カシオが社長交代 現CFOが就任へ
時計大手のカシオ計算機が、社長を交代させる方針を固めた。近日中に社長交代会見が開かれ、6月の株主総会で正式決定となる見込みだ。
「カシオの時計事業にとって、また、自分にとって大きな転機は、G-SHOCKブームが完全に終わった2000年代初頭でしたね」と語ってくれたのは、4月1日付で創業家以外では初めて、カシオ計算機の社長CEO兼CHROに就任した増田裕一氏だ。氏はG-SHOCKの「育ての親」のひとりであり、1978年の入社以来、時計事業に一貫して関わってきた。 そして開発本部の時計統轄部長に就任した2003年、誰もが驚く「デジタルからアナログへ」という事業戦略の大転換を決行。同社の時計を世界でも唯一無二の存在に育て上げた最大の功労者だ。
カシオは代々、創業家の樫尾家の人物が社長を務めてきた。だが、2023年に初の「非創業家」出身の増田裕一氏が代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO)に就任。増田氏は昨年度に600名を超える人員削減に踏み切った他、電子辞書の新規開発中止を決めるなど、カシオの構造改革を推進してきた。だが、わずか2年での降板となる。
カシオ計算機は4月22日、代表取締役を交代する人事を発表した。現在、取締役常務執行役員で最高財務責任者(CFO)を務める高野晋氏が代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)に就任する。就任予定日は6月27日。同日に開催を予定している第70回定時株主総会と同総会後の取締役会にて正式に決定する。 この人事に伴い、代表取締役 社長 CEOを務める増田裕一氏は顧問に、代表取締役 会長の樫尾和宏氏は取締役 会長に就く。 高野氏は1961年生まれ。1984年にカシオ計算機に入社し、経理部長などを経て、2009年12月に執行役員 財務統轄部長に就任。2021年4月からは取締役 常務執行役員 CFOになっている。 同社は今回の異動について「経営体制の刷新により、当社グループの持続的な成長と更なる企業価値の向上を目指すもの」とコメントしている。
カシオ計算機は27日、4月1日付で増田裕一専務執行役員(68、写真右)が社長に昇格する人事を発表した。樫尾和宏社長(57)は代表権のある会長に就く。1957年の創立以来、創業家以外が社長に就任するのは初めて。増田氏は事業環境が厳しい中で経営体制の強化や収益力の向上に向けたかじ取りが求められる。
第1次G-SHOCKブームは1997年頃を頂点に収束し、当時のカシオは時計事業の戦略変更、再構築を迫られていた。
カシオ計算機は4月22日、代表取締役を交代する人事を発表した。現在、取締役常務執行役員で最高財務責任者(CFO)を務める高野晋氏が代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)に就任する。就任予定日は6月27日。同日に開催を予定している第70回定時株主総会と同総会後の取締役会にて正式に決定する。
【略歴】増田裕一氏 78年(昭53)慶大工卒、同年カシオ計算機入社。06年執行役員、09年取締役、19年専務執行役員。神奈川県出身。
増田 カシオの時計事業には、「G-SHOCK(Gショック)」という絶対的なブランドがあります。カシオは時計以外にも楽器や電子辞書など数多くの事業を行っています。それなりに売れていて認知もされていると思いますが、でも本当に差別化されたブランドとして浸透しているかというと、残念ながらそうなってはいません。
「デジタルはカシオ」というかつてのテレビCMのコピーに象徴されるように、カシオはデジタルウォッチで時計事業に参入した歴史がある。また、当時のカシオにはアナログ時計に関する技術的な蓄積がないことを、開発部門出身の増田氏は誰よりもよく理解していた。そんな中でどうして「アナログへの道」を決断することができたのか。第1次ブームを目撃・取材していた筆者には、なぜそれができたのかが最大の疑問だった。
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