証券口座乗っ取り 監督指針改定へ
ことしに入ってから証券業界では、個人投資家が証券口座のサイトにログインするためのIDやパスワードなどが流出し、身に覚えのない取り引きによる被害が増えています。金融庁の調査によりますと、ことし2月から4月16日までに発生した不正な取り引きの件数は1454件、買い付けられた金額はおよそ950億円に上っています。不正な取り引きによって多くの投資家が損失を抱える一方、証券会社は当初、補償に慎重な立場でした。証券会社の約款では、例えばログインやパスワードの漏えいによって生じた損失については責任を負わないなどと定められているほか、金融商品取引法で禁じられている「損失補てん」に該当する可能性もあるというのが主な理由です。しかし、被害がさらに拡大する中、加藤金融担当大臣は、先月22日の閣議のあとの会見で「各証券会社に対して顧客の不安を解消するべく、問い合わせや相談に真摯(しんし)に対応し、被害の回復に向けて誠実な対応をとるよう指示した」と述べました。また、金融庁も不正アクセスによる被害であれば金融商品取引法の規制には該当せず、補償にむけた検討を進めるべきだという考えで、業界団体の日本証券業協会が各社と意見調整を行い補償に向けた基準の検討などを進めてきました。NISAが拡充されるなど国や業界が貯蓄から投資の流れを一段と加速させようとしているさなかで相次いだ被害だけに、投資家保護を優先したものとみられます。ただ、各社の補償は約款自体を変更するのではなく、特別な対応となる見通しで、業界では「多要素認証」の必須化などセキュリティー対策の強化も同時に進めていくことにしています。
ことしに入って証券口座のサイトにログインするためのIDやパスワードなどの情報が盗まれ、身に覚えのない株式などの売買が行われる被害が相次いでいて、顧客に被害が確認された証券会社は少なくとも9社に上っています。こうした中、業界団体の日本証券業協会は2日会見を開き、被害が確認された9社を含め大手10社が、被害の状況に応じて顧客に補償する方針を決めたと明らかにしました。身に覚えのない売買でなくなったり減ったりした資産のうちどれだけ補償するかや、補償する時期については、一律の基準ではなく証券会社がIDやパスワードの管理状況などを確認し、個別の事情に応じて検討していくということです。こうした被害について、これまで証券会社は約款で「責任を負わない」と定められていることなどを理由に補償には慎重な立場でしたが、被害の拡大を受けて応じることとなりました。
日本証券業協会の松尾元信専務理事は「不正取り引きの犯罪が多発している極めて深刻な状況を踏まえ、証券界としての信頼確保や証券市場の健全な発展のため、かなり異例の措置として講じることにした」と述べました。日本証券業協会は「口座を開設している証券会社のホームページなどの案内を確認してほしい」としています。補償をする方針の10社はSMBC日興証券、SBI証券、大和証券、野村証券、松井証券、マネックス証券、みずほ証券、三菱UFJeスマート証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、楽天証券です。
当社は、個人情報保護委員会の認定を受けた認定個人情報保護団体である日本証券業協会の協会員です。同協会の個人情報相談室では、協会員の個人情報の取扱いについての苦情・相談をお受けしております。
証券口座を乗っ取られて身に覚えのない株式などの売買が行われる被害が相次いでいる問題で、証券会社の業界団体は2日、大手10社が被害の状況に応じて顧客に補償をする方針を決めたと明らかにしました。


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