止まらぬドル離れ。米国株式市場、パウエル発言で揺れる不安心理(今週の米国株・FX見通し)田嶋智太郎氏 2025/4/21 #外為ドキッ

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止まらぬドル離れ。米国株式市場、パウエル発言で揺れる不安心理(今週の米国株・FX見通し)田嶋智太郎氏 2025/4/21 #外為ドキッ
 

このレポートの概要:米国株式市場と外国為替市場の最新動向と分析
金融マーケットで永く情報発信を行っている田嶋智太郎氏が、米国株式市場の最新動向を詳しく解説します。

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リスクマネーは米国からの逃避を続ける…市場には不安心理が色濃く漂う

先週の米国株相場は「パウエル絡み」のニュースに上値が押さえられた感が強い。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は16日、シカゴでの座談会で「一部の人々は株式市場が急落した場合にFRBが介入する”FRBプット”を信じているが、彼らは正しいか」と問われたところ「説明付きでnoと言っておこう(I’m gonna say no with an explanation)」と返したと伝わる。株式市場は、その一言に強い売りで反応。一部からは「説明付き(explanation)」を「絶対に(exclamation)」と聞き間違えたとの声も聞かれ、そもそもややカジュアルな感じの返答であったことも考えれば、この日の株価下落はかなりの過剰反応であったと言わざるを得ない。むろん、議長の対応も少々不用意ではあったと思われるが、それだけ目下の市場には不安心理が色濃く漂っているということでもある。

加えて、翌17日にはトランプ米大統領が「パウエル議長の解任は早いほど良い」などとソーシャルメディアに投稿し、それがまた市場で嫌気される始末となった。

続く”米国離れ”の流れ

こうした”茶番”を日々見せつけられれば、大切な手持ち資金を米国の株式や債券、ドルなどに投じる気が失せるのも道理であり、なおも”米国離れ”の流れは続く。

そんななか、ボストン連銀のコリンズ総裁が「FRBは間違いなく安定化を支援する準備がある」と述べたり、ベッセント米財務長官が「パウエル議長とは毎週、朝食会で意見交換している」、「仮にFRBが何もしなかった場合でも、米財務省が大きなツールキットを持ち備えている」と述べたりしていることがせめてもの救い。いずれ、行き過ぎた悲観の反動が生じてもおかしくないものと思われる。

とまれ、目下のところS&P500種は5500ポイントの手前で上値を押さえられながらも、5300ポイント割れのところでは下値の堅さが感じられるようになっており、少なくともここから下に攻めに行くことには慎重でありたいと個人的には考える。やはり当面は、なおも水準を切り下げてくる25日移動平均線までの戻りを幾度も試しながら、いま暫しもみ合いを続ける公算が大きいと見ておきたい。

 

止まらない!ドル離れ

先週、トランプ米大統領は「私がパウエルFRB議長を追い出したいと希望すれば、彼はすぐにそこを去るだろう」などと述べている。しかし、当の議長は来年5月の任期まで辞任するつもりはないようで、仮にトランプ氏が解任を試みても、実際には任期満了まで裁判の結論が出ない可能性が高いという。つまり、トランプ氏は「単に早期の利下げを望んで議長にプレッシャーをかけているだけ」のようなのだが、もはや早期利下げが実現しようとしまいと、国際金融市場における「ドルへの信認」が失われる流れは止まらない。象徴的だったのは、先週16日のNY金先物価格(6月物)が1トロイオンス=100ドル超もの上昇を見たことである。

当然のことながら、ユーロ/ドルも依然強気の展開を続けており、同日の終値=1.1397ドルは22年1月以来の高水準となった。翌17日に欧州中央銀行(ECB)が、定例理事会で6会合連続の利下げに踏み切ることが確実視されていたのにも拘らず…である。足元でインフレ率の伸びが着実に鈍化していることはECBにとってグッドニュースであり、なおも追加利下げの余地を残してはいる。ただ、そろそろ最終到達点(ターミナルレート)に近づいてきていることも事実で、もはや市場が利下げ自体をユーロ売り材料視することはなくなってきている模様である。

ドル/円はチャネル下辺で下げ止まるか?

いまだユーロ/ドルは1.15ドル手前の水準で上値を押さえられ続けているが、市場の一部からは「いずれ1.15―1.20ドルのゾーンにレベルシフトする可能性は十分にある」との声も聞かれ始めている。目先は、1.14ドル処をクリアに上抜けるかどうかが焦点となっており、仮に上抜ければ1.145ドル処をひとまず試す動きとなろう。

 

一方、先に行われた日米間の関税交渉の初会合において「為替については議論が出なかった」と赤沢経済財政・再生担当相が明かしたことで、後に円高・ドル安の流れが一旦ストップするという場面もあった。ただ、その後のドル/円の反発は弱々しいものに留まり、なおも「ドル安」の基調は続いている。

目下のドル/円は22年10月高値と以降の高値を結ぶラインに平行するアウトライン(上昇チャネルの下辺)付近まで下げてきており、当面は同水準が下値サポートとして機能し続けるかどうかが一つの焦点。仮に同水準を下抜けて140円処の節目を割り込んだ場合には、そこで「ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ(三尊天井)」が完成し、以降は下値余地が広がりやすくなるものと心得ておきたい。 

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yoshizaki.jpg田嶋智太郎氏
経済アナリスト 慶應義塾大学を卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、経済アナリストに転身。現場体験と綿密な取材活動をもとに、金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産掲載まで幅広い範囲を分析・研究。 WEBサイトで経済・経営のコラム執筆を担当し、株式・外為・商品などの投資ストラテジストとしても高い評価を得ている。 また、「上昇する米国経済に乗って儲ける法」など書籍も手掛けるほか、日経CNBCレギュラーコメンテーターも務める。

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止まらぬドル離れ 米国株式市場 パウエル発言で揺れる不安心理

先週の米国株相場は「パウエル絡み」のニュースに上値が押さえられた感が強い。

ハセット米国家経済会議(NEC)委員長は18日、パウエル議長解任が選択肢となっているかとの質問に対し、「トランプ大統領と同氏のチームがその件を引き続き検討する」と答えた。

4月15日時点でユーロのポジションは、ドルに対して約6.9万枚の買い越し(ネットロング)。ロングが積み増され、ショートが小幅に取り崩されたことから、ネットロングは前週から約0.9万枚増加した。期間中のユーロ/ドル相場は、米中貿易戦争激化への懸念からドル売りが強まると、一時2022年2月以来となる1.147ドル台まで上昇した。米国の関税政策を巡り、基軸通貨としてのドルに対する信認低下につながっている。ドルに次ぐ取引高を誇るユーロへの資金流入がユーロ押し上げの一因となったようだ。

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そんななか、ボストン連銀のコリンズ総裁が「FRBは間違いなく安定化を支援する準備がある」と述べたり、ベッセント米財務長官が「パウエル議長とは毎週、朝食会で意見交換している」、「仮にFRBが何もしなかった場合でも、米財務省が大きなツールキットを持ち備えている」と述べたりしていることがせめてもの救い。いずれ、行き過ぎた悲観の反動が生じてもおかしくないものと思われる。

21日のアジア市場では祝日による薄商いの中、ドルはほぼ全ての主要通貨に対して下落。投資家は、パウエル議長の解任リスクや、それによって米国資産への投資心理がさらに悪化する可能性を見極めようとしている。売りは他の資産にも波及し、米株価指数先物や米10年国債も下げた。

先週、トランプ米大統領は「私がパウエルFRB議長を追い出したいと希望すれば、彼はすぐにそこを去るだろう」などと述べている。しかし、当の議長は来年5月の任期まで辞任するつもりはないようで、仮にトランプ氏が解任を試みても、実際には任期満了まで裁判の結論が出ない可能性が高いという。つまり、トランプ氏は「単に早期の利下げを望んで議長にプレッシャーをかけているだけ」のようなのだが、もはや早期利下げが実現しようとしまいと、国際金融市場における「ドルへの信認」が失われる流れは止まらない。象徴的だったのは、先週16日のNY金先物価格(6月物)が1トロイオンス=100ドル超もの上昇を見たことである。

米国売りが勢いを増している。トランプ米大統領がパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長を解任できるかどうかを検討していると、週末に伝えられたことが背景。

関連記事:トランプ氏がパウエル氏を酷評、「一刻も早く解任すべきだ」

田嶋智太郎氏 経済アナリスト 慶應義塾大学を卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、経済アナリストに転身。現場体験と綿密な取材活動をもとに、金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産掲載まで幅広い範囲を分析・研究。 WEBサイトで経済・経営のコラム執筆を担当し、株式・外為・商品などの投資ストラテジストとしても高い評価を得ている。 また、「上昇する米国経済に乗って儲ける法」など書籍も手掛けるほか、日経CNBCレギュラーコメンテーターも務める。

【円ネットロング大幅に増加】4月15日時点で円のポジションは、ドルに対して約17.2万枚の買い越し(ネットロング)。ロングが大きく積み増されたことから、ネットロングは前週から約2.5万枚増加し、2週連続で過去最大を更新した。期間中のドル/円相場は、米国の相互関税については一旦停止となったものの、米中貿易戦争激化への懸念などから、一時142.05円前後まで下落した。トランプ関税の影響で米経済が「リセッション(景気後退)」に陥るとの懸念があるほか、関税政策への反発からドルが売られやすい地合いとなっている。また、日米貿易交渉で円安を是正することが要求される可能性があるとみられていたことから、投機筋は円先高観をさらに強めたようだ。

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