
本日のNY為替市場のドル円は、24日に開催予定の日米財務相会談での為替協議やパウエルFRB議長の解任への警戒感から下値を探る展開が予想される。
注目されているIMM通貨先物の非商業(投機)部門取組の円のネット買い持ちポジションは、15日の時点で171,855枚(前週比+24,788枚)と過去最大規模を更新中であり、ヘッジファンドなどの投機筋による円高の射程の長さが窺える。
シカゴ筋が円の売り持ちポジションから円の買い持ちポジションに転換したのが155円付近、152円付近では過去最大の買い持ちポジションとなり、先週の141円台でも手仕舞うことなく、ポジションを拡大させている。
ドル円は、161.95円を頭とするヘッド・アンド・ショルダーを形成中だが、ネック・ライン(140.25円~139.58円)を割り込んだ場合、米多国籍企業や本邦機関投資家によるヘッジ売りが持ち込まれる可能性には警戒しておきたい。
ドル円の売り要因としては、以下の通りとなる。
1)トランプ関税による関税スタグフレーション懸念により、米連邦公開市場委員会(FOMC)での早期の追加利下げ観測が高まっている。
2)米中貿易戦争の激化により、中国による報復措置としての米国債売却など、トリプル安(株安・債券安・ドル安)でのドル離れ懸念が高まっている。
3)トランプ米大統領がパウエルFRB議長の解任を目論んでいる。
4)トランプ米政権が貿易赤字削減の手段として、トランプ関税に続き、ドル安誘導(※プラザ合意II、マールアラーゴ合意)を目論んでいるのではないかとの憶測が高まっている。
24日に開催予定の日米財務相会談では、ベッセント米財務長官が加藤財務相に対して、ドル売り・円買い介入や日銀による早期追加利上げによるドル安・円高誘導を迫るのではないか、との警戒感が高まっている。トランプ大統領は貿易の妨げになる「非関税障壁」のひとつに「為替操作」を挙げている。
G20財務相・中央銀行総裁会議でのベッセント米財務長官と植田日銀総裁の接触にも警戒しておきたい。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の追加利下げ時期は、6月米連邦公開市場委員会(FOMC)(▲0.25%=4.00-25%)と見込まれており、年内4回の利下げで12月のFF金利誘導目標は3.25-50%と見込まれている。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、143.08円(4/17高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、139.58円(2024/9/16安値)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通しドル円 24日の日米財務相会談やFRB議長解任への警戒感から下値を探る展開
ドル円の下落局面で注目したいのが、節目の140.00の攻防である。このラインは、2023年12月と2024年9月に二度の下落相場を止めた経緯がある。今回の下落相場も止めトリプルボトムとなれば、強い反発(調整)のシグナルとなろう。しかし、現在の外為市場ではトランプ関税リスクに起因した米ドル安トレンドが進行している。この流れが変わらない限り、140.00ブレイクの方を警戒したい。
ドル円は続伸。終値は152.49円と前営業日NY終値(152.00円)と比べて49銭程度のドル高水準だった。米長期金利の指標となる米10年債利回りが4.54%台まで上昇すると円売り・ドル買いが先行。前日の高値152.54円を上抜けて一時152.61円まで値を上げた。
ユーロ円も続伸。終値は158.01円と前営業日NY終値(156.67円)と比べて1円34銭程度のユーロ高水準。英独株価指数が連日で史上最高値を更新する中、リスク・オンの円売り・ユーロ買いが優勢となり一時158.19円まで値を上げた。
11日のニューヨーク外国為替市場でユーロドルは4営業日ぶりに反発。終値は1.0361ドルと前営業日NY終値(1.0307ドル)と比べて0.0054ドル程度のユーロ高水準だった。マン英中銀金融政策委員会(MPC)委員が「将来も継続的な引き締めを支持」などと発言したことを受けてポンドドルが一時1.2455ドルまで上昇すると、ユーロドルにも買いが波及。英独株価指数が連日で史上最高値を更新する中、リスク・オンのユーロ買い・ドル売りも入った。
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