このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
X(Twitter): https://twitter.com/KandaTakuya
ペソは対ドルで堅調 リセッションと利下げ継続の観測には注意
メキシコペソは4月に入り対ドルで堅調に推移している。トランプ米大統領が相互関税を発動した9日には1ドル=21.08ペソ台に下落する場面もあったが、トランプ氏がその日のうちに相互関税の一部猶予を発表したためすぐに値を戻した。その後は、メキシコについてはトランプ関税の主な標的ではないとの見方が浮上する中で強含んでおり、21日にはトランプ氏が米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを要求したことでドルが下落したため19.58ペソ台まで上昇。昨年10月以来、およそ半年ぶりの高値を付けた。一方、ペソ/円はドル/円につれる形で軟調だが、ドルに対するペソ高が一定の支えとなっており、7.0円割れの水準では底堅さが目立つ。
ただ、メキシコ景気の先行きを悲観視する声が大きい点には注意が必要だろう。経済協力開発機構(OECD)は3月、関税障壁がさらに高まるというシナリオの下で2025年通年のメキシコ経済の成長率を-1.3%と予測した。これは、ある意味で「最悪のシナリオ」とも言えるが、そうでなくとも4月30日に発表される1-3月期国内総生産(GDP)がマイナス成長となれば、定義上の景気後退(リセッション)に陥ることになる。なお、メキシコ中銀の利下げを巡る市場の見通しは、現在9.00%の政策金利が年末時点では7.75%に引き下げられるとの予測が中心シナリオとなっている。
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株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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メキシコペソ 円見通し 対ドルでのペソ高が一定の支えにリセッション懸念はくすぶる
おはようございます。トルコ経済がやや回復しています。 1. 4月CPI上昇率減速 まず、トルコの経済状況を見ましょう。トルコ統計局が6月5日に発表した5月消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比+39.59と、前月の+43.68%から伸び率が減速。予想の+39.2%からやや上振れ。2. 政策金利を据え置き 一方、トルコ中央銀行は5月25日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を8.50%に据え置くことを決定(図表2参照)。据え置きは大方の予想通り。 同行は会合後に発表した制目雨紛で、金利を据え置いた理由について、前回4月の会合と同様に「(2月の)大地震は短期的には経済活動に影響を与えるが、中期的にはトルコ経済に恒久的な影響を与えることはない。大地震の被害を受けた地域は予想よりも早く回復している」とし、「現在の金融政策の姿勢は、物価の安定と金融の安定を維持することにより、震災からの回復を支えるのに十分と判断した」としました。3.1-3月期成長率+4.0% 他方、トルコ統計局が5月31日に発表した1-3月期GDP(国内総生産)は、前年同期比+4.0% (図表3参照)。前期の同+3.5%から加速。市場予想の+3.0〜3.9%から上振れ。22年4-6月期の+7.8%以来の高い伸び。個人消費が堅調に推移したことや、5月の大統領選前の政府支出拡大が寄与。 他方、前期比では+0.3%と、前期の同+0.9%から鈍化。市場では、大地震(2月6日)の影響を受けて、成長拡大の勢いが弱まったとみています。1-3月期のGDP伸び率の主な内訳は、GDPの約半分を占める家計最終消費支出(個人消費)が前年同期比+16.2%と、前期の+16.1%から3期ぶりに伸び率が加速して全体を牽引。11期連続で増加。只、前期比では+0.7%と、前期の同+4.9%から伸び率が鈍化。 輸出は前年同期比▲0.3%と、2期連続で減少。只、前期の▲3.3%から減少幅が縮小。輸出低迷についてヌーレッディン財務相は、欧米の銀行危機や世界景気の後退が背景にあると指摘。 4. エルドアン氏大統領選で当選 一方、トルコでは6月3日に、先月に実施された大統領選において当選したエルドアン氏が就任の宣誓を行い、2014年から続いているエルドアン政権は3期入り目を果たしました。 猶、同氏は大統領週に後に、新政権の発足に向けた閣僚名簿の政策に着手。市場からの信任の厚いシムシェキ氏が財務相に就任の予定。同氏は就任会見において、経済政策の予見性向上に取り組むとして、エルドアン政権で失った市場からの信任の回復を目指すとしました。 5. 為替と株価 ここで、トルコの為替と株価を見ましょう。13年には、経常収支・財政の赤字が比較的大きいとして、トルコは「脆弱5か国」の一角とされ、通貨は13-15年には対ドルで大きく下落(図表4参照)。15年以降も下落が継続。22年12月末から23年5月末まででも▲11.0%と大幅下落。 一方、代表的な株価指数の1つであるイスタンブール100指数は18年から20年初めにかけては軟調な動き。20年初めには新型コロナ・ウィルスの影響により株価は大きく下落したものの、その後は世界経済の回復に伴い、トルコの株価も反発。その後は下落に転じて、22年12月末と23年5月末との比較では▲11.0%と大幅下落。6. リスク要因と課題 シムシェキ氏が財務相に就任して、政策の予見性向上に向けた取り組みに期待が集まっています。只、金利政策にも不透明感があり、ファンダメンタルズは引き続き脆弱となる見込み。 新政権では、外務相に情報機関である国家情報機構(MIT)のフィダン長官を任命。これまで以上に、外交を更に積極化して、ウクライナ問題などに寛容することも考えられます。 只、為替市場はエルドアン氏当選後に、大幅なリラ安で反応。新政権の経済運営は、多難となることも予想されます。
[ヨハネスブルク 3日 ロイター] -3日の外国為替市場で、南アフリカの通貨ランドが対ドルでやや軟調に推移している。新興国市場に対する警戒感から当面弱含むとみられる。
おはようございます。チリ経済の展望 1. 6月CPI上昇率減速 チリ統計局が7月7日に発表した6月消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比+7.6%となり、前月+8.7%から減速(図表1参照)。2. 政策金利を据え置き 一方、チリ中央銀行は、6月19日に、政策金利を11.25%に据え置くことを決定(図表2参照)。据え置きは5会合連続。賛成が3、反対が2で、理事2人が+0.5%ポイントの利上げを主張。賛否が分かれ、利上げが迫っていることを示唆。 市場の事前予想では、概ね金利据え置きが予想されていました。3. 1-3月期成長率 チリ中銀の発表(5月18日)によると、23年1-3月期の同国のGDP成長率は▲0.6%と、前期の同▲2.3%からマイナス幅が縮小。市場予想の▲0.9%から上振れ。 家計消費が▲6.7%(前期は▲4.7%)、固定資産投資▲2.1%(同▲1.7%)と、引き続き軟調。一方政府支出が+3.9%(同▲2.1%)と回復。輸出入では、輸出が+2.4%(同+1.6%)、輸入が▲17.4%(同▲11.8%&)となりました。家計消費が▲6.7%(前期は▲4.7%)、固定資産投資▲2.1%(同▲1.7%)と、引き続き軟調。一方政府支出が+3.9%(同▲2.1%)と回復。輸出入では、輸出が+2.4%(同+1.6%)、輸入が▲17.4%(同▲11.8%&)となりました。 4. 中国のプレゼンス ここで、日本貿易振興機構(ジェトロ)の2021年5月の「チリとペルーにおける中国のプレゼンス」より、中国のチリに対する影響力を見ておきましょう。 チリにとって中国は第1位の貿易対手国であり、近年はリチウム分野や電力事業など、チリにとって重要な産業に中国企業が参入。更に、中国の銅需要がチリの景気を左右するような構造になっており、経済関係の結びつきは非常に強い。 一方で、これまでチリは多くの国とFTAを締結して、国内産業の多角化のため、様々な国からの多種多様な業種の外資誘致を行っていたことから、中国一国のみならず、今後も様々な国と良好な関係を維持することが重視されているように見える、としています。 5. 為替と株価 ここで、チリの株価及び為替の動きを見ましょう。チリの通貨であるチリ・ペソは同価格に連動する傾向にあります。2022年には8月から10月にかけてやや軟調に推移して、その後は対ドルで上昇(図表4参照)。通貨ペソは2023年7月には1ドルル=809ペソ近辺での取引。株価については、代表的な株価指数の1つであるサンチアゴ指数は、2022年3月にコロナ禍により大幅下落(図表5参照)。その後は世界経済の回復などにより、回復。2022年以降も上昇を継続。6. 課題とリスク チリでは2022年3月11日、元学生運動リーダーの左派のガブリエル・ボリッチ(36)氏が大統領に就任。大統領として市場最年少で、同国政治に変革を齎す可能性があります。 チリは長く自由主義の諸種勢力が支配しており、財政拡張にも慎重でした。左派ボリッチ氏の擡頭で急伸左派が勢いを増す一方、これまでの市場経済モデルが損なわれるとの懸念もあります。 チリは長く銅など鉱物資源の輸出に依存する、輸出主導型経済でした。近年は電気自動車の擡頭により、電池に使うリチウムも脚光を浴びています。リチウムの生産量は2021年には、豪州55,000トン、チリ26,000トン、中国14,000トン、アルゼンチン6,200トンとなっています(橋本総研による)。 只、依然として鉱物資源に頼る一本足打法であり、中国景気の影響を強く受けています。このところ世界景気も停滞気味であり、外需が低迷すると、チリの景気も低迷する傾向にあります。 今後は、産業を多様化して、安定した輸出構造に転換する必要があります。また、政治改革についても国内で合意が形成されたわけではなく、政治的混乱がつづく可能性があります。
おはようございます。マレーシア1-3月期GDPは堅調でした。 1. CPI上昇率は横這い マレーシア統計庁は4月25日に、3月の消費者物価指数(CPI)が、前年同月比+1.8%になったと発表(図表1参照)。上昇率は前月と同じ。市場予想の+2.0%から下振れ。2. 1-3期成長率は+4.2%に加速 マレーシア中銀は5月17日に、1-3月期の実質GDP(国内総生産)成長率が+4.2%になったと発表(図表2参照)。市場予想の+3.9%から上振れし、4月に統計局が発表した暫定値(同+3.9%)を上回りました。 1-3月期のGDPを需要項目別に見ると、主に内需の拡大と純輸出の買い残が成長率上昇に繋がりました。 民間消費は前年同期比+4.7%となり、前期の同+4.2%から加速。総固定資本形成は+9.6%(前期は+5.8%)と加速。純輸出はGDPへの寄与度が▲1.4%ポイント(前期は同▲4.0%ポイント)と、マイナス幅が縮小。3. 3.政策金利を据え置き 一方、マレーシア中央銀行5月9日の金融政策決定会合で、政策金利である翌日物政策金利(OPO)を3.00%に据え置くことを決定。据え置きは市場予想通り。据え置きは6回連続。当局は、現在の金融政策は景気を下支えしており、現在のインフレと成長率予想を整合的であるとしました。最近の経済指標は、1-3月期の経済活動が堅調な個人消費と輸出に下支えられていることを示唆。只、今後の成長率は、外需の弱さと、商品の生産の影響を受けるものと予想されます。 5. 為替と株価の動向 次に、為替を見ると、マレーシアの通貨リンギットは、23年6月以降に下落(図表4参照)。世界的に景気が鈍化して、マレーシア国内の景気も鈍化していることなどが影響。 22年に入ってからは米国の物価の大幅上昇、FRBによる大幅利上げでドルが上昇。22年10月には、1ドル=58.20ペソまで下落。その後、フィリピン中銀の利上げなどにより、ペソが反発。23年3月には同54.29ペソ。その後は反落し、22年12月末と24年4月末の比較では、ペソは対ドルで▲3.65%の小幅下落。株価は、代表的な株価指数の1つであるKLSE指数をみると、2022年7月から23年7月迄は軟調(図表5参照)。その後は、資源価格上昇などにより、上昇傾向。6. 1-3月期GDPの評価と見通し 昨年通年の成長率は、輸出低迷やペンとアップ需要の押し上げ効果の白楽などによる内需の鈍化により+3.7%となりました。コロナ禍からの回復により堅調であった2022年の+8.7%から低下。今回の1-3月期GDPは+4.2%と、1年ぶりに+4%台に乗せました。 1-3月期GDPは予想を上回る結果になったものの、労働市場の回復には頭打ちの兆候があるほか、インフレ率も上向きつつあります。今後も緊縮的な財政、緩慢な輸出の伸びが続くと予想されます。金融引き締めにより、新たな補助制度による燃料価格値上がりが懸念されます。 マレーシアではGDPに占める輸出の比率が高く、輸出の底入れは好感できます。政府の成長率目標である+4〜5%が達成できるかどうかは、輸出にかかっていると言えます。
ランドは今年に入って対ドルで6%下げ、ブルームバーグが継続調査する主要16通貨で下落率が最大となっている。
おはようございます。フィリピン経済の減速感が強まっています。 1. 5月CPIが減速 フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は6月6日に、5月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比+6.1%になったと発表(図表1参照)。伸び率は前月の+6.6%から減速。市場予想の+6.2%から下振れ。2.政策金利を据え置き 一方、フィリピン中央銀行は6月22日の金融政策決定会合で、主要政策金利である翌日物借入金利を6.25%に据え置くことに決定(図表2参照、上限を表示)。金利据え置きは、2会合連続で、市場の予想通り。 同行は、来年のインフレ率予想を+2.9%と、従来予想の+2.8%から小幅上方修正。 メダラ同行総裁は記者会見で、「据え置きは明確な選択だった」としました。3. 1-3月GDP+6.4%に減速 一方、フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は5月1日に、1-3月期の実質国内総生産(GDP)成長率が、前年同期比で+6.4%の伸びになったと発表(図表3参照)。10-12月期の確定値+7.1%から減速。市場予想の+6.1%から上振れ。項目別では、民間消費が前年同期比+6.3%と、前期の+7.0%から減速。政府消費は同+6.2%と、前期の同+3.3%から加速。総固定資本形成は+10.4%と、前期の同+6.0%から減速。 4. 景気の先行きには懸念も 年明け以降の同国経済については、中国の脱コロナ政策により、外需の伸びが期待されました。只、このところ中国経済は減速感を強めています。同国経済は中国との関係が深く、財・輸出の伸びにブレーキがかかる可能性があります。 また、インフレ率はまだ比較的高い水準にあり、欧米など主要国の景気減速により、海外からの送金が頭打ちなる可能性もあります。 1-3月期GDPは前年同期比+4.63%と、11四半期連続を維持。コロナ前の水準を+6.3%上回りました。只、伸び率は昨年10-12月期の確定値+7.1%から減速。今後も景気が減速する可能性があります。 5. 為替と株価の動向 次に、為替を見ると、フィリピン・ペソは21年5月末に1ドル=47.67ペソの高値を付けたのち、対ドルで一貫して下落(図表4参照)。ペソの下落の要因としては、経常収支の悪化、資本の流出、ペソの下落についての中銀の容認などがあります。また、米連邦準備理事会(FRB)がテーパリング(資産買い入れの縮小)、利上げの意向を示唆したため、新興国から資金が流出しました。 22年に入ってからは米国の物価の大幅上昇、FRBによる大幅利上げでドルが上昇。22年10月には、1ドル=58.20ペソまで下落。その後、フィリピン中銀の利上げなどにより、ペソが反発。23年3月には同54.29ペソ。その後は反落し、22年12月末と23年5月末の比較では、ペソは対ドルで▲1.19%の小幅下落。株価は、フィリピン総合指数が20年3月31日に5,266ポイントまで下落したのち、その後は上昇に転じました。只、株価も米FRBによる大幅利上げ、世界的な商品市況高騰などにより、22年2月以降、下落基調に転じました。22年9月には5,741ポイント迄下落。その後はフィリピン経済の堅調などにより戻り調子。その後は世界景気の減速などにより、横這いに転じました。22年12月末と23年5月末との比較では、同指数は▲1.35%の小幅下落。 6. リスク要因など 今後は、世界経済の動向、米国の景気、米FRBの金融政策などにより、フィリピンの株価及び為替は影響を受けることとなりそうです。中国、米国などで景気の減速感が強まれば、その影響を受けることも考えられます。フィリピン国内のインフレ率はやや減速していますが、インフレ率が高まれば、同国中銀が利上げする可能性があります。
おはようございます。フィリピン経済の減速感が強まっています。 1. 1月CPIが減速 フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は2月6日に、1月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比+2.8%になったと発表(図表1参照)。伸び率は前月の+3.9%から減速。市場予想の+3.1%から下振れ。2.政策金利を据え置き 一方、フィリピン中央銀行は12月14日の金融政策決定会合で、主要政策金利である翌日物借入金利を6.50%に据え置くことを決定(図表2参照、上限を表示)。据え置きは市場の予想通り。 同行が政策金利を16年ブリの高水準に据え置いたのは、11月のインフレ率が+4.1%と、中銀目標である+2〜4%の上限近くに低下したことを受けたもの。3. 10-12月GDP+4.3%に減速 一方、フィリピンの国家統計調整委員会(NSCB)は1月31日に、10-12月期の実質国内総生産(GDP)成長率が、前年同期比で+5.6%の伸びになったと発表(図表3参照)。7-9月期の+5.9%から減速。市場予想の+5.2%から上振れ。 猶、2023年通年の成長率は前年比+5.6%(2022年は同+7.6%)と鈍化、政府目標の+6.0〜+7.0%を下回りました。 10-12月期GDPを需要項目別で見ると、輸出と政府消費の減少が成長率低下につながっています。 民間消費は前年同期比+5.3%(前期同+5.1%&)と小幅上昇。政府消費支出は▲1.8%(同+6.7%)と、2四半期ぶりに減少。総固定資本形成は+14.6%(同+1.7%)と大幅加速。建設投資は+14.6%(同+17%)と2桁伸び。純輸出はGDPへの寄与度が▲1.7%ポイントで、前期の+1.3%ポイントから悪化。4. 為替と株価の動向 次に、為替を見ると、フィリピン・ペソは21年5月末に1ドル=47.67ペソの高値を付けたのち、対ドルで一貫して下落(図表4参照)。ペソの下落の要因としては、経常収支の悪化、資本の流出、ペソの下落についての中銀の容認などがあります。また、米連邦準備理事会(FRB)がテーパリング(資産買い入れの縮小)、利上げの意向を示唆したため、新興国から資金が流出しました。 22年に入ってからは米国の物価の大幅上昇、FRBによる大幅利上げでドルが上昇。22年10月には、1ドル=58.20ペソまで下落。その後、フィリピン中銀の利上げなどにより、ペソが反発。23年3月には同54.29ペソ。その後は反落し、22年12月末と24年1月末の比較では、ペソは対ドルで▲0.97%の小幅下落。株価は、フィリピン総合指数が20年3月31日に5,266ポイントまで下落したのち、その後は上昇に転じました。只、株価も米FRBによる大幅利上げ、世界的な商品市況高騰などにより、22年2月以降、下落基調に転じました。22年9月には5,741ポイント迄下落。その後はフィリピン経済の堅調などにより戻り調子。その後は世界景気の減速などにより、横這いに転じました。22年12月末と24年1月末との比較では、同指数は+0.86%の小幅上昇。 5. リスク要因など 昨年通年の経済成長率は、政府目標である+6〜7%を下回りました。足下の景気は底入れしており、過度な悲観は不要であると思われます。只、足下のインフレ率は鈍化しているものの、食糧インフレの懸念に加えて、通貨ペソ安が再燃。現大統領と前大統領の政治的対立もあり、ペソ安圧力懸念があります。 政府は今年の成長率目標を+6.5〜7.5%と、昨年を上回る水準としており、財政拡大によりこの目標を達成しようとするとみられます。目標に拘れば、想定以上の財政悪化を招くリスクがあり、供給懸念も重なり、インフレリスクを高める可能性があります。
おはようございます。トルコ経済に不透明感が強まっています。 1. 11月CPI上昇率加速 トルコ統計局が12月4日に発表した11月消費者物価指数(CPI)上昇率は、前年同月比+61.98%と、前月の+61.36%から伸び率が加速。予想の+63%から下振れ。2. 政策金利を大幅引き上げ 一方、トルコ中央銀行は11月23日の金融政策決定会合で、主要政策金利である1週間物レポ金利を+5.0%ポイント引き上げ、40.0%にすることを決定(図表2参照)。市場は概ね+2.5%ポイントの利上げを予想したいたので、上げ幅はサプライズ。 同行は「現在の金利水準はディスインフレ軌道を確立するために必要な水準にかなり近づいていると認識している」としました。更に、金融引き締めのペースはピークに近づくにつれ鈍化し、引き締めサイクルは間もなく完了するとの見通しを示唆。3. 7-9月期成長率+5.9% 他方、トルコ統計局が11月30日に発表した7-9月期GDP(国内総生産)は、前年同期比+5.9% (図表3参照)。前期の同修正値+3.9%から加速。市場予想の+5.6%から上振れ。6月に利上げが始まった後も、底堅い家計消費が牽引。只、中銀は過熱気味の消費を冷まそうとして引き締めを続けており、足下では減速感が出ています。GDPの7割強を占める家計消費が+11.2%。4-6月期の+15.4%からは減速したものの、堅調を維持。輸出は+1.1%。産業別では、製造業が+6.2%、サービス業が+4.3%。2月の地震復興需要を受けた建設業が+8.1%。 4. 景気には不透明感 年明け以降の同国経済は、高インフレにも拘わらず、家計消費は旺盛に推移。外需の堅調さもあり、景気を押し上げる展開が継続。7-9月期GDP成長率は前期比+1.09%と、プラス成長を維持するも、頭打ちの様相。 輸出は堅調に推移するも、インフレと金利上昇が家計消費をしたおしするなど、景気の足を引っ張っています。家計消費の弱さを反映して、純輸出の成長率寄与度はプラスに転じて、在庫も積みあがっており、足下の景気は厳しいと考えられます。 5. 為替と株価 ここで、トルコの為替と株価を見ましょう。13年には、経常収支・財政の赤字が比較的大きいとして、トルコは「脆弱5か国」の一角とされ、通貨は13-15年には対ドルで大きく下落(図表4参照)。15年以降も下落が継続。22年12月末から23年11月末まででも▲52.3%と大幅下落。 一方、代表的な株価指数の1つであるイスタンブール100指数は18年から20年初めにかけては軟調な動き。20年初めには新型コロナ・ウィルスの影響により株価は大きく下落したものの、その後は世界経済の回復に伴い、トルコの株価も反発。その後は下落に転じて、22年12月末と23年11月末との比較では+52.8%と大幅上昇。6. リスク要因と課題 足下では、企業、家計ともにマインドが下振れ。国内外双方に景気の下押しとなる材料が山積するなど、一段と景気が下振れする懸念があります。 他方、来年3月の統一地方選を宇据えて、政策の方向性が一変する可能性もあります。中銀は今後も引き締め姿勢を堅持する可能性があり、政府の動きにも注意を払う必要があります。
おはようございます。新興国経済を振り返ってみましょう。 1. 中国の景気が減速7-9月期GDP+4.9% 中国の国家統計局は10月17日に今年4-6期の実質国内総生産(GDP)成長率が、前年同期比で+4.9%になったと発表(図表1参照)。4-6月期の+6.3%から減速。不動産市況が長引いており、新型コロナ・ウィルス禍からの景気回復の足枷となっています。 4-6月期には前年が上海のロックダウン(都市封鎖)により中国経済が混乱しており、その反動が加速の要因となっていました。7-9月期にはそのような影響が剥落しており、前期比では+1.3%と、前期の同+0.5%からは伸び率が加速。中国経済を巡っては、当局の規制強化などにより、不動産市況が長期化。不動産大手の中国恒大集団などの業績が悪化。不動産開発は減速が継続。 2. インド経済は比較的堅調 続いて、インド統計局が11月30日に発表した7-9月期成長率は、前年同期比+7.6%(図表2参照)。前期の+78%から減速。市場予想の+6.8%から上振れ。 予想を上回る上半期の継続的な政府支出、一部の民間投資の盛り返しなどを背景として、エコノミストは今年度の成長率予想を政府予想の+6.5%を上回る水準に引き上げています。 インドステイと銀行のチーフエコノミスト、サウムヤ・カンティ・ゴーシュ氏は「上半期の実質成長率が+7.7%であれば、年間の成長率は+7%前後になる」との見方を示唆。従来良い層の+6.7%から引き上げ。3. トルコ7-9月期成長率+5.9% 他方、トルコ統計局が11月30日に発表した7-9月期GDP(国内総生産)は、前年同期比+5.9% (図表3参照)。前期の同修正値+3.9%から加速。市場予想の+5.6%から上振れ。6月に利上げが始まった後も、底堅い家計消費が牽引。只、中銀は過熱気味の消費を冷まそうとして引き締めを続けており、足下では減速感が出ています。GDPの7割強を占める家計消費が+11.2%。4-6月期の+15.4%からは減速したものの、堅調を維持。輸出は+1.1%。産業別では、製造業が+6.2%、サービス業が+4.3%。2月の地震復興需要を受けた建設業が+8.1%。 4. トルコの景気には不透明感 年明け以降の同国経済は、高インフレにも拘わらず、家計消費は旺盛に推移。外需の堅調さもあり、景気を押し上げる展開が継続。7-9月期GDP成長率は前期比+1.09%と、プラス成長を維持するも、頭打ちの様相。 輸出は堅調に推移するも、インフレと金利上昇が家計消費をしたおしするなど、景気の足を引っ張っています。家計消費の弱さを反映して、純輸出の成長率寄与度はプラスに転じて、在庫も積みあがっており、足下の景気は厳しいと考えられます。 5. アルゼンチンで右派のミレイ氏当選 一方、アルゼンチン大統領選で当選した右派のハビエル・ミレイ氏は、12月10日の就任演説で「私は心地良い嘘よりも不快な真実を告げたいのです」とし、自身の大胆な経済改革は「最初は痛みを伴う」と国民に警告。 同氏は就任後2日目に補助金を含む政府支出の大幅削減を開始したほか、通貨ペソを対ドルで▲54%切り下げ。 11月19日に同氏が大統領に選出されたときには、インフレ率は+160%と、世界で3番目の高さ。ガソリン代が2週間で+60%上昇するなど、経済の混乱が継続。 6. 全般に景気の減速が継続か このように、新興国は国により経済に温度差があります。只、世界的な景気減速の傾向、中国の景気減速などにより、2024年には景気の減速が予想されます。 只、2024年には米連邦準備理事会(FRB)が利下げを開始するとの観測もあり、新興国の株価、通貨は全般に堅調な展開となる可能性もあります。
南アフリカの通貨ランドも対ドルで5年ぶり安値圏に下落。主力の1次産品である白金の主要鉱山で労働組合がストライキを開始。資源輸出が鈍ると外貨獲得に支障が出るとの思惑が通貨の売りを誘っている。
おはようございます。メキシコ10-12月期GDPは、前期比マイナスに転じました。 1. CPI上昇率は減速 メキシコ国立地理情報研究所は12月9日に、メキシコの11月の消費者物価指数(CPI)が、前年同月比+4.55%になったと発表(図表1参照)。上昇率は前月の同+4.76%から減速。市場予想の+4.59%から下振れ。2. 10-12月期GDPは▲0.6%に転落 メキシコ統計局は1月30日に、10-12月期季節調整済み国内総生産(GDP)成長率は、前期比年率▲0.6%になったと発表(速報値、図表2参照)。市場予想の▲.2%から下振れ。前期の同+1.1%(確報値)から減速。マイナス成長は2021年第3四半期以来。 マイナス成長は、中銀が、米国から関税を課されるとすると、より大きな利下げが必要になるとの認識と符号。 第1次産業生産は前期比▲8.9%の大幅減少。製造業の落ち込みは▲1.2%。サービス業は+0.2%の増加。 前年比では、メキシコの10-12月期GDPは第4四半期には+0.6%。3. 政策金利を引下げ メキシコ銀行(中央銀行)は12月26日の金融政策決定会合で、政策金利を▲0.25%ポイント引き下げて10.0%にすることを決定(図表3参照)。同行は「総合インフレ、コア・インフレともに低下傾向にある2026年第3四半期には目標値(+3.0%)に収斂するものとみている。米国による対メキシコ追加関税を導入する可能性が予測不確かさを齎している。導入されれば、(米墨双方にとって)インフレ圧力となるだろう)としました。 4. 今後の見通し 同国では、米トランプ政権による追加関税賦課を警戒して、金融市場で通貨ペソ、株式、債券に売り圧力がかかっています。トリプル安の動きは昨年の大統領選、議会選直後から進行しており、米トランプ政権誕生がその動きに拍車を掛けています。 同国経済は米国経済との連動性が強く、米国景気回復が同国経済を下支えすると期待されたものの、昨年10-12月期GDPは、前期比年率▲2.19%とマイナスに転落。 足下のインフレ率は頭打ち。中銀も利下げに動いているものの、実質金利は高水準で推移するなど、金融市場は引き締まっています。 シェインバウム政権は新たな経済計画を公表。トランプ関税への備えを見せています。今後の景気には不透明感が増しています。政府は今年の成長率を+2〜3%としていますが、楽観的過ぎると見られます。発足から丸4カ月目を迎えるシェインバウム政権には、試練が待っているようです。
マーカス総裁は記者会見で、「主要なリスクは為替レートを通じたもので、国際的な調整に脆弱な状況が続く」と述べた。足元では通貨ランドが対ドルで1ドル=10ランド台後半で推移し、11ランド台までランド安・ドル高が進んだ1月時点と比べて通貨安には歯止めがかかっている。昨年10〜12月期の経常赤字が国内総生産(GDP)比5.1%に縮小したことなどを受けて、通貨売り圧力はやや和らいでいる。
おはようございます。インドネシアの4-6月期GDPはやや減速しました。 1. 7月CPI上昇率は減速 インドネシア中央統計局は8月1日に、7月の消費者物価指数(CPI)が、前年同月比+2.13%になったと発表(図表1参照)。市場予想の+2.4%から下振れ。前月の+2.51%から減速。2. 政策金利を据え置き 一方、インドネシア中央銀行は7月17日の理事会で、インフレ抑制と通貨ルピアを安定させるために、政策金利であるBIレートを6.25%に据え置くことを決定。据え置きは市場の予想通り。据え置きは3会合連続。 3会合連続の据え置きについて、同行は前回6月会合時と同様に「この決定は外国資本の流入とルピア安定を維持することを含めて、インフレ率を24年と25年に前年比+1.5〜3.5%(中央値+2.5%)の物価目標の範囲内に抑制するための先制的かつ将来を見据えた措置」であるとして、「短期的には金融政策の焦点は、ルピア相場の下落を阻止するため」としました。3. 4-6期GDP+5.05%に減速 インドネシア中央統計局(BPS)は8月5日に、4-6月期の国内総生産(GDP)成長率が、前年同期比+5.05%であると発表(図表3参照)。前期の+5.11%からやや減速。市場予想(同+5.0%)とほぼ同じ。 需要項目別に見ると、内需好調、外需不振の傾向にあります。内需のうち個人消費は前年同月比+5.2%と、前期の同+5.0%に続いて好調。投資は+12.3%(前期は+10.0%)と拡大。純輸出に関しては、輸出が前年同期比+1.9%と、1-3月期(同+7.9%)から急減速。輸入は内需が強いこともあり、同+10.9%と、1-3月期(同+8.0%)から加速。純輸出の成長への寄与度は▲3.2%ポイントと、2008年4-6月期以来のマイナス寄与。 供給面では、1-3月期に続いて4-6月期にも全ての産業でプラス成長を維持。 4. 為替と株価の動向 次に、為替を見ると、インドネシア・ルピアは2019年12月末から20年3月末にかけて▲17.4%の大幅下落。世界的な新型コロナ・ウィルスの感染拡大により、投資家が新興国から資金を引き揚げたことなどが響きました(図表4参照)。その後、米連邦準備理事会(FRB)による大幅金融緩和などにより、ルピアは対ドルで急激に戻す展開。21年後半以降は対ドルで下落に転じて、22年11月には1ドル=15,7000ルピア迄下落。ただその後も下落が続き、23年末から24年7月末では、▲5.53%の下落。 株価についても、ジャカルタ総合指数は19年末から20年3月末まで▲27.9%の大幅下落。その後は一転して急速に戻す展開。その後も堅調に推移しており、23年末と24年7 月末との比較では、▲0.23%と、ほぼ横這い。5. 今後の見通し 16日に政府が公表した来年度予算では、歳出規模は3613.1兆ルピアと、今年度予算に対して+9.4%、今年度見通しに対して+5.9%の水準。首都移転関連のほか、プラボウォ次期政権が目玉政策に掲げる学校給食の無償化をはじめとする教育・社会福祉関連、貧困支援関連を中心とする予算配分の拡充が影響。 予算案はジョコ現政権とプラボウォ次期政権の経済チームが共同で作業した模様。現政権の財務相として国際金融市場からの評価が高いスリ=ムルヤニ氏の処遇は不透明。際す津規模は拡大するものの、財政赤字は616.2兆ルピア(GDP比▲2.53%)と、今年度見通しの609.7兆スピア、同▲2.7%からの赤字幅の拡大は僅かにとどまるとしています。只、歳入の前提となる成長率が来年は+5.2%と、今年の+5.0〜5.2%並みとするものの、歳入の見積もりがやや楽観的との懸念があります。
おはようございます。インドネシア1-3月期GDPは、引き続き好調。只、国内外で不透明要因があります。 1. 4月CPI上昇率は減速 インドネシア中央統計局は5月2日に、4月の消費者物価指数(CPI)が、前年同月比+4.33%になったと発表(図表1参照)。市場予想の+4.39%から下振れし、前月の+4.97%から減速。2. 政策金利を据え置き 一方、インドネシア中央銀行は2月16日の理事会で、通貨ルピアの安定とインフレ抑制のために、政策金利であるBIレートを据え置いて5.75%にすると発表。市場の予想通り。 同行は会合後に発表した声明文で、「今回の(据え置き)決定は、インフレとインフレ期待の継続的な低下を確実にして、コアインフレ率を23年上期に物価目標(+2〜4%)に収束させるための先制的かつ前向きな措置だ」としました。3.1-3期GDP+5.03%に加速 インドネシア中央統計局(BPS)は5月5日に、1-3月期の国内総生産(GDP)成長率が、前年同期比+5.03%であると発表(図表3参照)。前期の+5.01%からわずかに加速。市場予想(同+4.95%)を上回りました。輸出と投資は減速したものの、消費や政府支出が改善。 新型コロナ・ウィルスのパンデミック後のインドネシア経済の回復は、商品首藤の輸出ブームに支えられてきました。只、商品価格の鈍化や世界的な金利引き上げが需要に与えると予想されることにより、経済の勢いは今後、弱まるものと考えられます。1-3月期GDPを項目別で見ると、民間消費が前年同期比+4.54%(前期は同+4.48%)とわずかに加速。前期には縮小していた政府支出は+4%へと回復。 一方、輸出の伸び率は+11.68と、+15%に近かった前期から鈍化。統計局は、石炭、パーム油、金属など、インドネシア主要製品の輸出は好調を維持しているとしました。 4. 景気に不透明要因増加 今後、インフレ率鈍化が期待されます。只、外部環境を勘案すると、中銀が金融引き締めを維持する可能性があります。商品市況の軟化もあり、内需を巡る状況は厳しさを増す可能性があります。 世界経済の減速懸念や国際金融市場を巡る不透明感の高まりは、外需の低迷に繋がる可能性があります。中国がゼロコロナ政策を解除して、23年には景気が回復する見込みであるものの、世界経済全体としては、金利上昇などにより、景気が減速することも考えられます。 5. 為替と株価の動向 次に、為替を見ると、インドネシア・ルピアは2019年12月末から20年3月末にかけて▲17.4%の大幅下落。世界的な新型コロナ・ウィルスの感染拡大により、投資家が新興国から資金を引き揚げたことなどが響きました(図表4参照)。その後、米連邦準備理事会(FRB)による大幅金融緩和などにより、ルピアは対ドルで急激に戻す展開。21年後半以降は対ドルで下落に転じて、22年11月には1ドル=15,7000ルピア迄下落。ただその後は上昇に転じて、22年末から23年4月末では、+6.015%の上昇。 株価についても、ジャカルタ総合指数は19年末から20年3月末まで▲27.9%の大幅下落。その後は一転して急速に戻す展開。その後も堅調に推移しており、22年末と24年4月末との比較では、+5.09%の小幅上昇。6. リスク要因 ニッケルなどの未加工鉱石に対する禁輸措置は、関連する対内直接投資を押し下げる要因となります。政府は今後、その対象をボーキサイト、錫、銅などにも広げる意向を示唆。 また、同国では来年2月に大統領選と国民協議会下院(国民会議)総選挙の実施差が予定されています。ここ数年、宗教右派(保守主義)が擡頭する傾向にあります。出馬を予定する3氏は、宗教右派を意識した言動を見せています。
おはようございます。インドネシアで、景気底入れが継続しています。 1. 9月CPI上昇率は減速 インドネシア中央統計局は10月2日に、9月の消費者物価指数(CPI)が、前年同月比+2.28%になったと発表(図表1参照)。市場予想の+2.2%から上振れ。前月の+3.27%から減速。2. 政策金利を引き上げ 一方、インドネシア中央銀行は10月19日の理事会で、通貨ルピアの安定とインフレ抑制のために、政策金利であるBIレートを+0.25%ポイント引き上げ。引き上げは市場の予想外。同行による利上げは今年1月以来。 この日のルピアは予想外の利上げ決定を受けて、それまでの下げ幅を縮小。5年債利回りは0.09%ポイント上昇。インドネシア株価の指標、ジャカルタ総合指数は▲1.2%下落。 米連邦準備制度のタカ派的姿勢を受けて、トレーダーが新興国資産を敬遠しており、ルピアは今月に入って対ドルで▲2%あまり下落。19日には2020年4月以来の安値を記録。3.4-6期GDP+5.17%に加速 インドネシア中央統計局(BPS)は8月7日に、4-6月期の国内総生産(GDP)成長率が、前年同期比+5.17%であると発表(図表3参照)。前期の+5.03%から加速。市場予想(同+4.93%)を上回りました。9期連続のプラス成長となり、過去3四半期では最も高い成長率。家計消費支出は、ラマダンの1か月とエイド・アル・ファター祭りにより+5.23%(前期は+4.54%)へと加速。政府支出は+10.62%(同+3.54%)、固定資産投資+4.63%(同+2.11%)と加速。 一方、貿易は輸出が▲2.75%、輸出が▲3.80%と低迷。 生産面では、農業が+2.02%(同+0.43%)、製造業+4.88%(同+4.43%)、鉱業+5.01%(同+4.92%)、卸売り・小売り+5.25%(同+4.92%)、通信+8.02%(同+7.13%)、建設+5.23%(同+0.32%)。 中銀は今年の成長率を+4.5〜5.3%と予想。2022年の成長率は+5.31%と、2013年以来最も高い成長率となりました。 4. 景気の底入れ進む インドネシア経済は、コロナかからの経済活動の正常化により、2022年には成長率が前年比+5.31%(2021年は同+3.71%)と上昇するなど、景気回復が継続。そして4-6月期GDP統計では2023年の 成長率が過去3四半期で最も高い水準となっており、順調な回復が継続していることを示唆。 4-6月期には世界経済の減速と一次産品価格下落により、輸出が落ち込んだにも拘わらず、消費と投資の回復に支えられて、成長が加速。また、GDPの半分以上を占める民間消費は+5.30%と、昨年の一連の行動規制の緩和により、コロナ前の生活に近づく中、依然として活発であり、前期の同+4.58%から加速。 5. 為替と株価の動向 次に、為替を見ると、インドネシア・ルピアは2019年12月末から20年3月末にかけて▲17.4%の大幅下落。世界的な新型コロナ・ウィルスの感染拡大により、投資家が新興国から資金を引き揚げたことなどが響きました(図表4参照)。その後、米連邦準備理事会(FRB)による大幅金融緩和などにより、ルピアは対ドルで急激に戻す展開。21年後半以降は対ドルで下落に転じて、22年11月には1ドル=15,7000ルピア迄下落。ただその後は上昇に転じて、22年末から23年9月末では、一時上昇したもののその後下落に転じて、▲0.88%の小幅下落。 株価についても、ジャカルタ総合指数は19年末から20年3月末まで▲27.9%の大幅下落。その後は一転して急速に戻す展開。その後も堅調に推移しており、22年末と23年9月末との比較では、+3.93%の小幅上昇。6. リスク要因 足下のインフレ率が落ち着いているものの、ルピア安により、今後はインフレ圧力が高まる可能性があります。中銀による予想外の利上げは、それに対応したものと言えます。 通貨ルピアにより輸入物価が亢進すれば、輸入物価を通じてインフレ圧力が高まる可能性があります。中銀の引き締め姿勢をも相俟って、消費に対して下押し圧力がかかることも考えられます。
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