日本郵便 ヤマトなどに集荷委託へ
23年10月から展開を開始した日本郵便の配送網で配達する衣類や書籍などの小型荷物を日本郵便が配達先の郵便受けに投函する「クロネコゆうパケット」も25年2月をめどに自社で集荷・配送を行っている小型薄物荷物商品「ネコポス」との完全切り替えを進めてきたが、ヤマトホールディングスでは「日本郵便への配達委託を進めるなかで、従前よりお届けするまでの日数が伸びてしまう事態が発生している」とし、「お客さまのニーズに応えられない状況を解決するため、日本郵便に対して『ネコポス』から『クロネコゆうパケット』への切り替えに伴う配達委託スケジュールの見直しに係る申し入れを行い、真摯に協議を重ねている」ことを12月18日に発表小型薄物荷物の配達の完全委託の時期の見直しを日本郵便に申し入れていたことを明らかにしていた。
小型の薄型荷物に関しては、25年3月までに全ての配達業務を日本郵便に移行する計画を立てている。
日本郵便は12月23日、ヤマト運輸が日本郵便に対して小型の薄型荷物配達の委託方針見直しを一方的に提案してきたと主張し、ヤマトを相手取り、損害賠償などを求めて同日、東京地方裁判所に提訴したと発表した。
これに対して日本郵便は2023年の提携合意に伴い、「メール便領域および小型薄物荷物領域において協業を進め、2025年2月までに(ヤマト運輸の荷物の配達について)完全移管し、両領域の荷物の全量を当社の配達網でお届けすることとしていた」とし、「メール便領域では、ヤマト運輸が取り扱っているクロネコDM便のサービスを当初の予定どおり2024年1月31日に終了し、新サービス「クロネコゆうメール」の取り扱いを開始している。小型薄物荷物領域では、ヤマト運輸が取り扱っている『ネコポス』のサービス提供を2023年10月から順次終了し、2025年2月から全ての地域で新サービス『クロネコゆうパケット』を利用いただけるようにすることを目指して当社は最大限の準備を進めてまいりましたが、ヤマト運輸側のシステム対応やお客さま対応の遅れなどにより、『ネコポス』から『クロネコゆうパケット』への移行は、当初計画を大幅に下回る状況が続いていた」としたうえで「小型薄物荷物領域の『クロネコゆうパケット』に関して、ヤマト運輸側の一方的な事情で2025年1月から当面の間、当社への運送委託を停止することを内容とする計画変更の申し入れを受けた。この申し入れについて当社は承諾していないが、ヤマト運輸側は合意に基づく運送業務の委託義務の存在自体を争い、一方的に当社への委託の停止を進めるべく、既に当社への運送委託の停止に向けたアナウンスや準備作業を進め、2025年2月を予定していた当社の配送網を活用した両社による投函サービスの全国展開については、予定どおりの実施が困難となる見込み」とし、「(2023年6月の協業締結時の)合意内容である小型薄物荷物の当社への運送委託についてヤマト運輸が履行義務を負うことの確認を求めるとともに、これが履行されない場合の損害の賠償を請求すべく、東京地方裁判所に損害賠償等請求訴訟を提起した」として、ヤマト運輸に対して合意内容の履行義務を負うことの確認と、履行されない場合は損害賠償として120億円の支払いを求めたとしている。
一方、打診について日本郵便はヤマトが協業で合意した内容に反していると反発、協議は平行線をたどっているもようだ。
ヤマトの打診の背景には業績の悪化がある。ヤマト運輸の親会社、ヤマトホールディングスは24年9月中間期の最終損益で、中間期として5年ぶりに赤字に転落した。ネット通販の伸びが鈍化する一方、人件費や物流コストなどが増えたことで日本郵便への委託料が重荷となったとみられる。
関係者によると、両社が協議しているのは、クロネコゆうパケットを巡る配達の委託だ。ヤマト側が、2025年1月~26年3月の間の委託を中断したいと申し入れた。委託を始めた一部の地域で、輸送にかかる日数が以前より長くなっていると主張しているという。一方、得意とする二輪で配達できる荷物の取扱個数を増やし、収益の拡大を期待してきた日本郵便側は、合意に反するとして反発している。
日本郵便は、「ヤマト側から見直しの申し入れがあり、両社で協議している」とコメントした。ヤマト運輸は「コメントを差し控える」としている。
なお、ヤマト運輸は1月21日付で「クロネコゆうパケット」の全国発売開始と、「ネコポス」による全国翌日配達の継続を発表。2月1日からこれまで一部の地域で展開してきた日本郵便に委託する形で配達を行う「クロネコゆうパケット」を全国で展開するとした。一方、「ネコポス」も同日以降も継続。全国翌日配達(一部地域を除く)を行なっていくとしており、2月時点での「クロネコゆうパケット」への全面移行を見送ることを正式に表明している。
ヤマト運輸が、小型の薄型荷物「クロネコゆうパケット」の配達を委託する日本郵便に対して、委託の停止を打診したことが13日、わかった。両社は昨年6月、メール便や薄型荷物の配達を日本郵便に一本化することで合意したが、協業の行方が見通せない状況となっている。
日本郵便は「ヤマトが当社に一方的な停止を通知し、(協業の)合意に基づく義務の存在自体を争う状況となった 」と説明。ヤマトが当初予定通り、2025年2月1日から26年1月31日まで小型薄物荷物の運送を顧客から受託した場合は運送業務を日本郵便へ委託する義務があることを確認するとともに、義務を履行しない場合は逸失利益が発生するとして、120億円を賠償するよう要求している。
関係筋によれば、今年11月、ヤマトから日本郵便に、2025年1月から26年3月までの間、配達の委託を中断することを打診。ヤマトは一部の地域で配達までに想定以上に時間を要していることなどを理由に挙げているという。
「日本郵便の紙のリサイクル(窓口用)書類溶解サービス利用申込書」を郵便局窓口へご提出いただきます。 必要事項をご記入の上、郵便局窓口へ料金と共にお渡しください。
ヤマト運輸が日本郵便に対し、小型の薄型荷物「クロネコゆうパケット」の配達委託中断を打診していることが明らかにになった。
両社は2023年6月、「物流2024年問題」や人手不足などの課題に対応するため、協業を発表。住戸のポストに直接投函できる小型の薄型荷物やメール便は両社がそれぞれ集荷した上で、配達は日本郵便が担う方針を示していた。


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