円高にもかかわらず日本株は米国株ほど下落していない【外為マーケットビュー】
動画配信期:公開日から2週間
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
市場予想動画の要約・まとめ
為替市場の最新動向
昨日の市場はリスクオフムードが強まり、ドル円相場は142円の重要な心理的節目を割り込む展開となった
現在の為替レートは141.73円付近で推移しており、ドル売りの勢いが加速している状況
中国が「アメリカが誠意を示し、交渉相手を正式に指定すれば貿易交渉に応じる」との姿勢を示した時点で、一時的にドル円が上昇する場面も見られた
この発言を受けて株式先物も一時上昇したが、総じて日経平均先物は下落トレンドを維持
金価格は3,300ドルまで上昇し、ドル売り・金買いの典型的な動きが強まっている
今日のセッションでは、ドル円が140円台を維持できるかどうかが最大の焦点となっている
米国経済指標の詳細分析
米国小売売上高は前月比で1.4%上昇(前月0.2%から大幅増加)し、市場予想を上回る結果
前年比では3.5%から4.6%へと力強い伸びを示した
特筆すべきは自動車販売の急増:前月比-1.6%から5.3%へ、前年比では2.3%から8.8%へと劇的に上昇
アナリストたちはこの現象を「関税適用前のパニック買い」と分析しており、消費者がトランプ政権の関税政策実施前に駆け込み購入している可能性を指摘
自動車を除いた小売売上高(リテールコントロール)は前月比1.3%から0.4%に低下しており、基調となる消費には勢いが見られない
鉱工業生産も前月比0.8%から0.3%に減速、前年比でも1.45%から1.34%へと低下
製造業生産に関しても1%から0.3%へと減速が鮮明になっている
中央銀行の金融政策スタンス
カナダ中央銀行は政策金利を予想通り据え置く決定
CPIの低下から0.25%の利下げ観測もあったが、実現しなかった
中銀総裁は記者会見で「関税措置の影響を見極めたい」「状況がより明確になるまで慎重な政策決定を進める」と述べ、明確にハト派的なスタンスを示した
さらに「必要があれば6月に50ベーシスポイントの利下げに応じる用意がある」との質問に対して、「柔軟かつ迅速に対応する」と回答し、大幅利下げの可能性を否定しなかった
このハト派的な姿勢を受けて、ドル/カナダは下落する展開となった
一方、パウエルFRB議長は「パウエルプット(市場急落時の中央銀行による介入)をすぐには発動しない」と明言
「最近の市場変動はトランプ政権による関税政策の劇的な転換を論理的に消化しているだけであり、市場ストレスの兆候は見られない」と分析
市場急落時の利下げ(FRBプット)可能性に関する質問に対して「説明を添えてノー」と回答し、早期利下げに否定的な立場を表明
この発言を受けて市場はさらに下落する展開となった
株式市場の展開
東京時間朝方から米国株先物(CFD)はギャップダウンで寄り付き、アジア時間中も下落基調が続いた
この下落の主な要因はNVIDIAが中国向け半導体関連で55億ドルの費用計上を発表したこと
新たな規制対応によるコスト増が嫌気され、テクノロジー関連株が時間外取引で大幅下落
中国の貿易交渉に関する前向きな発言を受けて一時的に反発する場面もあったが、ニューヨーク時間に入ると再び下落基調に
パウエルFRB議長の発言後にさらに下落幅を拡大し、特にテクノロジー関連株が総崩れとなった
NVIDIAは6.9%の下落と大幅な調整となった
日経平均先物は一時3万4000円台に上昇する場面もあったが、その後下落
興味深いのは、円高にもかかわらず日本株は米国株ほど下落していない点
日本企業の円高耐性が向上している可能性も示唆される
本日はTSMC(台湾積体電路製造)の決算発表が予定されており、半導体セクター全体に影響を与える可能性がある
日米貿易交渉の最新状況
(動画収録時)赤沢経済大臣とアメリカ側の交渉が進行中であり、トランプ大統領も同席している状況
この交渉はドル円相場に大きな影響を与える可能性があり、市場関係者の注目を集めている
日本側がすぐに結論を出すことは難しく、「トランプ大統領の要求リストを持ち帰って検討する」という展開になる可能性が高い
しかし、米国側が早期の回答を迫る場合、さらなる円高圧力となる可能性もある
石破首相体制下での初めての重要な日米交渉となり、その対応が注目される
今後の市場見通し
ドル売りの流れが継続する中、ドル円が140円台を維持できるかが当面の焦点
テクノロジー株の調整が続くかどうかも重要なポイント
日米貿易交渉の進展は市場センチメントに大きな影響を与える可能性
中央銀行のスタンスと実際の政策行動のギャップに注意が必要
米国経済指標の詳細分析から、底堅さと脆弱性の両面が見える状況
自動車の「関税前パニック買い」のような一時的要因を除いた場合の実体経済の状況把握が重要
金価格の上昇傾向はリスク回避姿勢の強まりを示しており、地政学的リスクへの警戒も必要
結論
ドル売りの流れが加速する中、円高進行で140円台維持が焦点となっている。日米貿易交渉の行方が市場の方向性を左右する可能性が高い。米国では自動車の「関税前パニック買い」という一時的要因が経済指標を押し上げているが、基調となる消費には停滞感が見られる。中央銀行は概ね慎重な姿勢を維持しているが、カナダ中銀はハト派的スタンスを強め、一方でFRBは早期の政策対応に否定的な姿勢を示している。石破首相体制下での日米関係の舵取りが今後の為替市場に大きな影響を与えるだろう。市場参加者は経済指標の実態と市場心理のバランスに注視する必要がある。
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YEN蔵 氏
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。YouTubeなどで個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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4 17 FX
まずは少額からFXを始めたい方に朗報!これまで、通貨ペアごとに「1,000通貨」「1万通貨」「10万通貨」が最小取引単位でしたが、2025年4月中を目途に「1通貨」からお取引が可能になる予定です。
日本時間21時~翌6時(冬時間は22時~翌7時)はニューヨーク時間と呼ばれ、22時30分には米国株式市場がオープンします。この時間は為替市場にとって重要な時間帯でトレンドが発生しやすいと言われており、重要な米国の経済指標が発表されることがあります。24時には「オプションカット」と言われる通貨オプションの権利行使期限が設定されているため、これに絡んだフローが出る場合があります。また翌2時まではロンドン市場と重なっているため、取引参加者も多く値動きも期待できます。また日本時間翌1時にはロンドンフィキシングと呼ばれる金のスポット価格や対顧客市場の仲値が決められる時間であることから、この時間に絡んだ実需筋の売買動向が相場を動かす要因の一つとなります 。
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為替市場の取引時間は平日24時間ですが、時間帯によってそれぞれ特徴があります。この特徴はマーケットの中で実需筋と呼ばれる参加者が取引することも理由の一つで、日によって短期の相場の流れを作る場合もあります。ここでは主要な3市場をそれぞれ解説していきます。
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第123号 加入協会 日本証券業協会 金融先物取引業協会 第二種金融商品取引業協会 日本投資顧問業協会 トレイダーズ証券は、上場企業トレイダーズホールディングス(スタンダード市場上場8704)の100%子会社です。
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