は続伸。トランプ米大統領がベネズエラ産原油を購入する国に関税を賦課すると警告したことから、短期的な需給引き締まりへの懸念が強まった。
24日の米株式相場は上昇。これまで売り込まれていたハイテク株に買いが入った。米関税政策がより的を絞ったものになるとの見方から、この日は買い先行で始まったが、トランプ大統領が多くの国に軽減措置を認めるかもしれないと述べたことから、上げ幅を拡大した。
ドルは対円で一時150円76銭まで上昇。 日本の3月PMI速報値は予想外に悪化した。
トランプ氏は「ベネズエラから石油やガスを購入する国は例外なく、米国との取引すべてにおいて25%の関税支払いを義務付けられる」と投稿。移民やギャングの問題を理由に上げた。
商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、18日終了週の大口投機家による建玉(未決済約定)残高は、昨年11月のトランプ氏当選後で初めてドル売り越しに転じた。
——世界経済がトランプ関税に翻弄されています。相互関税の発表後、世界同時株安となりましたが、トランプ大統領はこれほどのマーケットの波乱を想定していたのでしょうか。
ただし、マーケットの暴落がどれくらい続くのか。トランプ政権はマーケットの落ち込みを大手術後の一時的な落ち込みとし、体力が回復してくれば上向くと楽観的な見込みをしていますが、トランプ大統領にとっての最重要な課題は来年2026年11月の中間選挙で勝つことです。そのため来年に入ってもマーケットが回復してこないと国内の批判が集まり、選挙に勝てません。そのため、関税の旗をいつ下すのか、逆算して見極めていく必要があります。
金スポット相場は3営業日続落。朝方には、トランプ米政権が次に発動する一連の関税はこれまでに示唆されていたよりも的を絞ったものになりそうだとの見方から、金は上昇していた。
米関税措置が的を絞ったものになる可能性が浮上し、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数はこの日の朝方、0.2%下げる場面もあった。
ティグレス・ファイナンシャル・パートナーズのアイバン・ファインセス氏は「売られ過ぎの水準からの上昇は続きそうだ。関税の影響が少しでも和らぐ可能性が出てくれば、相場上昇のきっかけになるだろう」と解説。「現在の下落局面における最悪期は過ぎたと判断しているただ来月頭にはトランプ関税の結果次第で乱高下しやすい状況が続くだろう」と述べた。
取引終盤にトランプ大統領が相互関税について、多くの国に軽減措置を与えるかもしれないと述べたが、米国債相場の軟調に変わりはなかった。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物5月限は、前営業日比83セント(1.2%)高の1バレル=69.11ドルで終了。69ドル台で終えるのは2月以来となる。ロンドンICEの北海ブレント5月限は1.2%上げて73.00ドルちょうどで引けた。
今後の焦点は、関税政策の旗をいつ降ろすのかということです。トランプ大統領は製造業の復活を掲げて、関税政策で企業に米国内へ投資させることを狙っています。一時的な関税であれば企業は投資しないので、トランプ大統領は恒久的な関税とする旗をしばらくは下ろさないでしょう。
ドル指数はこの日の上昇分をほぼ消す展開。トランプ米大統領が相互関税で軽減措置の可能性に言及したことが影響した。主要10通貨の中では円のパフォーマンスが最も弱い。日本の業購買担当者指数(PMI)指数が低下したほか、日本銀行当局者による利上げに関する発言が意識された。
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