
23日の香港市場は前日の米株式相場が大幅反発した流れを引き継ぎ、続伸して始まるか。スコット・べッセント財務長官がワシントンで前日開かれた投資家との会合で、米中貿易戦争の緩和の可能性に言及したことが好感されそうだ。トランプ米大統領が22日、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長を「解任するつもりはない」と述べたと伝わったことも、買い安心感につながるだろう。
もっとも、関税交渉の先行きは予断を許さず、買い一巡後は上値が重い展開があり得る。米ブルームバーグ通信によると、ベッセント米財務長官は22日にJPモルガンが主催した非公開イベントで、米国と中国が相互に効率の関税をかける現状は「持続可能ではない」と語った。その上で、両国が対立解消に向けた方法を見つける必要があり、今後数カ月内に緊張が緩む見通しを示した。ただ、「中国との交渉はまだ始まっていない」と述べ、包括的な合意が実現するのは2-3年後の可能性があるとの見解を明らかにした。
22日のNY株式相場は、ダウ平均とナスダック総合がともに5営業日ぶりに反発した。前日に強まった「アメリカ売り」はやや和らいだ。米10年債利回りは前日の4.405%から一時4.372%まで低下(価格は上昇)し、4.402%で終了した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)は銀行株のHSBC(00005)と中国銀行(03988)、大型ネット株のテンセント(00700)とアリババ集団(09988)が香港終値を上回った半面、香港公益株のホンコン・チャイナガス(00003)が下回って引けた。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 23日香港株続伸して始まるか 米財務長官発言が支え
ユナイテッドヘルスの2025年第1四半期決算を控え、見どころをまとめました。同社は保険と医療サービスの双方を手掛けることで分散化された収益モデルを持ち、足元では医療費高騰という逆風に直面しつつも事業全体では増収増益を維持しています。2025年Q1決算では、医療費率や加入者動向が計画線上にあるか、Optumの好調が続いているかなどが確認されるでしょう。加えて、政策面での追い風(メディケア報酬の増額決定)も出てきており、中長期の成長期待はむしろ高まっている局面です。株価は4月上旬に史上高値圏まで上昇しており、良好な決算がこれを正当化するか注目されます。前回決算(2024年Q4)のハイライト2025年1月に発表された2024年Q4決算では、1株当たり利益(EPS)と売上高の面で明暗が分かれました。調整後EPSは$6.81と市場予想($6.73)を上回り、前年同期比でも増益となりました。一方、売上高は$1,008億($100.8Bn)と前年比+7%増加しましたが、市場予想(約$1,016億)に届かず小幅な未達となりました。売上成長の原動力は引き続きMedicare Advantage(メディケア・アドバンテージ、民間運営の高齢者向け公的医療保険)や商業(雇用主)向け保険の加入者増加でしたが、その伸びはやや鈍化しました。医療費率(メディカルロスレシオ, MLR)にも注目です。MLRとは保険料収入に対する医療費支出の割合で、数字が高いほど保険会社の収益を圧迫します。2024年Q4では、医療費率が87%超に達し、アナリスト予想を上回る水準でした。この高さは医療費の増加を示しており、特に高額な専門薬の処方増や、コロナ禍で先送りされていた手術・治療の実施増加などが要因とされています。また、ユナイテッドヘルスは米国最大のメディケア保険者(高齢者向け保険)で約4,900万人の加入者を抱えますが、このメディケア部門において加入者プロファイルの想定との差異が指摘されました。具体的には、メディケア・アドバンテージの会員増加が予想より鈍化(2024年通年で+1.9%に留まる)し、保険リスクプールに占める高コスト患者の比率が高まったことが医療費率上昇の一因となりました。一方、Medicaid(メディケイド、低所得者向け公的医療保険)は各州で資格見直し(いわゆる「Medicaidのアンワインド」)が進み健康な加入者が脱落した結果、2024年のユナイテッドヘルスのメディケイド会員数は▲5.2%減少しました。このように政府系プラン(Medicare・Medicaid)での費用増と伸び悩みが課題として浮き彫りになりました。こうした状況下でもOptum(オプタム)と呼ばれる医療サービス事業部門は堅調でした。Optum全体の2024年通年収入は$2,530億に達し前年から12%増収となり、ユナイテッドヘルス全体の売上の過半を占めました。特に医療提供サービスを行うOptum Health部門は前年比+10.5%の増収で、同社の成長を下支えしています。2024年Q4時点で同社の営業利益は保険部門とOptum部門でほぼ50:50の割合となり、史上初めてOptumの寄与が保険事業を上回る四半期となりました。第4四半期のOptum部門営業マージンは7.4%と通年平均(6.6%)より高く、効率化の進展もうかがえます。このように事業の多角化により、保険引受部門(UnitedHealthcare)での費用増を医療サービス部門(Optum)の利益成長で補完する構図が鮮明になっています。株価の反応も押さえておきましょう。2024年Q4決算発表直後のマーケットでは、予想未達の売上高や医療コスト増への懸念から株価は下落しました。決算発表翌日の取引では株価が一時5%前後下落し、投資家は高まる医療費率が今後の利益率に与える影響を警戒しました。実際、第4四半期決算はBrian Thompson氏(当時ユナイテッドヘルス傘下保険事業CEO)が銃撃され死亡するというショッキングな事件後初の決算でもあり、市場では保険金支払い拒否問題など同社への批判が高まる中での発表でした。それも相まって決算日はユナイテッドヘルス株が2025年最悪の日(NYダウ平均を大きく下押し)との報道もあるほど売り圧力が強まりました。しかしその後、株価は徐々に持ち直し、年初来ではおおむね横ばいからやや上昇基調となっています(2025年1月~3月末で+5%程度の上昇)。これは決算で示された2025年の業績ガイダンスが堅調であったことや、後述のポジティブなニュースフローも寄与しています。前回決算以降の主なニュース動向Q4決算以降、ユナイテッドヘルス・グループを取り巻く重要なニュースや業績見通しに関わる動きがいくつかありました。ここでは「サイバー攻撃への対応」「規制動向と業績見通し」「事業再編・コスト構造の改善策」の3点に分けて整理します。サイバー攻撃の影響と対応策2024年に同社のテクノロジー子会社であるChange Healthcareが大規模なランサムウェア攻撃を受け、請求支払いシステムが数ヶ月間停止する事態となりました。このサイバー攻撃への直接対応費用は$30億超に達し、2024年通年の純利益は前年から36%減の$144億と5年ぶり低水準に落ち込む結果となりました(調整後ベースでは$257億の純利益で過去最高益を確保)。同社は被害を受けた期間中、医療機関への支払いが滞った影響を緩和するため、総額$90億もの無利子融資を病院・クリニックに提供していました。そしてサービス復旧から1年余りが経過した2025年初め、ユナイテッドヘルスは貸付金の返済要求を本格化させています。Optum部門から医療提供者に対し返済を求めるメールが送られ、応じない場合は保険診療の償還金から相殺する可能性にも言及されました。資金繰りに苦しむ一部の小規模診療所からは「ハッキング被害後の足元を見るような条件だ」と反発の声も出ていますが、同社側は「サービスは復旧済みであり、当初の契約に則り1年以上にわたる無利子支援の回収プロセスに入った」と説明しています。サイバー攻撃対応は巨額費用となりましたが、その一時的影響を除けば同社の本業収益力は維持されており、今後この特別要因が剥落することで利益の押し上げ要因になると見込まれます。規制環境の変化と追い風一方、業界を取り巻く規制・政策の動向にも注目すべき変化がありました。2025年1月に発足した米国新政権(トランプ政権)は民間保険へのスタンスが従来と変わる可能性があり、市場も敏感に反応しています。実際2025年4月初旬、Medicareを管轄するCMS(Centers for Medicare Medicaid Services)が2026年のメディケア・アドバンテージ政府支払率を平均+5.06%引き上げる最終決定を発表すると、メディケア収入拡大への期待からユナイテッドヘルス株は時間外取引で約6%急騰しました。この5.06%増という上げ幅は当初案(+2.2%)の倍以上で、過去10年で最大級の増率です。前年に2025年分として僅か▲0.2%の減額が決まっていたことと対照的で、「新政権がMedicare民間プランを強力に支援する姿勢の表れ」との見方も出ています。ユナイテッドヘルスは業界最大手としてこの恩恵を享受し、2026年以降の利益見通しが明るくなったと歓迎ムードです。同時に、薬価高騰問題への対応も規制面のホットトピックです。米議会や規制当局は近年、PBM(薬局給付管理)企業の役割に注目しており、薬価形成の透明性向上や手数料制限などの規制強化を模索しています。ユナイテッドヘルス傘下のOptum Rxは国内最大級のPBMであり、将来的に規制強化が行われれば収益モデルへの影響も考えられます。しかし足元では具体的規制はまだ議論段階であり、大きな不透明要因とはなっていません。むしろ、上述のメディケア報酬増額決定のように業績押し上げ要因となる政策追い風の方が現時点では株価に強く影響しています。業績見通しとコスト構造の改善策: 2024年Q4決算発表時、経営陣は2025年の業績見通し(ガイダンス)を据え置きました。具体的には2025年の調整後EPS見通しを$29.5~$30.0、売上高を$4,500~$4,550億と提示しており、前年(2024年)の実績見込みに対し一桁台後半の増益を織り込んだ堅実な目標です。第4四半期決算で直面した医療費率上昇についても「想定の範囲内」として、2025年も医療費率は86.5%程度へさらに上昇を見込む保守的な前提を置いています。この慎重な計画にもかかわらず、投資家の間では「経営陣がこのガイダンスを達成できるか自信を示すか」が注視点となっています。実際、前述の規制変更(メディケア報酬増)による追い風などポジティブ材料が増えたことから、将来的なガイダンス上方修正の余地も指摘されています。加えて、同社はコスト構造の改善と事業再編にも着手しています。医療費高騰に対応するため、2025年2月には保険事業部門(UnitedHealthcare)で一部従業員に早期退職の募集を開始しました。対象は給付金支払い処理や顧客対応を担う部門で、所定の人員削減目標に満たない場合は解雇も実施しコスト削減を図る計画です。ユナイテッドヘルスは約44万人の従業員を抱える巨大企業ですが、2024年にかけてのメディケア・メディケイド部門の医療費増や前述のサイバー攻撃対応などで利益が圧迫されたことを受け、効率化による経費削減が急務となっていました。こうした施策により2024年通年の営業費用率は13.2%と前年の14.7%から大きく改善しており、業務プロセスの見直しや一部事業売却(南米事業の売却など)が奏功しています。さらにAI活用による業務効率化にも言及があり、カスタマーサービス応対でAI支援を導入することでオペレーションの生産性向上を図っているといいます。これらのコスト対策と事業ポートフォリオの最適化により、同社は利益率の底上げと将来成長分野への経営資源集中を進めています。2025年Q1決算の注目ポイントと株価への影響以上を踏まえ、いよいよ発表が迫る2025年Q1決算で個人投資家が特に注目すべきポイントを整理します。今回は「会員数の動向」、「医療サービス事業の収益性」、そして「業績ガイダンスと株主還元方針」の3つが焦点です。これらは同社の収益構造や今後の成長性に直結する要素であり、決算内容次第で株価にも影響を及ぼすでしょう。会員数(加入者数)の動向: 保険ビジネスの基盤である加入者数の推移は最重要指標です。特にメディケア・アドバンテージの会員数に注目です。前年は加入者増が伸び悩みましたが(前述の通り通年+1.9%)、2025年Q1では昨年秋の加入者募集(オープンエンロールメント)の結果が初めて反映されます。ユナイテッドヘルスはこの募集期に競合他社より多くの高齢者顧客を獲得したとの報道もあり、どの程度の純増となったかが明らかになるでしょう。業界全体では2024年→2025年にメディケア民間プランの成長率鈍化(前年比+3~4%程度という推計)との指摘もありますが、もしユナイテッドヘルスがシェア拡大に成功していれば、将来の保険収入増に直結するポジティブ材料です。一方、Medicaid会員は各州での資格見直しが続くためさらなる減少が避けられません。もっともMedicaidは減少するのは比較的低コストの健康層で、残存者は医療ニーズの高い層です。加入者数減少が一見ネガティブでも、医療費支出はあまり減らないというミスマッチに引き続き注意が必要です。商業(事業者/個人向け)保険は景気動向や競争環境に左右されますが、2024年には近年より速い成長を示しました。2025年Q1も堅調であれば全体として国内加入者数は純増基調が続く見通しです。投資家としては各セグメント(商業・Medicare・Medicaid)の会員数とその医療費傾向を注視しましょう。加入者増加が予想以上であれば株価には追い風となり得ますし、逆に高齢者プランの伸び悩みなどが続けば失望売りを誘う可能性もあります。医療サービス事業(Optum)の収益性: 医療保険だけでなく、病院・クリニック運営や調剤などを含むヘルスケアサービス事業「Optum」の動向も重要です。Optumはユナイテッドヘルスの成長エンジンであり、2024年は収入の約63%、営業利益の過半を稼ぎ出しました。Q1決算では、Optum各部門の収益と利益率に注目しましょう。中でもOptum Health(医療提供サービス)は医師ネットワーク拡大やバリュー・ベース・ケア(医療の質と成果に基づく支払い)で成長しており、前年同期比でどれだけ増収増益となったかがポイントです。前四半期にはOptum Health収入が+10.5%の増加でしたが、Q1も二桁増が続けば安心感があります。またOptum Rx(調剤・薬局給付管理)も前年は+15%近い増収と好調でした。医薬品価格交渉力や処方量増加が寄与していますが、薬価に関する規制の目もあり今後のマージン動向を見極める必要があります。さらにOptum Insight(医療IT・データ分析)は2024年に若干の減収となりましたが、一部システムの売却など特殊要因を除けば需要は堅調です。Q1で増収に戻っているか注目しましょう。総じて、Optum部門全体の営業利益率が前年並みの6~7%台を維持または改善していれば、会社全体として高コスト環境でも利益を確保しやすくなります。投資家目線では、保険引受部門(UnitedHealthcare)の医療費率上昇をOptumの収益でどこまでカバーできているかがカギです。もしOptumの成長が減速したり収益性が悪化した場合、従来の目算が狂うため株価にはマイナスに働くでしょう。逆にOptumが引き続き二桁成長・高収益を維持すれば、事業ポートフォリオの多角化による安定性が評価され株価の下支え要因になります。ガイダンスと株主還元策の行方: 最後に、経営陣が示す業績見通し(ガイダンス)と株主還元方針にも注目です。ユナイテッドヘルスは前回決算時に2025年通年の調整後EPS見通しを$29.5~$30.0と発表し据え置きました。市場コンセンサス(現在約$29.7)とおおむね一致する水準であり、Q1時点でこのガイダンスに変更があるかがポイントです。もしQ1業績が順調で、医療費動向も計画通りまたは改善傾向が見られれば、経営陣がガイダンス上ブレに自信を示す可能性があります(例えば通年予想のレンジ上限を引き上げるなど)。その場合、将来利益見通しの改善として好感され株価上昇要因となるでしょう。反対に、医療費率のさらなる悪化などで慎重姿勢を崩さずガイダンス据え置きの場合、マーケットへのサプライズは小さく中立的な反応に留まるかもしれません。また四半期配当や自社株買いといった株主還元もチェックしましょう。同社は長年にわたり増配と自社株買いを継続しており、直近の四半期配当は1株あたり$2.10(前年同期比約12%増)を支払いました。配当は毎年二桁成長(直近5年平均+14.6%)しており、2025年も6月頃に増配発表が期待されています。配当利回りは足元約1.4%程度ですが、増益に伴い増配・自社株買いを続けることで総株主還元は年々拡大しています。実際、2024年には配当と自社株買いを合わせて$160億以上を株主に還元しました。潤沢なキャッシュフロー(2024年は営業キャッシュフロー$242億で純利益の1.6倍)に支えられたこの方針は、株式の希薄化防止や投資家への利益還元として評価できます。決算発表ではこうした還元策に変更がないか、例えば追加の自社株買い枠承認や配当方針の言及があるかにも注意しましょう。現状の堅調な業績見通しが維持されれば、積極的な還元策も継続すると見込まれ、それは株価の下支え要因となります。逆に業績不透明感から自社株買いペースを落とすような発言が出ればネガティブに捉えられる可能性もあります。以上、ユナイテッドヘルス・グループの前回決算から今回発表にかけてのポイントを整理しました。同社は保険と医療サービスの双方を手掛けることで分散化された収益モデルを持ち、足元では医療費高騰という逆風に直面しつつも事業全体では増収増益を維持しています。2025年Q1決算では、医療費率や加入者動向が計画線上にあるか、Optumの好調が続いているかなどが確認されるでしょう。加えて、政策面での追い風(メディケア報酬の増額決定)も出てきており、中長期の成長期待はむしろ高まっている局面です。株価は4月上旬に史上高値圏まで上昇しており、良好な決算がこれを正当化するか注目されます。個人投資家としては、決算内容と経営陣のコメントを踏まえ、ユナイテッドヘルス株が引き続きポートフォリオの有力な安定成長銘柄であり続けるかを判断することになります。仮に医療コスト増などの懸念が再燃した場合には株価変動もあり得ますが、同社の長期的な財務実績(8%以上の年間収益成長と安定した高ROE)や株主還元姿勢を考えると、慎重なガイダンス達成とともに引き続き堅実な運営が期待されます。今回の決算発表は、その展望を占う上で大きな材料となるでしょう。
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