
ドル円は引き続き中東情勢への警戒感が下支えとなりそうだ。中東情勢への過度な懸念はいったん和らいだが、中東情勢の不安定化で「有事のドル買い」圧力は残されている。トランプ米大統領は主要7カ国首脳会議(G7サミット)を切り上げ、首都ワシントンに向けカナダの開催地を後にした。イスラエルとイランの攻撃の応酬が続く中、ホワイトハウスで対応にあたるとみられている。トランプ米大統領は「米国民の中東退去支援に取り組んでいる」と述べた。
中東の地政学リスクがドルの下支えとなる一方で、トランプ関税の不確実やトランプ減税法案による財政不安などで依然としてドルの上値は重く、ドル円は145円台で売りも出やすい。本日のNYタイムでは米5月小売売上高や同輸出入物価指数の発表が予定されている。小売売上高は前月比-0.7%予想と、関税の発動を控えて自動車の駆け込み購入が増えた後の需要低下でマイナスに転じると見込まれるが、同コア(除自動車)は前月比+0.1%と前月から横ばいが予想されている。予想以上に関税の影響が確認されれば、ドルに売り圧力が強まりそうだ。
なお、本日の東京タイムでは日銀が政策金利を0.50%で据え置いたほか、来年4月からの国債買い入れの減額ペースを2000億円程度に圧縮することを明らかにした。ほぼ市場予想通りの結果と言える。また、植田日銀総裁は「経済・物価の見通しが実現していけば、経済・物価の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げる」と繰り返し、関税・通商協議の不確実を強調した。発言内容に大きなサプライズは見られていない。
・想定レンジ上限
ドル円、日足一目均衡表・雲の上限145.60円近辺が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、日足一目均衡表・転換線144.00円近辺が下値めど。
(金)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通しドル円 中東懸念は支えとなるも伸び悩むか
本記事では、クローガー(KR)の2025年3月発表2024年度第4四半期決算を振り返り、6月に控える2025年度第1四半期決算の見どころを解説します。前四半期はデジタル強化とコスト抑制で底堅さを示した一方、経営トップ交代やアルバートソンズとの統合断念など構造的な変化が相次ぎました。市場は同社が「日常必需品+デジタル会員基盤」というハイブリッド戦略を維持しつつ、物価動向と競争激化のはざまで利益成長を確保できるかを注視しています。前回(2024年度第4四半期)決算の振り返りクローガーは2025年3月6日に2024年度第4四半期(2025年2月1日締め)の決算を発表しました。売上高は343億ドルとなり前年同期比で減少しましたが、燃料や売却済み事業を除く既存店売上高は前年同期比2.4%増加し、安定的な業績を示しました。また、調整後の1株当たり利益(EPS)は市場予想を上回る1.14ドルを記録し、利益水準も堅調でした。特に評価されたのは利益率の改善です。粗利益率は在庫管理の改善やコスト削減の取り組みにより22.7%まで高まりました。さらに、デジタル売上高が前年同期比11%増加し、年間デジタル売上が130億ドルに達したことも、デジタル戦略の成功を印象付けました。クローガーはまた、通期業績見通しを「燃料を除く既存店売上高2〜3%増、調整後EPSは4.60〜4.80ドル」と発表しました。これに加え、自社株買いを総額75億ドルの枠内で加速的に進めることも明らかにし、株主還元策への積極姿勢を示しました。前回決算以降の主なニュース決算後に最も注目されたニュースは経営陣の交代でした。3月初旬、長年CEOを務めていたロドニー・マクマレン氏が個人的な行動が倫理規定に反したとして辞任を余儀なくされました。暫定的な後任として、元ステイプルズCEOのロン・サージェント氏が取締役会長兼CEOに就任しました。一時的な不安感が市場に広がったものの、株価への影響は限定的で、会社のガバナンスへの信頼は概ね維持されています。また、大きな戦略転換として、総額246億ドル規模で進められていた同業大手アルバートソンズの買収がFTC(連邦取引委員会)や州裁判所による差し止めにより頓挫しました。さらにアルバートソンズ側からクローガーが訴えられる展開になっています。この合併が実現しなかったことで期待されていたシナジー効果は失われましたが、財務的な柔軟性が保たれたと見る投資家もいます。今回(2025年6月)決算の注目ポイント今回の決算で投資家が注目すべき主なポイントは三つあります。一つ目は燃料を除く既存店売上高が引き続きガイダンスの上限近く(3%増)を達成できるかどうかです。食品業界では競争激化が続いており、生鮮品の価格競争が利益率を圧迫する可能性もあります。販売数量の維持・拡大がどの程度可能かが焦点です。二つ目はデジタル販売の成長持続性です。前四半期のデジタル売上は11%増と好調でしたが、宅配や店頭受け取りを中心としたデジタルサービス「Boost」の拡大が粗利益率改善に引き続き寄与するか注視されます。三つ目はコスト管理の徹底と収益性維持です。特に人件費の上昇が続くなかで、販管費をどこまで抑制できるかが重要です。さらに買収の中止に伴う訴訟費用や関連コストがどの程度影響するかも気になります。株価の動向と投資家への示唆2025年6月10日時点のクローガーの株価は65.37ドルで、4月22日の史上最高値72.63ドルからは約10%下落した水準にあります。現在の株価指標を見ると、株価収益率(PER)が約15.9倍、株価純資産倍率(PBR)は約1.6倍で、食品小売業界としては妥当な水準と評価されています。直近では、CEO交代や買収断念の影響による株価調整局面から徐々に回復しています。今回の決算が好調な内容であれば、過去の高値圏への再接近も十分考えられます。ただし、FTCとの訴訟問題や今後の訴訟費用、物価動向などの外的要因が短期的な不安要素として残っており、投資判断には慎重な姿勢が求められます。まとめと個人投資家への提言今回のクローガー決算では、デジタル販売の継続的な拡大と既存店売上高の堅調な推移、経営陣交代後のコスト管理力が焦点となります。訴訟関連費用や外部環境の影響を冷静に見極める必要はありますが、安定した財務基盤や株主還元方針に対する市場の評価は高く、中長期的な視点から投資を検討する価値は十分あるでしょう。投資家は今回の決算発表を受けて、株価の一時的な変動に惑わされず、堅実に業績トレンドを確認しつつ、投資戦略を慎重かつ柔軟に構築していくことが望ましいでしょう。
国債買い入れ計画の変更がおおむね市場のコンセンサスに沿ったものであったなか、もう1つ注目されたのが植田総裁が会見で示した経済の見通しです。植田総裁は「アメリカの関税政策を巡って影響が今年の後半に本格化してくる可能性がある」と言及し「経済・物価ともに下振れリスクの方が大きいと判断した」と明言。末廣氏は「非常にハト派的な発言。総裁は特に7〜9月期に実際のハードデータが下振れする可能性を懸念しています」と指摘します。
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