
本日のロンドン為替市場では、引き続きロンドンで行われる閣僚級の米中貿易協議の行方を見据えながらの取引とはなりそうだ。経済指標は英雇用データやノルウェー消費者物価指数(CPI)など、またフランスとオランダの中銀総裁の講演も予定されている。
昨日、中国側との交渉を終えたベッセント米財務長官やラトニック米商務長官は、充実した協議内容だったことを強調した。米中が貿易問題で歩み寄るようだと、「世界経済の先行き不透明感が薄まる」との期待感も高まるはずだ。気になるのは、トランプ米大統領が「近く協議に加わる予定」と述べたこと。大統領の意見で「まとまるもの」が「まとまらない」可能性は否定できない。
欧州勢の入り際に発表される英雇用データでは、2-4月失業率(ILO方式)や同時期の週平均賃金に注目したい。失業率が予想通りに4.6%となれば、2021年夏以来の悪い水準となる。平均賃金は5%超えと水準としては高いままだが、除く賞与は前回から減速が見込まれている。
来週の英中銀(BOE)会合では、政策金利は据え置かれるとの見方が優勢。ただ、ベイリーBOE総裁が「賃金上昇の鈍化が追加利下げの決定的な条件になる」と強調した後だけに、本日の結果次第で早期利下げ観測が浮上してくるかもしれない。
5月ノルウェー消費者物価指数(CPI)は前年比総合が4月分から加速予想。ノルウェー中銀は前回5月会合の声明で、年内の利下げを示唆している。ただし、政策金利の引き下げは夏以降に先延ばしとの予測が広がっており、今回のインフレデータでその見方を後押しすることになりそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル、6日高値1.1457ドル
・ポンドドル、5日高値1.3616ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル、2日安値1.1341ドル
・ポンドドル、5月29日安値1.3416ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し ロンドン為替見通し引き続き米中協議には注目 指標は英雇用データなど
トランプ大統領就任当初は強硬な関税政策で米国内の物価高が加速するという見通しが大勢を占めました。
5月26日の週のニューヨーク金市場は、トランプ米大統領が欧州連合(EU)に対する関税発動を延期したことなどを受けて売り優勢となったが、ドル高一服を受けて下げ一服となった。中心限月となる8月限は5月20日以来の安値3,269.1ドルを付けた。 トランプ米大統領は、欧州委員会のフォンデアライエン委員長との電話会談を受け、欧州連合(EU)に対する50%の関税発動期限を7月9日まで延長すると述べた。EUの交渉担当者は米政権の10%関税は撤回困難と認識し、全面的な貿易戦争の回避にはより大きな譲歩が必要との見方を示した。米大統領は30日、ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外の製鉄所で、輸入される鉄鋼とアルミニウムに課す追加関税を2倍の50%に引き上げる計画を表明した。6月4日から実施されるという。欧州委員会は31日、米大統領が打ち出した鉄鋼とアルミニウムへの関税倍増計画に対して、報復する用意があると強調した。また米大統領は、中国が相互に関税率を引き下げる米国との合意のほか、重要鉱物の取引に関する合意にも違反したと主張し、中国に対し厳しい措置を取る可能性を示唆した。中国の習近平国家主席と会談する見通しも明らかにしており、協議の行方を確認したい。 米国際貿易裁判所は、米大統領の世界的な関税措置を巡り、違法だとして阻止する判断を下した。米政権は直ちに控訴し、ホワイトハウスのデサイ報道官は「貿易赤字は国家非常事態であり、米国のコミュニティーを破壊し、労働者を置き去りにし、防衛産業基盤を弱体化させている。この事実は裁判所も異議を唱えなかった」とし「選挙で選ばれていない裁判官が国家非常事態への適切な対応を決めるべきではない」と表明した。米連邦高裁は、米大統領が世界各国・地域に対して課した関税の大半を違法とした判断について、一時的な執行の差し止めを命じた。最高裁による審理がほぼ確実視されており、トランプ関税に対する司法の判断も当面の焦点である。 4月の米国の航空機を除く非国防資本財(コア資本財)受注は前月比1.3%減少した。関税政策を背景に経済を巡る不透明感が増すなか、大幅に減少し、第2四半期序盤の企業設備投資の軟化を示唆した。事前予想は0.1%減。耐久財受注は同6.3%減少した。5月の米消費者信頼感指数は98.0と前月から12.3ポイント上昇した。米中貿易戦争の休戦を背景に5カ月連続で悪化したのち、改善に転じたものの、関税措置に起因する物価上昇と経済成長を巡る懸念は引き続きくすぶっている。事前予想は87.0。米新規失業保険申請件数は前週比1万4,000件増の24万件と3年半ぶりの高水準となった。労働市場の緩和が続くなか、予想以上に増加し、5月の失業率も上昇基調にあるとみられる。事前予想は23万件。4月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.1%上昇した。伸びは前月の2.3%から鈍化した。米国の関税措置を巡る状況が常に変化し、経済的な不確実性が高まるなか、家計が消費よりも貯蓄に資金を振り向けていることが背景にあるとみられる。今週は5月の米雇用統計の発表がある。 4月の香港経由の中国の金輸入量は58.61トンとなり、3月の21.07トンから178%増加した。金輸入の急増は中国人民銀行が4月に一部の商業銀行に対して追加輸入枠を発行したことが一因であり、米中の貿易戦争に対する懸念を受けた機関投資家や個人投資家の強い需要が背景にある。 5月30日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末7.74トン増の930.20トンとなった。ドル高一服を受けて安値拾いの買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月27日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは17万4,184枚となり、前週の16万3,981枚から拡大した。今回は手じまい売りが3,975枚、買い戻しが1万4,178枚入って、1万0,203枚買い越し幅を拡大した。
一方、日経平均の今後の見通しをめぐっては、ドル円相場(USD/JPY)の動向が追い風になる可能性がある。ドル円相場は日本時間6日夜に発表された米国の5月雇用統計が堅調な結果だったことを受け、一時、1ドル=145.09円まで円安が進行。労働市場の悪化が円高につながるとのシナリオは起こらなかった。円安は自動車各社を含め、海外で稼ぐ日本企業の業績の見通しを明るくする日経平均にとっての好材料だ。
・2-4月期決算は売上が前年同期比20%増(半導体ソリューションが同17%増、インフラストラクチャー・ソフトウェアが同25%増)、調整後EPSが同44%増と好調でした。AI関連売上は前年同期比46%増の44億ドルで、半導体ソリューションの52%を占めました。5-7月期のガイダンスは売上が約158億ドル(前年同期比21%増相当)で、AI関連売上は51億ドルへ加速する見通しです。
ニューヨーク・プラチナ7月限は米国と欧州連合(EU)の関税協議に関心が移るなか、調整局面を迎え、5月21日以来の安値1,050.5ドルを付けた。欧州自動車工業協会(ACEA)によると、4月のEUの新車(乗用車)登録台数は前年同月比1.3%増の92万5,359台となった。1‾4月は前年同期比1.2%減の364万0,211台となった。今週は欧州中央銀行(ECB)理事会があり、ユーロ圏の景気見通しも確認したい。 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、29日のロンドンで19.15トン(前週末19.26トン)、30日のニューヨークで33.61トン(同33.61トン)、29 日の南アで11.00トン(同11.00トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月27日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万5,343となり、前週の枚1万7,396枚から拡大した。
半面、サイバーセキュリティーのクラウドストライク・ホールディングスは6%近く下げた。前日夕に2025年2〜4月期決算とあわせて発表した5〜7月期の売上高見通しが市場予想を下回った。5月の欧州での販売台数の落ち込みが嫌気されたテスラも売られた。
こうした中、トランプ氏は6日、米中がロンドンで9日に閣僚級の関税協議を開くことも発表しており、レアアース問題での進展の有無は日経平均をめぐるムードを左右しそうだ。また米国で11日に発表される5月の消費者物価指数(CPI)の結果も、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しを変化させることで、円安要因にも円高要因にもなりえる材料といえ、やはり日経平均の見通しに対する影響が大きくなることが考えられる。
米連邦準備理事会(FRB)が4日公表した米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、前回の報告から経済活動は「わずかに減速した」と総括。経済を巡る不確実性の高まりを背景に、見通しは「わずかに悲観的」だとまとめた。米景気が減速するとみられるなか、企業業績の先行き不透明感は相場の重荷となった。
コメント