
東京市場は堅調か。米国株は上昇。ダウ平均は374ドル高の42581ドルで取引を終えた。米国がイランの核施設を攻撃したが、それに対するイランの報復が抑制的と受け止められたことで、地政学リスクが後退。原油価格の急落も安心材料となり、株式には資金が向かった。ドル円は148円近辺まで円安が進んだ後、一転円高に振れる荒い動きとなっており、足元では145円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが190円高の38590円、ドル建てが295円高の38695円で取引を終えた。
朝方にトランプ大統領が、イスラエルとイランが完全な停戦で合意したと、自身のSNSに投稿している。日本株は米国株高や大統領の投稿を好感した買いが入るだろう。ドル円は円高に傾斜しているが、前日大きく円安に振れた際に自動車株など外需が強く買われたわけではなかっただけに、逆風にはならないとみる。中東リスクの後退により市況関連や防衛関連は敬遠されそうだが、全体では強い動きが続くと予想する。日経平均の予想レンジは38500-38900円。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
防衛支出拡大の寄与は 26年から本格化する見通しです
S&P500への影響度が高い大手ハイテク株の値動きも堅調だ。エヌビディアの株価(NVDA)の6日の終値は141.72ドル。週次4.88%高の上昇を果たし、1月6日の最高値(149.43ドル)まで5.44%%に迫った。メタ・プラットフォームズ(META)は週次7.76%高、アマゾン・コム(AMZN)は4.18%高となっている。電気自動車(EV)大手のテスラ(TSLA)が週次14.81%安となっていることを除けば、大手ハイテク株の見通しは明るくなっているといえそうだ。
●米ファクトセット(FactSet)によれば、日米の企業業績の見通しは堅調です。4月末の米S&P500種指数の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+9.0%、TOPIXの予想EPSは同+12.1%となりました。ただし、足元のガイダンス撤回や業績下方修正はまだ反映されていません。
●米国の25年の実質GDP成長率見通しを1.5%、26年を1.3%へ下方修正しました。トランプ政権の大幅な関税引き上げにより、スタグフレーション的な影響が出る可能性が高まっています。個人消費デフレーターの上昇率は25年3.2%、26年3.1%に上振れる見通しです。対中関税は最初の相互関税発表時の54%(薬物関連の20%含む)まで引き下げられると想定しています。関税の水準が大きく変動するため、不透明感を理由に新規投資や雇用を抑制する企業が増えていますが、家計、企業ともに手元資金が潤沢で、減税も見込まれることから、景気後退は回避できると予想します。
ただ、S&P500の今後の見通しをめぐっては米国と中国の対立という不安要素がある。トランプ氏は6日、トゥルースソーシャルへの投稿で「ロンドンで9日」に、米中間の閣僚級協議を行うと公表。米国側からはスコット・ベッセント財務長官、ハワード・ラトニック商務長官、ジェミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表が参加するとした。トランプ氏は5日に中国の習近平国家主席と電話会談したが、米国が問題視する中国によるレアアースの輸出規制をめぐる協議に前進があったかは不透明。9日の協議でも大きな進展が確認されなければ、S&P500に下押し圧力がかかることも考えられそうだ。
●欧州では、25年の成長率見通しを0.7%に引き下げました。米国の相互関税が想定より引き上げられたことが要因です。26年には1.3%成長に回復する見通しです。①エネルギー価格が低位安定している、②ECBの利下げや域内防衛費の拡大、③ドイツの財政支出拡大、などプラス効果が期待できます。防衛支出拡大の寄与は、26年から本格化する見通しです。
原油価格は、世界的な景気減速懸念から需要見通しが悪化する一方で、石油輸出国機構(OPEC)が増産を示唆し、軟調な展開となりました。
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●欧州では、ECBによる利下げが見込まれますが、財政拡張へ政策転換した効果が経済を下支えし、長期金利はレンジ内の推移となる見通しです。
●日銀は、米国関税引き上げの影響による景気後退の回避が確認できれば、金融政策正常化を継続し、25年10月に利上げを行う見通しです。
また5月雇用統計で示された労働市場の強さは、株式市場で期待されているFRBの利下げの見通しを弱める結果となっている。ブルームバーグによると、金融市場が見込んでいる12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は6日時点で3.885%となり、前日から0.089%ポイント上昇した。CMEグループのデータでは12月までに2回の利下げが行われる確率は日本時間7日朝の段階で60%程度で、前日の74%程度から大きく下がっている。
●日銀は、24年度の政策金利の引き上げを2回とも実質GDP見通しの引き下げと同時に行っています。景気の減速は金利政策にあまり影響しないようです。3月の全国消費者物価指数(除く生鮮食品・エネルギー)は2.9%上昇でしたが、利上げの可能性は低くなっているようです。
●日本株式市場では、トランプ関税の不透明感が強く、円高への警戒感もあるため、神経質な展開が続く見込みです。株価純資産倍率(PBR)の水準は既に低水準で、日本企業の新年度の業績見通しが悪いことは株価に織り込まれたようです。日本企業のガバナンスは改善しており、決算発表と同時に自社株買いなど株主還元の強化の発表も有りそうです。米国の関税政策の不透明感が和らげば、株価は回復に向かうと予想します。
テスラの株価は、イーロン・マスクCEOとトランプ氏の蜜月関係が崩壊したとみられることが悪材料となった。マスク氏は3日午後、SNSのXへの投稿でトランプ氏が後押しする債務上限引き上げを含んだ減税関連法案を「むかつくほど嫌いだ」と批判。これに対してトランプ氏は5日、自身のSNSトゥルース・ソーシャルへの投稿で、予算規模縮小のための最も簡単な方法はマスク氏の企業に対する補助金や政府との契約を打ち切ることだと応戦。決別が決定的になったとみられている。テスラの株価をめぐっては6月中に見込まれる新型車の発表などが追い風になる可能性があったが、見通しは暗転した。
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