- <第191回> 2025年4月25日
- 問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。
- 問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
- 問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
- 問4:今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通しについてお答えください
- 問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
- 問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
- 問7: 米国のトランプ大統領による関税政策は、米ドル、円、ユーロの力関係にどう影響すると考えますか。今後3カ月程度の期間を念頭にひとつお選びください。
- 問8: 米国のトランプ大統領の関税政策の影響も踏まえ、日銀の次の利上げはいつ になると思いますか。よろしければその理由もお書きください。
- 個人投資家の円高予想が急増トランプ政策で米ドル安見通し強まる 外為短観 第191回
<第191回> 2025年4月25日
外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。
分析・レポート作成
外為どっとコム総合研究所
調査実施期間
2025年4月18日(金)13:00~2025年4月22日(火)24:00
調査方法
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今回の有効回答数は 457 件。
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問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。
「今後1 カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が20.1%であったのに対し「円高・米ドル安方向」と答えた割合は60.6%であった。この結果「米ドル/円予想DI」は▼40.5%ポイントと前月の▼3.5%ポイントからマイナス幅が大きく拡大した。調査期間前後の米ドル/円相場は、昨年9 月以来となる139 円台後半へ下落する展開。トランプ米大統領による連邦準備制度理事会(FRB)議長解任を巡る発言から米国の信認低下につながりドル売りが強まった。トランプ政権の政策に対する先行き不透明感もあり個人投資家は円高、米ドル安の見通しを強めたようだ。 今後1 カ月の米ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が155.00 円、最安値が130.00 円となり、高値の平均値は145.13 円、安値の平均値は139.18 円であった。高値の中央値は145.00 円、安値の中央値は139.80 円だった。実勢レートが前回調査時(最終日)から9 円程度切り下がったのに対して高値・安値の予想中央値は6~7 円程度、円高・米ドル安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
「今後1 カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が、21.2%であったのに対し「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は35.4%であった。この結果「ユーロ/円予想DI」は▼14.2%ポイントとなり、前月の△3.5%ポイントから弱気スタンスのマイナスへ転じた。 調査期間前後のユーロ/円相場は、162 円を挟んで方向感に乏しい展開となった。ユーロは対ドルで2011 年11 月以来の高値を付けたが主にドル安主導だった。また、ドル/円が140 円を割り込むなど円買いが強まる場面もあったことから、ユーロ/円の上値が重いと見る個人投資家が増加したのだろう。今後1 カ月のユーロ/円相場の高値と安値の予想については、最高値が170.00 円、最安値が150.00 円となり、高値の平均値は163.55 円、安値の平均値は158.73 円であった。高値の中央値は163.00 円、安値の中央値は160.00 円であった。実勢レートが前回調査時(最終日)とほぼ同水準だったのに対して高値の予想中央値は0.8 円程度、ややユーロ高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
「今後1 カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、18.4%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は43.8%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は▼25.4%ポイントとなり、前月の▼7.4%ポイントからマイナス幅が拡大した。調査期間前後の豪ドル/円相場は、90 円台を中心に上値の重い展開となった。米中貿易摩擦の激化が世界的な株安につながり中国と交易関係の深い豪ドルの上値を抑える格好となった。こうした状況を受けて、豪ドル/円の下値リスクへの警戒感を強める個人投資家が増えたと考えられる。今後1 カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が101.00 円、最安値が80.00 円となり、高値の平均値は92.48 円、安値の平均値は87.96 円であった。高値の中央値は92.00 円、安値の中央値は88.50 円だった。前月調査時(最終日)と比べ実勢レートが4.7 円程度切り下がったのに対して、高値・安値の予想中央値は4 円程度、円高・豪ドル安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問4:今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通しについてお答えください
「今後1 カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、18.2%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は36.5%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は▼18.3%ポイントとなり、前月の△5.6%ポイントから弱気見通しを示すマイナスに転じた。調査期間前後の英ポンド/円相場は、一時190 円を前に伸び悩む展開。日米財務相会談にて「円安是正」が協議されるとの警戒感から円が強含みやすい地合いだった。また、トランプ関税による先行き不透明感もあり個人投資家は円高・英ポンド安に振れやすいと見ているのだろう。今後1 カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が200.00 円、最安値が169.00 円となり、高値の平均値は190.48 円、安値の平均値は184.82 円であった。高値の中央値は190.00 円、安値の中央値は186.00 円だった。前月調査(最終日)から実勢レートが5.3 円程度切り下がったのに対して、高値・安値の予想中央値は前回から4~5 円程度、円高・英ポンド安方向へシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」と答えた割合が49.7%と最も多かった。次いで「米ドル」が19.9%で続き、さらに「ユーロ(9.0%)」、「スイスフラン(5.3%)」、「メキシコペソ(4.6%)」、「トルコリラ(3.9%)」、「英ポンド(2.4%)」の順になった。「円」が2カ月ぶりに首位を奪回し、回答割合は前回の35.8%から上昇した。問1の結果からも窺えるように個人投資家の米ドル/円相場に対する先安観はきわめて強い。調査期間中に一時140.00円の節目を割り込む場面もあっただけに、「円」が最も強くなるとの回答がほぼ半数に上ったのは当然の結果かもしれない。なお、「円」が最も強くなると答えた理由については「トランプ関税の先行き不透明感から円買い」、「トランプ政権のドル安政策」、「トランプ関税で世界的に景気後退」など、トランプ米大統領の影響による円高を見込む声が圧倒的に多かった。その他、「日銀は利上げを継続」、「日本と海外の金利差縮小」と、日本の金融政策を円高要因として考えている向きもあった。
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
問5とは反対に、今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「米ドル」と答えた割合が57.1%と圧倒的に多かった。次いで「円」が18.2%、さらに「中国人民元(6.1%)」、「トルコリラ(4.8%)」、「ユーロ(3.5%)」、「豪ドル(2.6%)」と続いた。「米ドル」は3カ月連続で首位の座を維持。その理由については「トランプ政権のドル安志向」、「トランプ大統領がドル高を毛嫌いしている」、「トランプ大統領は金利低下とドル下落を望んでいる」、「トランプ政治の間違いでドル離れが起きる」などと、トランプ米大統領の意向がドルの押し下げ要因になるとの見方が多く出ていた。また、「FRB議長が交代する可能性がある」、「米国はリセッションになると考えている」、「FRBは利下げせざるを得ない」などの意見もあった。いずれにせよ、トランプ氏の政策が結果的に米ドル安を引き起こすとの見方が強いということになる。米大統領就任当初は米ドル高に寄与するとの声が多かっただけに、ここにきてその反動が強く出ているとも言えるだろう。
問7: 米国のトランプ大統領による関税政策は、米ドル、円、ユーロの力関係にどう影響すると考えますか。今後3カ月程度の期間を念頭にひとつお選びください。
今回の特別質問として「米国のトランプ大統領による関税政策は、米ドル、円、ユーロの力関係にどう影響すると考えますか」と尋ねたところ、①「円>ユーロ>米ドル」が31.9%と最も多かった。次いで②「ユーロ>円>米ドル」が18.2%、以下僅差で③「米ドル>円>ユーロ」が14.4%、④「米ドル>ユーロ>円」が14.2%、⑤「円>米ドル>ユーロ」が13.8%と続き、⑥「ユーロ>米ドル>円」は7.4%だった。「円」が最も強いとする回答の合算割合は45.7%(①+⑤)、「米ドル」が最も強いとの回答は合計28.6%(③+④)、「ユーロ」は合計25.6%(②+⑥)だった。一方、最も弱い通貨の合算回答割合は「米ドル」が50.1%(①+②)と過半数に達し、次いで「ユーロ」が28.2%(③+⑤)、「円」は21.6%(④+⑥)だった。
問8: 米国のトランプ大統領の関税政策の影響も踏まえ、日銀の次の利上げはいつ になると思いますか。よろしければその理由もお書きください。
重ねて「米国のトランプ大統領の関税政策の影響も踏まえ、日銀の次の利上げはいつになると思いますか」と尋ねたところ、「年内なし」が34.4%と最も多かった。次いで「9 月」が19.5%、「7 月」が16.6%と続き、以下「6 月(10.1%)」、「5 月(7.7%)」、「10 月(7.4%)」、「12 月(4.4%)」の順になった。その理由について自由記述形式で尋ねたところ、最も多かった「年内なし」と答えた向きからは「トランプ関税とFRB の政策金利にアメリカの景気動向が不透明だから年内の利上げは難しいと思う」、「関税の内容にもよるが、輸出企業の収益が悪くなり、日本の景気、雇用等の悪影響が徐々に出てくる」、「日本は関税交渉で国内経済が打撃を受ける妥協しかできない」などと米国の関税政策の影響を挙げる声が多かった。また、「円高傾向なので輸入品の価格高騰は弱まって、インフレ圧力は軽減されるから」、「国債の支払い金利が厳しい」などとする意見もあった。なお、2 番目に多かった「9 月」と答えた向きからは、その理由について「90 日間のトランプ関税猶予後の経済指標を見てから利上げ」、「アメリカの夏休みが終わって関税戦争も落ち着く頃合い」などの声が上っていた。

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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個人投資家の円高予想が急増トランプ政策で米ドル安見通し強まる 外為短観 第191回
財政リスクによる「悪い金利の上昇」は米ドル安の要因となる可能性がある。しかしこのケースでは、アメリカの株式市場が下落することが予想される。アメリカの株安の影響は、世界の主要な株式市場に電波するだろう。外為市場では、よりリスク性の高い新興国通貨やオセアニア通貨に対してリスク回避の売りが高まろう。これらの通貨売りが、米ドル相場を下支えする可能性がある。また、トランプ政策によって景気が下支えされる場合、持続的な米利下げの観測も後退するだろう。
また、トランプ氏が政策を実現するには議会を通す必要があり、主張する政策がすべて通るかは不透明である。ゆえにトランプ氏勝利による米ドル高は一過性の投機的な動きで終わり、2024年末に向けての外為市場では、米ドル高のさらなる是正(米ドル安優勢)が予想される。
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ハリス氏勝利が大統領選挙で勝利する場合、個人的に注目しているのがアメリカ株式市場の反応である。ハリス氏は、政策綱領に法人税率を現行の21%から28%へ引き上げることを明示した。利益が10億ドル超の企業には「公平な負担をさせることが目的という。また、米国を拠点とする多国籍企業が海外で上げた収益にかかる税率も、現在の倍の21%にするとした。
上で述べたデータを精査した上で、植田日銀が持続的な賃金の上昇と個人消費の伸びに自信を持つ場合は、12月の会合で追加利上げに踏み切ることを想定しておきたい。
「今後1 カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、18.2%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は36.5%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は▼18.3%ポイントとなり、前月の△5.6%ポイントから弱気見通しを示すマイナスに転じた。調査期間前後の英ポンド/円相場は、一時190 円を前に伸び悩む展開。日米財務相会談にて「円安是正」が協議されるとの警戒感から円が強含みやすい地合いだった。また、トランプ関税による先行き不透明感もあり個人投資家は円高・英ポンド安に振れやすいと見ているのだろう。今後1 カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が200.00 円、最安値が169.00 円となり、高値の平均値は190.48 円、安値の平均値は184.82 円であった。高値の中央値は190.00 円、安値の中央値は186.00 円だった。前月調査(最終日)から実勢レートが5.3 円程度切り下がったのに対して、高値・安値の予想中央値は前回から4~5 円程度、円高・英ポンド安方向へシフトした。
今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」と答えた割合が49.7%と最も多かった。次いで「米ドル」が19.9%で続き、さらに「ユーロ(9.0%)」、「スイスフラン(5.3%)」、「メキシコペソ(4.6%)」、「トルコリラ(3.9%)」、「英ポンド(2.4%)」の順になった。「円」が2カ月ぶりに首位を奪回し、回答割合は前回の35.8%から上昇した。問1の結果からも窺えるように個人投資家の米ドル/円相場に対する先安観はきわめて強い。調査期間中に一時140.00円の節目を割り込む場面もあっただけに、「円」が最も強くなるとの回答がほぼ半数に上ったのは当然の結果かもしれない。なお、「円」が最も強くなると答えた理由については「トランプ関税の先行き不透明感から円買い」、「トランプ政権のドル安政策」、「トランプ関税で世界的に景気後退」など、トランプ米大統領の影響による円高を見込む声が圧倒的に多かった。その他、「日銀は利上げを継続」、「日本と海外の金利差縮小」と、日本の金融政策を円高要因として考えている向きもあった。
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