
26日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米早期利下げ観測や米金融政策への政治的介入を警戒したドル売りが優勢となり、欧州市場序盤に一時143.75円まで下落した影響が残るも、NY市場に限れば144円台でのもみ合いに終始した。ユーロドルは一時1.1744ドルと2021年9月以来の高値を更新し、6日続伸となった。
本日の東京時間では、ドル円は日米の金融政策の方向性を意識しつつ、株価や時間外の米長期金利をながめて方向感を模索することになるか。
本日発表予定の6月東京都区部CPI(生鮮食料品除く総合)について、翌月発表される全国CPIの前哨戦の意味合いもあり、注目が集まりそうだ。政府がガソリン価格上昇に対応して「燃料油価格定額引下げ措置」を実施したことなどから、市場予想は前年比+3.3%と前月の+3.6%から伸びの鈍化が見込まれている。17日の日銀金融政策決定会合で利上げを急がない姿勢を示していることもあり、予想以上に伸び鈍化になったとしても、ドル円の反応は限定的かもしれない。とはいえ、3カ月連続での3%台予想となっており、予想を上回る場合はコストプッシュインフレの進行により日銀の早期利上げが想起される展開には注意したい。その場合は円高に振れる場面もありそうだ。その後は4万円が目前となっている日経平均株価の動向にも注目しておきたい。
引き続き注意が必要なのは、次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長の人事の行方か。中東情勢に対する懸念が一服する中、トランプ米大統領の発言がFRBの独立性を脅かすと共に、利下げに前向きな議長が就任するのではとの見方から足元の市場はドル売りでの反応となっている。6月東京CPIが予想より上振れした場合は日銀の利上げが意識され、円買い・ドル売りが合わさってドル円に下落圧力が掛かる展開もありえる。
また、本日朝方にラトニック米商務長官から「来週ごろに多くの合意を発表する」「中国との合意に署名した」などの発言が伝わっている。米中貿易摩擦の緩和が期待されるようならば、アジア株にとって追い風となろう。株式市場の反応に注目したい。
そのほか中東情勢について、イランの最高指導者ハメネイ師は昨日「イスラエルを打ち砕き、アメリカに強烈な平手打ちを食らわせた」と勝利を宣言した。交戦前は徹底抗戦も予想されていただけに、早期に戦闘状態を終結させようとの意図が感じられる。ただ、イラン核施設攻撃は不十分だったと報じられているほか、イランからは核放棄といった話は聞こえてこない。引き続き、イスラエルがイラン再攻撃に踏み切る恐れがある点は頭の片隅に置いておきたい。
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
市場概況 東京為替見通し日米の金融政策の方向性を意識しつつ 東京CPIに注目
総務省の28日の発表によると、コアCPIは前年比2.4%上昇した。市場予想は2.2%上昇だった。日本銀行が目標とする2%を上回るのは5カ月連続。生鮮食品を除く食料は5.6%上昇と、昨年1月以来の高水準となった。米類は89.6%上昇と、比較可能な1971年以降で最大の伸びだった。一方、エネルギーは6.1%上昇に鈍化した。
三菱ふそうトラック・バスとの経営統合の最終合意を10日発表した日野自動車(7205)は一時ストップ安水準となる17.9%安の366.8円をつけ、大幅下落となりました。また、統合前に親会社のトヨタ自動車(7203)を引受先とした第三者割当増資を実施することも併せて発表しており、増資による希薄化の影響が懸念されたことで売りが優勢となりました。KOKUSAI ELECTRIC(6525)は5.4%高の3,296円をつけ大幅反発となりました。国内証券が同社の目標株価を従来の3,000円から3,600円に引き上げ、これを材料視した買いが入りました。アナリストは「(データの長期保存に使う)NAND型フラッシュメモリー向けの投資の回復が到来する」と指摘しています。第一生命ホールディングス(8750)は0.4%安の1,083円をつけ続落となりました。日銀の植田総裁が10日、足元の物価上昇率について「総合的に見て基調的物価上昇率はまだ2%に少し距離がある」と発言したことで、市場に先行きの金融引き締めに慎重になっているとの見方が広がり、これまで金利上昇による業績拡大期待で上がってきた金融株が売られました。自動車向け機器のスタンレー電気(6923)は2.9%高の2,864円をつけ反発となりました。10日、発行済み株式総数(自己株式を除く)の23.47%にあたる3,500万株、金額にして800億円を上限とする自社株買いを実施すると発表し、大規模な株主還元を好感した買いが入りました。ディスカウントストアのトライアルホールディングス(141A)は3.7%高の2,210円をつけ5日続伸となりました。5月の既存店売上高(速報)は前年同月比3.6%増であったと発表し、既存店売上高は48ヶ月連続で前年を上回る等、売上高の着実な拡大を好感する買いが入りました。
全国の物価の先行指標となる東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、3月に上昇率が前月から拡大した。政府の補助金でエネルギー価格の上昇が抑えられた一方、食料の伸びが加速し全体を押し上げた。事前予想を上回る伸びで、市場の追加利上げ観測を後押ししそうだ。
楽天証券経済研究所の愛宕伸康チーフエコノミストは、食料に加えて家庭耐久財とサービス価格も堅調で「インフレが落ち着いてくるようにはみえない」と指摘。「べき論からすると、日銀は利上げを早めるべきだし、5月1日の追加利上げも可能性はまだある」と語った。一方、トランプ関税が金融資本市場の不安定化につながると、日銀としては利上げはできないだろうとの認識も示した。
前日の米国市場にてハイテク株高となった流れを引継ぎ、日経平均は219円高の38,431円で寄付きました。値がさ株である半導体関連銘柄に買いが入り、寄付き直後の9時9分に318円高の38,529円をつけ本日の高値を更新しました。しかし、買い一巡後は戻り待ちの売りなどが出たことから伸び悩み、上げ幅を縮小する展開となりました。ドル円相場が1ドル145円台まで下落したことが株式市場の追い風となり、前場は173円高の38,385円で取引を終えました。後場は、アジア各国・地域の株価指数が上昇したことを背景に堅調な推移となりました。徐々に上げ幅を拡大し38,450円まで上昇するも、今晩、発表される5月の米CPI(消費者物価指数)の確認を前に上値を追う姿勢も限られ、一進一退での推移となった日経平均は最終的に209円高の38,421円で大引けとなりました。新興市場では東証グロース250指数が3日続伸、0.6%高で取引を終えました。
多くの市場参加者にとって、このタイミングでの株価の高値更新には意外感があるかもしれません。ただ、以前から日本株には独自の好材料(割安感、高水準の賃上げ、資本効率改善、円安・好業績、NISA拡大など)が存在することは指摘されていたので、特段の違和感はないかと思います。直接的な背景としては、米国のインフレ緩和期待を受けた株高、一段の円安進行による国内企業の業績回復期待などが挙げられます。今後の焦点は、日銀の金融政策と企業の決算発表で、追加利上げの有無や、決算内容の良し悪しが目先の相場を方向付けることになりそうです。一方、長期の視点で言えば、今回の高値更新は、あくまでも一つの通過点との位置付けです。
日経平均は4日続伸となりました。明日の材料は、今晩発表される5月の米CPI(消費者物価指数)があげられます。ヘッドラインの指数の市場予想では前年同月比2.5%上昇、コア指数では同2.9%上昇と共に前月から伸びが加速すると予想されています。一部には、関税分の価格転嫁が現れ始めるとされており、先行きにおいてインフレ再燃も意識されると考えられます。一方で、市場予想を下回る結果となった際には、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げを後押しすると考えられ、今晩の発表に注目が集まります。
コアCPIは前年比3.6%上昇と前月(3.4%上昇)から伸びが加速。市場予想(3.5%上昇)を上回った。3%台は2カ月連続で、日本銀行の目標の2%を上回るのは7カ月連続。生鮮食品を除く食料が6.9%上昇と上昇率が拡大した。エネルギーは8.7%上昇と前月から伸びが縮小した。
恒例の米大統領選のテレビ討論会は、今回、何かと異例な条件の下で開催されます。世界中が注目するイベントに、市場関係者も大きな関心を寄せており、移民政策やインフレ対策、さらには対中関係などが焦点となります。ただ、その一方で、市場関係者の間には、どこか冷静にこの一大イベントを迎えようとしている雰囲気があり、討論の内容自体が、目先の相場を大きく動かす材料にはなりにくいようにも思います。7月に入って程なくすれば、また企業の決算発表が本格化します。短期の株価動向を占う上では、むしろそちらの方が重要で、高値圏にある株価を正当化できるだけの実績と見通しを、企業側がきちんと示せるかどうかがポイントになります。
8月13日の大幅高の要因は、市場予想を下回った7月の生産者物価指数(PPI)と解釈されます。改めて、インフレ鈍化を示唆する内容が明らかになり、9月の利下げ見通しを補強する形となりました。そして、米国現地14日には消費者物価指数(CPI)、15日には小売売上高の発表を控えます。PPIの市場予想下振れを好感する流れからすると、CPIでも同様の傾向が示されることが期待されますが、悩ましいのはCPIと小売売上高がある程度、連動する傾向がある点です。CPIが弱めなら、小売売上高も弱めとなり、今度は米景気減速が嫌気される可能性もあります。米経済指標に対して、市場がその都度どのように反応するか、要注目です。
日経平均株価の構成銘柄の約7割が下落し、TOPIXは前日比マイナスとなる一日でした。ただ、外部環境は良好で、堅調な米国株と為替の円高一服が目先の日本株をサポートすると見られます。引き続きの注目点はやはり米国の金利動向、金融政策の見通しです。米国のファンダメンタルズが利下げペースを加速させるほど弱くなく、減速させるほど強くない、程良い状態にあるのか―来週は米小売統計が一つの判断材料となります。日米ともに選挙が近づくにつれて、相場展開は神経質なものになっていく可能性がありますが、一方で米国経済・市場の安定を背景に、短期的には日経平均株価が7月以来の4万円台にトライする場面も見られるかもしれません。
ハイテク業種が企業業績の牽引役となっていますが、それはいつもの構図といえるかもしれません。米国では秋以降に利下げモードに入っていくと見られ、これまでの高い政策金利の修正が、景気敏感業種の業績も一定程度サポートすると想定されます。記事にあるように、市場のコンセンサスでは、24年第3四半期におけるEPS増益率(前年同期比)の鈍化が見込まれていますが、一方で第4四半期以降については、再び増益率の拡大(二桁%)が予想されています。金利低下を好感した「金融相場」的な側面もさることながら、堅調な業績拡大を評価した「業績相場」的な側面が、この先の米国株の追い風になると見ています。
日米をはじめとする世界景気への過度な不安が和らぎ、金融市場は落ち着きを取り戻しています。足元の企業業績が堅調に推移していることも、そうした不安を退ける背景になっていると考えられます。では、先々の企業業績に対する市場(アナリスト)の見通しがどうなっているかというと、日米欧の中で、もっとも強気に傾いているのは日本です。為替の円高進行や将来的な追加の利上げ観測が存在するにもかかわらずです。その一方で、8月の急落後の日本株の戻りは道半ばの状態にあります。このような企業業績の見通し(期待)が揺るがない限り、業績堅調であるがゆえの自社株買いを伴いながら、日本株は一定の底堅さをもって推移すると想定されます。
5月の東京CPIでは食料品を中心に価格転嫁の継続が確認された。しかし、トランプ米政権の関税政策の影響で内外経済は減速が見込まれており、物価にも下押し圧力がかかる見通しだ。一時停止状態にある日銀の追加利上げのタイミングを探るため、経済・物価動向を慎重に見極めていく局面にある。
「政策保有株の売却」と聞くと、ネガティブな印象が先行しがちですが、本来、発行する株式を誰が保有しようとも、企業の本質的な価値には影響を与えないと考えるのが自然です。確かに、新たな保有主体が長期保有を前提にしない場合は、局面によっては株価が不安定化する可能性は否定できません。ただ、株式持ち合い慣行の是正は、市場流動性の拡大であったり、それによる価格発見機能の適性化であったりと、株式市場に本来期待される機能を取り戻すものとして、投資家には歓迎される面も少なくないように思います。そうした市場の健全化こそが、これまで日本株投資の経験のない投資家の参入を促すのに必要といえるかもしれません。


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