
今週のNY市場は決算発表に注目。先週は金曜日がグッドフライデーの祝日のためNY市場が休場で4日間の取引だったが、ダウ平均が2.66%安、S&P500が1.50%安、ナスダック総合が2.62%安とそろって大幅に反落した。週明け14日はトランプ米大統領がスマートフォンやコンピューター、半導体などを「相互関税」の対象から除外すると発表したことで、トランプ関税への過度な警戒感が和らぎ上昇してスタートしたが、関税を巡る不確実性が意識されたことや、米政府の中国向けAI半導体の輸出禁止に絡んで巨額の費用計上が嫌気されたエヌビディアが大幅安となったこと、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が早期利下げについて否定的な見解を述べたこと、ダウ平均採用銘柄のユナイテッドヘルスが急落したことなどが重しとなった。休場前の木曜日引け後に決算を発表したネットフリックスは市場予想を上回る第1四半期決算発表が好感され株価は時間外で約3.5%上昇した。
今週はトランプ関税による景気の先行き不透明感が引き続き相場の重しとなることが予想される中、発表が集中する第1四半期決算が焦点となりそうだ。マグニフィセント・セブン銘柄のテスラが火曜日引け後に、アルファベットが木曜日引け後に決算を発表するほか、GEエアロスペース、ロッキード・マーチン、3M、ボーイング、AT&T、チポトレ・メキシカン・グリル、IBM、メルク、プロクター&ギャンブル、インテルなどS&P500採用の120社以上が発表予定で、決算内容やガイダンスに注目が集まる。経済指標は3月景気先行指数、4月S&Pグローバル製造業・サービス業・総合PMI速報値、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、3月耐久財受注のほか、MBA住宅ローン申請指数、3月建設許可件数改定値、3月新築住宅販売件数、3月中古住宅販売件数など住宅関連指標の発表も多い。
今晩の米経済指標・イベントは3月景気先行指数など。企業決算は寄り前にNVR、引け後にW.R.バークレーなどが発表予定。(執筆:4月21日、14:00)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY株見通し今週はテスラ アルファベットなどの決算発表に注目
・2025年12月期の業績ガイダンス中央値は、売上が前年比13%増、調整後EPSが同8%増と堅調維持の見通しです。医療保険部門はトランプ政権による規制緩和の恩恵を受ける見込みで、同社が中期目標としている13~16%の売上拡大の実現確度を高めると期待されています。
JETRO(日本貿易振興機構)の試算によると、実際に今回のトランプ関税が実行されると世界全体のGDP(国内総生産)が0.3%押し下げられる見通しです。
・1-3月期の業績ガイダンスは、売上が前年同期比11%増、EPSは同6%増で、前四半期から伸びが鈍化の見通しです。しかし、米国では平均13%の値上げを予定しているため、先行きの売上は再度加速すると期待されます。トランプ関税の影響を受けにくい成長銘柄として注目を集めやすいと考えられます。
フェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズ(META)は今後も同社のAIが幅広く利用され、長期的な優位性を保てる見通しを示したことで前週末比6.44%高。
2024年10-12月期の中国事業とiPhone販売は減収となったものの、今後の業績がそれほど落ち込まない見通しを示したアップル(AAPL)も5.93%の上昇。
1-3月期決算は、S&P500指数採用銘柄のEPSが前年同期比7.3%増と堅調の予想です(FactSet社集計、4/11(金)時点)。ただし、関税による影響の不透明感を受けて会社の業績見通しは慎重になることが見込まれ、それにどのように反応するかがポイントとなりそうです。
・同社の株価は昨年12月に幹部が射殺され、医療保険金の支払い慣行について当局から調べを受けたことで低迷していました。一方、先週にはMedicare(公的医療保険制度)向け医療保険の規制が緩和する見通しとなったことから上昇モメンタムが強まりました。関税に関係なく、景気感応度も低いことによる物色も後押しとなっているようです。
現在、S&P500構成企業の2025年通期EPS(1株当たり利益)コンセンサスは、前年比7.26%の伸びを見込んでいます。また、第2四半期(6月期)についても、前期比5.42%の増益が予想されています。2025年初の成長見通しは11%の伸びでしたが、これまで下方修正が起きています。
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