NHK赤字 受信料収入最大の減額幅
(森下委員長) 次は審議事項です。放送法改正等に伴う日本放送協会放送受信規約の一部変更について執行部から説明をいただき、審議をしたいと思います。 (正籬副会長) 放送法改正に伴う日本放送協会放送受信規約の一部変更についてご審議をお願いします。 受信規約の変更につきましては、総務大臣に認可申請する案の議決にあたり、法令に基づき経営委員会において意見募集を行うこととなっております。素案を取りまとめましたので、ご審議をお願いします。 説明資料を使ってご説明します。今回の受信規約変更の概要、条文ごとの変更内容、それから割増金の内容について説明したものです。 1ページです。受信規約変更の概要について説明します。今回、放送法と総務省令の改正等に対応するため、2023年4月から放送受信規約を一部変更したいと考えております。2022年10月に受信料の適正かつ公平な負担を図るための制度の整備を含む改正放送法が施行され、これに合わせて受信契約の条項に定める事項などを規定する総務省令が改正されました。そのため、今回、受信規約に放送受信契約の申込み期限を新たに規定するとともに、割増金に関する事項など、法令の改正に対応するために必要な変更を行います。そのほか支払い手段の多様化への対応や、個人情報保護法の改正に伴う告示の変更等、必要な規定の変更を行います。 2ページです。受信規約素案の条文ごとに内容をご説明します。 割増金に関連する変更についてです。第3条において、受信契約の申込み期限を現行の受信規約で「遅滞なく」とされていることとの整合性等から、受信機の設置の月の翌々月の末日までと規定します。 第12条において、割増金は事由に該当する場合、全て一律に請求するのではなく、個別事情を総合勘案しながら運用していく方針から「請求することができる」と規定します。 割増金については、後ほど詳しくご説明しますが、割増金の対象となる具体的な不正として、解約と免除を虚偽の内容で届け出ることを規定します。また、受信契約の申込み期限を過ぎた場合の割増金について、割増金の対象期間や地上契約をされている方が衛星放送の受信設備を設置された場合も適用されることを規定します。割増金の倍数は改正省令で定める上限の2倍と規定します。 第12条の2において、延滞利息も割増金と同様に請求することができると規定します。 付則において、変更規約の施行以前の受信機設置者の割増金の取扱いについて、契約申込み期限は「変更後の受信規約施行の翌々月末日まで」、割増金を請求する期間は「変更後の受信規約施行後の期間分」と規定します。 続いて、そのほかの法令に関連する変更についてです。 第2条において、「受信契約を締結する必要はない場合」について、「事業所等住居以外」の必要がない場合を規定します。 第4条におきまして、「契約の成立時期」について、2017年の最高裁大法廷判決を踏まえ「受信機の設置者とNHKの双方の意思表示の合致の日に成立する」と規定します。 その他の変更事項についてです。 第6条において、支払い手段の多様化対応として、「継続振込」による支払いを紙の払込用紙以外でも行えるように、振込用紙が電磁的方法により提供される場合を含むことを規定します。 第13条の2において、個人情報保護法の改正に伴う対応として、ガイドラインの告示日・番号等を変更します。 第7条において、用字の整理を行います。 3ページです。割増金に関する受信規約素案の内容についてご説明します。改正放送法では、「不正な手段により受信料の支払いを免れた場合」と「期限までに受信契約の申込みをしなかった場合」に割増金を請求できることが規定されました。 「不正な手段により受信料の支払いを免れた場合」として、悪質性が高いと考えられる「解約」と「免除」の2点について不正があった場合に対象となることを規定します。「解約」と「免除」以外にも不正は考えられますが、その他の不正で割増金の対象とする場合には、悪質性などを総合勘案して、第3号の包括条項で対応したいと考えています。 「期限までに受信契約の申込みをしなかった場合」の申込み期限を、「受信機の設置の翌々月の末日まで」として、期限が過ぎた場合に「請求することができる」と規定します。2〜3か月の申込期間があれば十分に申し込みいただくことができ、NHKからも申込みを促す等の必要なご案内が可能であると考えています。なお、地上契約をしていて新たに衛星放送の受信設備を設置された場合も、申込み期限を過ぎた場合は割増金の対象となります。割増金の額ですが、国内の類似法制度の水準や公平負担が実現されることを期待して導入された制度であることを踏まえて、改正省令で定める上限の「2倍」と規定します。 4ページです。割増金についてのNHKの方針のご説明です。NHKとしては割増金が導入されてもNHKの価値や受信料制度の意義をご理解いただき、納得してお手続やお支払いをいただくという、これまでの基本方針に変わりはなく、割増金は事由に該当する場合に全て一律に請求するのではなく、個別事情を総合勘案しながら運用していくものと考えています。法改正の国会審議の経緯として、金子総務大臣の答弁と附帯決議を記載しています。 別紙の素案についてです。具体的な受信規約の条文の変更内容は左側が変更案、右側が現行規約として示しております。各条のご説明は割愛させていただきます。なお、付則の第1項で施行日を来年2023年4月1日と規定しています。 説明は以上です。ご審議よろしくお願いいたします。
受信料の各種割引制度も、かなり複雑ですので、そのようなところは整理していきます。
学生への免除を拡大することは、大学の教師としてはとてもうれしいニュースではありますが、NHKの受信料は、免除基準に根拠がはっきりしないものも少なくないと私は考えています。 2018年の基準変更の際にも経営委員会で何度か指摘をしましたが、よい制度というのはシンプルな制度だと思います。受益と負担の関係が分かりやすいものにすることで初めて、受信料の値下げに対して国民の理解や、ありがたみも伝わると思います。できるだけシンプルに、分かりやすい制度にしていくことを、このような大きな改革をするときには心がけていただければと思います。
(伊藤専務理事) 改正放送法が10月1日に施行されたことに伴いまして、インターネット活用業務実施基準の一部について、形式的な変更が必要になっています。ご審議の上、議決いただきたいと思います。 参考としています「インターネット活用業務実施基準の変更について」でご説明します。 まず、放送法の改正によりまして、実施基準の策定義務を規定する第20条第9項は、第10項に繰り下げられました。実施基準では第1条で放送法第20条第9項の基準であることをうたっておりますので、これを第10項と改めます。 同様に実施基準の認可の要件を定めた第20条第10項は、11項に繰り下げられました。またこの中で、受信契約の締結義務を定めた放送法第64条第1項の内容に言及している部分が、64条1項の改正に伴って変更されています。11項の3号、黄色マーカーの部分に注目していただければと思いますが、「その放送受信についての契約をしなければならない」という文言が「受信契約を締結しなければならない」と変わっています。 実施基準では第4条で放送法第20条第10項に触れておりますので、改正法に合わせて変更します。赤字・下線が変更するところです。実施基準の本則の変更は以上です。 変更の施行日については附則で定めています。すでに施行されている放送法とのずれを速やかに解消するため、総務大臣の認可を受けた日とします。ここまでご説明した内容につきましては、議決をいただければ速やかに総務大臣に認可を申請します。 もう1点、実施基準につきましては、すでにNHKワールド・プレミアムの外国動画配信事業者への提供について、8月の経営委員会で議決をいただき、認可申請をしているところです。今回ご説明した変更は形式的な変更であり、またすみやかに施行する必要があることから、認可申請中の案よりも先に総務大臣の認可を受けて施行されることが想定されます。 その場合には、現在認可申請中の案を一部修正する必要が生じます。本日、この修正についても併せて議決をいただきたいと考えています。 スライドの下の枠をご覧ください。附則第1条のマーカー部分の変更に伴って廃止する基準を「令和4年1月11日に認可を得た基準」としていますが、この日付を、先にご説明した変更について認可を受けた日付と入れ替える修正を行います。修正はさきにご説明した変更につきまして認可を受けた場合に速やかに行います。 最後に意見募集についてご説明をします。実施基準につきましては、放送法施行規則の規定によりまして、経営委員会の議決をいただく場合は意見募集を行うこととされていますが、放送法改正に合わせて放送法施行規則が改正され、形式的な変更については意見募集が不要となりました。今回ご説明した内容はいずれも形式的な変更に該当し、意見募集は不要となります。この資料での説明は以上です。 本日、議決いただければ速やかに総務大臣に認可を申請します。現在、認可申請中の案の修正については、日付が確定次第、必要な手続をします。ご審議のほどお願いします。
前回までの経営委員会でのさまざまな意見を反映いただいたかたちでの修正も含め、相当の経営努力をされる覚悟を感じました。それを見てまずは評価させていただきたいと思います。 また、先ほどから説明いただいた1,500億円を還元原資とすることについて、昨年1月に菅前総理が、月額で1割を超える思い切った受信料の引き下げにつなげると明言しましたが、そのときに衛星波や地上波という意見はなかったなかで、今回、地上波も含めてクリアする案になっていると思います。 事業収入がこれだけ落ちることになることから、合理化が非常に大事だと思います。数字的には、これまでの議論でのわれわれの要望を反映していただいたと評価します。
私の意見は安田代行のご意見とは少し違うのですが、NHKは国家公務員ではありません。そもそも大学も大学法人になりましたので、国家公務員が10%給料を減らすから大学も減らすというのは本来おかしいと思います。NHKは公務員を見習う必要はないわけです。NHKは1つの事業体ですから、経営をきちんと行う、コストを下げ、それから生産性を上げ収支を改善する。できたら受信料を下げ、国民にも還元するということをきちんとやる中でさらに利益を上げると言うことだと思います。そのためには大変な努力が要ります。その努力の基本というのは、NHKの職員のやる気、働く気ですから、そこを刺激することで、より少ない人間で効率を上げられたら、それに対して給料を払ってもいいのではないかと思うのです。それが経営なのです。そこを行わないで、ただ給料を減らすというと、人間はやる気がなくなりますので、NHKの経営改善も進まないと私は思います。
先ほど、尾崎委員から人口構造の変化などのデータを示すなど、もう少し根拠を出してほしいという指摘もありましたが、「2025年問題」と言われているように、団塊の世代が全て後期高齢者になると、施設に入る人も増えるでしょうし、若い人はテレビを持たない人も増えるとなると、今回ご提示いただいた2026年度までの想定について、その後も含めて、本当にどうなっていくと考えているのか、この資料だけでは見えないことがあまりに多いかなと思います。 また、もう一つ気になるのは、今回も免除基準の変更についてご提示がありましたが、今までの免除基準についても、根拠のはっきりしないものがいろいろとあると思っておりまして、その影響も小さくないのではと思います。 2018年に受信料を値下げしない代わりに、社会福祉法人が経営する施設を全て受信料免除にしましたが、このことについて、私は本当に問題があると思い、何度も当時の経営委員会で指摘をしました。ほかにも設置月の無料化などもありました。 2018年の議論の中でも象徴的だった受信料体系の免除基準の部分などに、とても違和感がありますので、そのあたりも整理をしていかなければ、視聴者の皆さまも納得できない点があるのではないかと思います。
われわれとしては、前回の経営委員会でも値下げについては衛星波だけではなく、地上波も考えたほうがよいと意見してきたことから、今回、両方とも1割値下げするという強い決意を示されたことに対しては、敬意を表したいと思います。 その上で、営業経費について、法人委託をやめることで大幅な削減となることから、これは1つの合理化・効率化でよい施策ですが、一方で、それを補うための新たな受信料収入を安定的に維持する、あるいは増やしていくためのさまざま取り組みについて、必ずしも進捗状況が芳しくない部分もあるかと思いますので、ここはぜひしっかりと取り組んでいただきたい。 前田会長が会長になる直前の2020年度の事業支出7,300億円が、2027年度見込みで5,900億になるということで、1,400億円事業支出を落とすために、さまざまな改革に取り組まれると思います。1,400億円というと、中堅企業1社当たりの年間売上げにも匹敵する金額であり、非常に相当の努力と覚悟が必要だと思いますので、ぜひ皆さんで協力して、完遂をしていただきたいですし、われわれもしっかりと応援していきたいと思います。
一方、連結決算は、売上高にあたる経常事業収入が3,313億円、経常事業支出は3,287億円となり、純利益にあたる中間事業収支差金は28億円となった。NHK単体の中間決算と比較すると、経常事業収入における連単倍率は1.08となり、NHKが占める割合が大きくなっている。
NHKが8日発表した2025年度予算は、収入から支出を差し引いた事業収支差金が400億円の赤字となった。23年10月の値下げに伴う受信料収入の減少が響き、3年連続で赤字の見通し。ただ、赤字幅は前年度予算(570億円)より縮小した。不足分は積立金で穴埋めする。
一生懸命努力して、受信料を値下げしようという執行部の姿勢には敬意を表しますが、原資が剰余金ということで、剰余金は、無制限・無尽蔵にあるわけではないので、値下げを永続的なものにしようと思うと、やはりスリム・強靱と掲げてやってきた改革を、さらに高度に続けなければならないと思います。 2024年度以降、本当に必死になって努力をしないと、値下げをしたあとでもクオリティを保ちながらNHKが経営できるかどうか心配なところがあります。2023年に値下げをしますが、中長期的に頑張ってやっていくという経営陣の覚悟が問われることになると思うので、そこをしっかりやっていただきたいと思います。
それでは、経営委員長としてのコメントを申し上げます。 2023年度に受信料値下げの方針がうたわれている現経営計画の修正について、経営委員会では数次にわたり審議を重ねてきました。本日、経営委員会から出された懸念事項等に対して、今後検討していただくことを条件として、執行部の提案を大筋で了承し、この修正案の意見募集を行うことを決定します。 スリムで強靱な「新しいNHK」への変革を目指す現経営計画は順調な進捗であることから今回受信料の値下げが可能となったものであり、皆さまのご努力に敬意を表します。一方で、今後とも「訪問によらない営業」を着実に拡大させ、軌道に乗せていく必要があります。また、放送やサービスの価値をいっそう高め、より多くの視聴者に良質なコンテンツに触れていただくことも課題です。 2023年度に視聴者の期待に応えられる値下げを行うにあたっては、後年度の負担が非常に大きなことから、さらなるスリム化と、強じんな新しいNHKへの改革を徹底することが求められます。執行部には計画実施にあたっては、強い決意と緻密な計画で臨んで欲しいと思います。 これから意見募集を行いますが、経営委員会では、いただいた意見を真摯に受け止め、視聴者・国民の皆さまの期待に応えるために何をすべきかをあらためて整理していきます。引き続き、執行部と議論を重ね、計画へ適切に反映することを求めていきます。 以上です。それでは、本件は終了します。
今、NHKの年齢構成において年齢層の高いところがボリュームゾーンとなっており、ここがとても大きいという構造です。このような年齢構成の構造上の問題で平均給与がとても上がってきたのですが、構造問題という意味では、この部分が変わりますので、別に高いところの給与を下げたり、人員整理をするといった必要もないと考えています。時間は若干かかりますが、構造的な問題は解決できると思っています。 むしろ制作費が圧倒的にかかっています。人件費については、職員が1万人しかいないことから、そこを何か対処してコストを下げるという方策も取りにくいです。構造的な問題を解決すれば、この点はあまり心配していません。 受信料について、支払率は8割となっており、やや頭打ちです。 ただ、衛星契約割合はまだ53%ということで、伸びる余地があり、ここは伸ばす努力をしていることから伸びると思います。しかし、衛星契約が伸びても、要するに2階建ての上だけということになりますので、そこまで爆発的に収入は改善しません。 受信料収入については、何もしないとおそらく下がりますが、そこについては、営業職員が1,000人おり、1,000人が何もしない、働かないということであれば別ですが、さまざまな取り組みをやっています。一挙に収入が上がるような方策はやめましたが、地道にやることに切り替えたので、さまざまなところと連携し、一緒にやっていくといったことをやれば、収入が雪崩のように落ちるようなことはないと思います。このようなことも踏まえ、横ばいと想定しています。 さまざまなシミュレーションをしましたが、致命的にこれをやることで経営ができなくなるということは、ないと思います。努力要素は入れておりませんので、私はこれぐらいで大丈夫だと思っています。
NHKは11月19日、2024年度の中間決算を発表した。事業収入は、2023年10月からの受信料の値下げによる減収などから、前年度同期と比べて382億円減って3,083億円となった。このうち受信料収入は、前年度同期に比べて402億円減の2,958億円で、中間決算の公表を始めた2011年度以降で最大の下げ幅となった。事業収入、受信料収入ともに、中間決算としては5期連続の減少となる。
25年度の事業収入は、前年度比0.2%増の6034億円。その大半を占める受信料収入は、契約減で0.2%減とした。事業支出は、番組制作費の見直しなどで2.4%減の6434億円。
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