若者であふれる店 しゃぶ葉の戦略
ライター・編集者の笹間聖子さんが、誰もが知る外食チェーンの動向や新メニューの裏側を探る連載。第7回は、すかいらーくグループが展開するしゃぶしゃぶ食べ放題の店『しゃぶ葉』が、10代、20代から圧倒的な支持を受ける「なぜ」に迫ります。
ちなみに「coorum」とは、「community(コミュニティ)」と「forum(フォーラム)」を掛け合わせた造語である。しゃぶ葉のように店舗をもつ業態の他、食品や飲料、製造などのメーカー系が多いが、BtoB企業にも利用されている。
しかし、写真を自身のスマホで撮ることを客に受け入れてもらえれば、「食事の満足感を振り返る間(ま)が客に生じる」「客が何かしらのタイミングで店のことを思い出す」「店で食事したことを客がSNSに投稿してくれる」などの効果も生まれ、「新規客・リピート客を増やす」ために「店と客の関係性を強める」という、しゃぶ葉にとっては食品ロス以外の課題の解決にもつながってきそうです。
さらには、「食後のテーブルの写真を客が退店時にスタッフに見せる」ことには、「食べきった客にスタッフが感謝を伝えやすくなる」という効果もあり、それは「店が食品ロス削減に取り組んでいることを客に認知してもらう」ことにつながってきます。しゃぶ葉としては、食品ロスを削減することが本来の課題ですが、企業としての社会的な側面からすると、食品ロスの削減に取り組んでいることを世の中に知ってもらうこと自体も重要な課題になっているのではないかと推察できます。
単純に思い付くのは、「食後のテーブルの様子をスタッフが確認しに行く」という方法だと思います。しかし、しゃぶ葉では「食後のテーブルの写真を客が退店時にスタッフに見せる」という方法を採っており、ここにはスタッフの労働負荷を低減する工夫が見受けられます。
さて、本セッションで主に取り上げる「しゃぶ葉」は「しゃぶしゃぶ食べ放題」のブランドです。売りとしては、美味しいお肉と新鮮な野菜はもちろん種類豊富なだし・たれ・薬味、ワッフルやソフトクリームなどが作れるデザートバーがあり、お客様次第でさまざまな味わい方やいろいろな楽しみ方ができるお店であることを特徴にしています。
このように、この取り組みは、一見するとシンプルな一つのアイデアを起点としつつ、取り組み全体としての魅力や価値の高め方を色々と考えさせてくれる事例だと思いました。実際にしゃぶ葉の担当者の方がどのような順番で思考を拡げていかれたのかは分かりませんが、アイデアを導入することの効果が連鎖的に拡がり、その必要性についての意味づけもできる面白い取り組みだなと感じます。今回の内容をベースに、会計がセルフレジの場合だとどうすれば良いか、とか、写真の確認以外にもスタッフが客に感謝を伝えられる方法は無いか、などを考えてみるのも面白いのではないでしょうか。
「しゃぶ葉」の4大ポイントとして「超コスパ!」、「選べる!」、「うまい!」、「楽しい!」を挙げました。まず、コスパがいいことで認知を取りたいと考え、そのための商品設計をしています。
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