過酷なペイハラ 看護師の無力感

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過酷なペイハラ 看護師の無力感
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 過酷なペイハラ 看護師の無力感

過酷なペイハラ 看護師の無力感

「仕事だから割り切っている。日常茶飯事です」。日赤愛知医療センター名古屋第二病院(名古屋市)に勤めるベテラン看護師の女性が打ち明ける。患者に怒鳴られたり、体を触られたりすることもありストレスを募らせ、「特に言葉の暴力に恐怖を覚える」とため息をつく。

病院では昨年、職員が暴力を受け愛知県警に被害届を出す事案が発生。自衛できるよう県警昭和署にペイハラ対策の講習を依頼し、今年7月に看護師ら約50人が参加して護身術などを学んだ。

早速ですが質問です。皆さんは、在宅の現場でとても嫌な思いをしたことはありませんか?この質問をすると、ほとんどの方が頷かれます。訪問看護師、リハビリ、ケアマネージャーの方達は、地域の在宅医療を支えておられます。大変な仕事ですが、とてもやりがいのある仕事をしておられます。ただ人を相手にする仕事ですので、楽しいことばかり、いいことばかりがある仕事ではないかもしれません。利用者やそのご家族からの言葉に嫌な思いをしたり、ときに傷ついてしまったり、中には泣いてしまったりすることも起こるのではないかと思います。その嫌な思い、それは暴力かもしれないと、私は考えています。実際に皆さんが感じた嫌な思いがどのような状況であったのかについて把握しないと、暴力と断定することはできませんが、ご自身の感じた嫌な思いが、「実は暴力なのかもしれない」と考える視点を今日の話しを聞いて持っていただくことができたら、と考えています。ここでもうひとつ質問です。皆さんは、在宅の現場で暴力を受けたことはありませんか?私が暴力対策についてお話しさせていただく際、いつも同じ質問を聴衆にしますが、およそ半数の方達が、この質問に手を挙げてくださいます。つまり半数ほどの方は、ご自身が利用者や家族から暴力を受けた自覚があるということです。ただ、実は暴力を受けたことがないとおっしゃる方たちに話を聞いてみると、「怒鳴られた」「大声をあげられた」「触られた」など、暴力というほどではないが、嫌な思いになることをされたことはある、そのように答えられる方が、非常に多くおられます。そして、「その嫌な思いをした経験、それって暴力ですよね」とお伝えすると、多くの方は「え、それって暴力なんですね。暴力だと思っていませんでした」とお答えになります。私からの最初の質問に頷かれた方で、2つ目の質問に頷かなかった方、あるいは頷くことを躊躇された方たちは、実はご自身が暴力を受けていることに、気づいておられないのかもしれません。その理由はいくつかあると考えています。まず暴力の定義がそもそも曖昧です。人によって怒鳴られた感覚やセクハラを受けた感覚は異なります。同じ声の大きさでも、ある人は「声は大きかったけれど、自分の意見を主張したかっただけ」と考え、「自分は怒鳴られた、精神的な暴力を受けた」と感じる方もおられます。この違いは、個人の置かれてきた環境や性別などにより生じるように感じています。また、「利用者から受ける暴力は暴力ではない」と、誤った認識を持っている方もおられます。「暴力は、力の強いものがすることであって、社会的弱者がすることではない」と、考えている方もおられます。そのため、弱者である利用者がする暴力は、暴力ではないと思い込んでいる場合もあります。さらに、大声を出されたり、無視されたりしたことに対して、暴力を受けたと思いたくないとの心理が働く方もおられます。大声を出されたことに対して、「暴力を受けた」と考えてしまうと、自分が悲しく、辛くなってしまうからでしょう。この場合、暴力を受けたことを直視することができません。「この利用者は、本当は良い方だけど、今日は具合が悪かったのかもしれない」、また「この方は、もともと声が大きい人だから、今日の大きい声はわざとではない」など、色々と理由をつけて、暴力を振るわれたと考えないようにしている場合があります。それ以外にも、暴力を受けたと言えない理由があるのかもしれませんが、もし自分が受けた嫌な思いが暴力に該当するのであれば、我慢するのではなく、しっかりと対処していく必要があります。嫌な思いをする、暴力を受けることのある在宅医療の現場は、とてもきつい労働環境です。例えば利用者に手を払いのけられる、強い口調・命令口調であれこれ文句を言われる、手を握られる、セクシャルな話をされる、このようなことがあると、利用者や家族にどのように対応したらいいかわからない、利用者に関わることが苦痛、担当することがしんどい、もう辞めたい・・このように感じてしまう方は多くおられます。私たちの業種は、一生懸命に仕事に取り組もうとする方が多くおられます。そして、その方々は頑張りすぎてしまう傾向があります。頑張りすぎて辛くなり、抑うつ状態になってしまう方もおられます。嫌なことが続くと、仕事にやりがいを見出せなくなり、辞めてしまう人も出てくるでしょう。実際暴力への対応に関する書籍が出ているくらい、暴力は、在宅医療の現場で現在起こっている、重大な問題であることをまず認識しましょうS。

交通事故を起こしてしまった広末さんがパニック状態にあったという事情があったとしても、その衝動を生身の人間である看護師にぶつけてよい道理はない。

では次に、なぜそもそも在宅医療の現場で暴力が起きてしまうのか、ということについてご説明します。まず、最初に利用者と支援者の関係を整理してみました。通常、利用者と支援者は、契約上の社会的な人間関係にあります。そして両者の健全な関係では、社会的な人間関係は対等な立場にあります。支援者は、利用者の安寧の促進への思いをもち、支援を行います。そしてその支援に対して、利用者は診療報酬を支払います。また利用者が感謝してくれると、支援者はとても前向きな気持ちになることができます。このような関係性が構築されていると、「訪問看護師をやっていてよかった」「ケアマネやっていてよかった」と、やりがいを感じるようになり、より良いケアを提供できるようになります。このような健全な関係で仕事ができている人がほとんどではないかと思いますが、一部関係性のバランスが悪くなっている人がおられるかもしれません。利用者と支援者の不健全な関係では、利用者の方が上で支援者が下の立場におかれることがあります。利用者のなかには、「自分の家だから、主導権は自分にある」「サービスだし、お金も払っているんだから、何をいっても平気」「お客様は神様だ」「他の事業所もたくさんあるぞ」と考える方がおられます。さらにもし利用者に不安や精神疾患があると、これらの気持ちが底上げされたり、コントロールが効かなくなったりすることもあります。他方支援者側は、「信頼関係を築いて良いケアを提供したい」「みんなに平等にケアをしなければ」という倫理観を持っていたり、訪問サービスだと「サービスを利用してくれなくなったらどうしよう」「自分の評価が下がったらどうしよう」と社会的評価が気になったりする方もおられます。さらに利用者は社会的弱者という前提があるので、「病気でイライラしているのかも」「自分のやり方が悪いのかも」と、自分に問題があると考えてしまう傾向もあります。これは職種の問題でもあります。特に看護職は、自分の内省を促す教育を受けてきた背景があります。また介護や看護の現場は、奉仕の精神に支えられてきたことも影響していると考えています。原因は様々なものが重なりあっていますが、どうしても利用者と支援者の不健全な関係ができてしまうことがあります。ここで皆さんに知っておいてほしいのは、私たちの職種は、この不健全な関係に陥りやすい職種であるということです。このように理解をしておくことが、まず大切です。この不健全な関係は、私たちの対応次第でどんどん悪くなってしまうこともあります。つまり、個人に対する相手の行為がエスカレートしてしまうこともあります。したがって、利用者や家族が暴力的な行為をされる場合、個人で対応するのではなく、しっかりと組織として対応する必要があると考えています。

俳優の広末涼子さんが傷害罪の疑いで現行犯逮捕された。報道によると、広末さんは静岡県島田市の病院で、看護師の女性を蹴ったり、引っかいたりしてケガを負わせた疑いがあるという。

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