【最新号】
オーストラリアの通貨「豪ドル」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
豪ドル(AUD)トレードに関わる現在までの相場トピック
本日10:30 豪3月雇用統計発表!
・3月20日発表の豪2月雇用統計は、雇用者数が市場予想(3.00万人増加)に反して5.28万人の減少だった。失業率は4.1%で予想通り前月から横ばい。労働参加率は66.8%だった。
・NY原油先物市場は反発。終値は前日比+1.14ドルの1バレル=62.47ドル(4月16日)。
・4月1日に豪準備銀行(RBA)は金融政策決定会合を開催。政策金利を4.10%で据え置いた。声明では前回の声明にあった「追加利下げには慎重」という文言が削除されるなどややハト派的になった。
・4月1日に発表された豪2月小売売上高は前月比+0.2%と市場予想通(+0.3%)を下回った。
・3月26日に発表された豪2月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.4%(予想:+2.5%、前月:+2.5%)だった。また、2月CPIトリム平均は+2.7%で前月(+2.8%)から伸びが縮小した。 1月29日に発表された、豪10-12月期CPIは前年比+2.4%(予想:+2.5%、前四半期:+2.8%)で予想以上の鈍化だった。また同CPIトリム平均は前年比+3.2%だった(予想:+3.3%、前四半期:+3.6%)。
今日の豪ドル(AUD)トレード メインシナリオ
豪雇用統計 RBAの注目は失業率?
豪州の労働市場を見ると、2月の豪雇用統計では雇用者数が-5.28万人と2023年12月以来の大幅な減少だった。内訳を見ると正規雇用者数は-3.57万人、非常勤雇用者数も-1.70万人となっており、正規、非常勤の雇用者数がともにマイナスに陥るのは2021年10月以来のことだ。労働市場の悪化は豪準備銀行(RBA)の追加利下げの材料になり得るが、今のところRBAは2月の豪雇用統計の結果をあまり材料視していないようだ。その背景には、高年齢の労働者を中心に労働参加率が低下したことで、失業率は4.1%で前月から横ばいだったことや、大幅に悪化した雇用者数についても季節的な要因の可能性が高いとの見方を示しているためだ。実際に4月1日のRBA理事会では政策金利が4.10%に据え置かれている。
本日は豪3月雇用統計が発表される。RBAの見立て通り、雇用者数の減少は一時的なものだったのか。そして失業率は悪化していないか。そういった点に注目したい。仮に雇用者数、失業率ともに悪化を示した場合には、RBAの追加利下げ期待が高まり豪ドルは売りで反応することになりそうだ。
豪ドル/円 最新チャート分析
今後の注目材料
日米株価動向
10:30 豪3月雇用統計
「ぴたんこテクニカル」内「お天気シグナル」の分析結果
外為どっとコムのテクニカル分析ツール「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」では豪ドル/円は曇り、豪ドル/米ドルは雨。7時に豪ドル/円のRSIでシグナルが点灯。
【情報提供:外為どっとコム】
<「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」 詳細はこちら>
- ※ 「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」とは、選択した通貨ペア・足種に対して、複数のテクニカル分析を行った結果をパネル形式で一覧表示することにより、直感的に相場状況を把握することができるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(パソコン版)/(スマホ版)では「取引分析」 を選択することで、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況をチャート上に表示が可能です(「外為注文情報」)。
- ※ なお「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」や、「外為注文情報」は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家ご自身でなさるようお願い致します。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。

外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
こうした豪ドル安はFX市場での円高の影響が大きい
このためドル円相場の今後の見通しは、円高やトランプ氏の動向から受ける影響が大きくなりそうだ。9日のドル円相場は1ドル=149円台後半で推移しており、円高進行にはブレーキがかかっているが、日本銀行が18、19日の金融政策決定会合で利上げするとの期待が強まっていけば、豪ドル円相場では豪ドル安となって現れる可能性もありそうだ。
またトランプ氏は12月5日夜に中国大使としてデービッド・パデュー元上院議員を中国大使として指名。米政治メディアのポリティコによると、パデュー氏は中国大使候補となっていた3人の中で最も中国に対する強硬姿勢が厳しいという。6日のニューヨーク市場での豪ドルの対ドル相場は0.96%の豪ドル安だった。
豪ドル円相場(AUD/JPY)の6日の終値は1豪ドル=95.87円。ブルームバーグによると、前日比0.99円の豪ドル安で、9月16日(94.94円)以来の豪ドル安水準となった。2週間前の11月22日(100.61円)との比較では、4.71%の豪ドル安が進んだことになる。12月9日午前の東京市場でも95円台後半で推移している。
こうした豪ドル安はFX市場での円高の影響が大きい。ドル円相場(USD/JPY)の6日の終値は1ドル=150.00円で、2週間で3.19%の円高となった。また、FX市場では同じ2週間で、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)が1.69%の豪ドル安に振れている。豪ドルの対ドル相場は12月に入ってから、円やポンド、ユーロの対ドル相場と比べて下落傾向が目立っている。
豪ドルの下落圧力として働いているのはトランプ氏の動向だ。トランプ氏は11月30日夜にSNSへの投稿で、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカで構成されるBRICSが独自通貨の発行を目指すことを牽制。基軸通貨であるドルに対抗する動きがあれば、「これらの国は100%の関税に直面する」として米国市場から締め出す考えを示した。オーストラリア経済は中国との関係が強く、FX市場では中国経済の悪化は豪ドル安の見通しを強めるとみなされてきた。週明け2日の豪ドルの対ドル相場は前週末比0.57%の豪ドル安となった。
豪ドル円相場で豪ドル安が急進している。6日のニューヨーク市場の終値は1豪ドル=95ドル台で、9月中旬以来の豪ドル安水準。直近の2週間で4.7%の豪ドル安が進んでいる。ドル円相場で進行する円高に加え、アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が繰り返す中国との対決姿勢がオーストラリア経済の見通しを悪くするとの懸念も背景にある。一方、オーストラリア準備銀行(RBA)は9、10日の理事会で政策金利の維持を決める見込み。豪ドル円相場の今後の見通しは円高の行方とトランプ氏の言動に左右される度合いが大きくなりそうだ。
コメント