
本日はドイツやフランス、英国などが聖金曜日(グッドフライデー)の祝日。米国は連邦祝日ではないものの、株式・債券・商品市場は休場だ。為替は取引されるが、市場参加者が少ないなかでは動意は高まりづらいだろう。本邦勢の取引終了後は流動性が一層低下し、スプレッドも広がることが見込まれる。
流動性が極端に悪くなるなかで、注意すべきはやはりトランプ米大統領だろう。昨日はメローニ伊首相がホワイトハウスを訪れた際、トランプ大統領は欧州連合(EU)との貿易合意に自信を示した。「公正な合意になる」と同大統領は発言していたが、これまでの流れを考えると「公正=米国側に優位」という意味に捉えてほうが良いだろう。トランプ氏が「急いでいない」と述べていることからも、EUへの圧力を今後も強めていくのではないか。
中国に対しては、トランプ大統領から「中国と関税巡り協議している」「中国と取引するつもりだ」と両者の溝が埋まりつつあることを強調している。米中は互いに100%以上の高関税をかけあい我慢比べの様相となっているが、両国のリーダーは自らが歩み寄ったという弱腰の姿勢は見せたくないはずだ。ここからは通商担当者のまとめ方が重要となってくるだろう。
ほか気になるのは、一部通信社が伝えた欧州当局トップの「米国債の安全資産としての地位を疑問視」という見解。足もとで債券市場は落ち着きを取り戻したものの、トランプ関税をきっかけとしたパニック売りは記憶に新しい。変わりつつある米国債への見方はドルの信認にも関わるため、債券市場の動向や関連報道には注意しておきたい。
想定レンジ上限
・ユーロドル、14日高値1.1425ドル
想定レンジ
・ユーロドル、16日安値1.1281ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
このため 前回の見通しを修正する必要が出てきた
最後に、今年の年末に向けたドル円(USD/JPY)の見通しについて考察したい。
前回のレポートでは、アメリカ大統領選挙でトランプ候補が勝利をおさめても、パウエルFRBによる大幅利下げが米ドル高圧力の後退要因となり、緩やかな米ドル安へ転じる見通しを示した。
前回のレポートでは、アメリカ大統領選挙の結果が米ドル相場に与える影響と今年末に向けてドル円(USD/JPY)がどうような展開となるのか?について考察した。しかしレポートを掲載した直後、2つの大きな動きがあった。このため、前回の見通しを修正する必要が出てきた。
10月7日のIG為替レポート「ドル円の週間見通し 米雇用統計の衝撃、米利下げペースの思惑とドル安シナリオの修正、ドル円は150円が再び視野に」で述べたとおり、解散総選挙(10月27日投開票)後も政治サイドから追加利上げに対するけん制が相次げば、今年末に向けて再び円安が進行するシナリオも用意しておきたい。
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