- <第193回> 2025年6月27日
- 問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。
- 問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
- 問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
- 問4:今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通しについてお答えください
- 問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
- 問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
- 問7: 6月17-18日のFOMCを終え、年内の会合は7月、9月、10月、12月の4回です。年内の米利下げ回数をどう予想していますか?
- 問8: トランプ大統領によるFRB批判や利下げ要求は、今後の米ドル相場にどのような影響を与えると考えますか?
- 円安期待復活ユーロ 円1年ぶりの強気水準にトランプ大統領のFRB批判に個人投資家は冷静 外為短観
<第193回> 2025年6月27日
外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。
分析・レポート作成
外為どっとコム総合研究所
調査実施期間
2025年6月20日(金)13:00~2025年6月24日(火)24:00
調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は 431 件。
※必要項目を全て入力して回答して頂いたお客様を「有効回答数」としました。
問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。
「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が40.4%であったのに対し「円高・米ドル安方向」と答えた割合は31.6%であった。この結果「米ドル/円予想DI」は△8.8%ポイントと前月の▼23.3%ポイントから強気スタンスのプラスへ転じた。
調査期間前後の米ドル/円相場は、5月13日以来の高値水準から反落。米国がイランの核施設を攻撃したことで有事のドル買いが強まり148円台へ上昇する場面があったが、調査期間の最終日にはトランプ大統領がイスラエルとイランの停戦合意を表明したためドル売りに傾き反落した。そのため、集計時点での個人投資家による強気スタンスは数字ほど高まっていない可能性もある。
今後1カ月の米ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が159.55円、最安値が135.00円となり、高値の平均値は148.06円、安値の平均値は141.70円であった。高値の中央値は147.50円、安値の中央値は142.00円だった。実勢レートが前月調査時(最終日)から1円弱切り下がった一方で、高値・安値の予想中央値は1~2.5円程度、米ドル高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が、42.9%であったのに対し「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は23.9%であった。この結果「ユーロ/円予想DI」は△19.0%ポイントと前月の▼6.6%ポイントから強気スタンスのプラスへ転じ、1年ぶりの高水準へと上昇した。
調査期間前後のユーロ/円相場は、中東情勢への緊張感から有事のドル買いが強まる中で、投機筋の円買いポジションの巻き戻し(円売り)が入ったと見られ一時169.70円台へ上昇した。170円が視野に入ったこともあり強気スタンスに傾く個人投資家が増加したと考えられる。
今後1カ月のユーロ/円相場の高値と安値の予想については、最高値が175.37円、最安値が143.00円となり、高値の平均値は168.94円、安値の平均値は161.90円であった。高値の中央値は169.00円、安値の中央値は162.00円であった。実勢レートが前月調査時(最終日)から6円程度切り上がったのに対し、高値・安値の予想中央値は2~5円程度、ユーロ高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、30.9%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は24.1%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は△6.8%ポイントとなり、前月の▼6.8%ポイントから強気スタンスのプラスへ転じた。
調査期間前後の豪ドル/円相場は、94円台を中心に方向感が定まらなかった。地政学的リスクにより豪ドルが売られやすかった一方で、原油高による日本の貿易赤字を警戒した円売りも入ったと見られ方向感が出にくかった。もっとも、リスク回避局面にもかかわらず、底堅い値動きが続いたことから、弱気スタンスの個人投資家が減少したと見られる。
今後1カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が102.00円、最安値が85.00円となり、高値の平均値は95.95円、安値の平均値は91.35円であった。高値の中央値は95.50円、安値の中央値は92.00円だった。前月調査時(最終日)と比べ実勢レートが1.7円程度切り上がった一方で、高値・安値の予想中央値は1.5円程度、豪ドル高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問4:今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、36.9%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は22.7%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は△14.2%ポイントとなり、前月の▼5.2%ポイントから強気スタンスのプラスへ転じた。
調査期間前後の英ポンド/円相場は、昨年12月以来の高値を更新する展開。米国がイランの核施設へ攻撃したことを受けて、投機筋の円買いポジションの巻き戻し(円売り)が入ったと見られ198円台へ上昇した。年初来高値(198.25円前後)に迫ったことで、上抜けすればさらに上昇が加速する可能性があると見た個人投資家が多かったのだろう。
今後1カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が203.00円、最安値が184.00円となり、高値の平均値は197.81円、安値の平均値は191.73円であった。高値の中央値は197.55円、安値の中央値は192.00円だった。前月調査(最終日)から実勢レートが4円程度切り上がった一方で、高値・安値の予想中央値は前回から2~3円程度、ポンド高・円安方向へシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「米ドル」と答えた割合が36.4%と最も多かった。次いで「円」が27.6%で続き、さらに「ユーロ(13.7%)」、「トルコリラ(5.8%)」、「メキシコペソ(4.4%)」、「スイスフラン(3.7%)」、「英ポンド(3.0%)」の順になった。「米ドル」が3カ月ぶりに首位を奪回。回答割合は前回の25.3%から11.1%ポイント上昇した。一方、3カ月ぶりに2位に転落した「円」は回答割合が前回の40.1%から12.5%ポイント低下した。
「米ドル」が最も強くなると思う理由については「中東の地政学リスク」、「基軸通貨としての安定感」、などの声が多かった。調査期間中に、イスラエルとイランの軍事衝突を巡る懸念が強まり「有事の(米)ドル買い」が見られたことが影響したと考えられる。一方で「円」が最も強くなると回答した向きからも、その理由として「中東リスクによる安全資産の円買い」や「イスラエル・イラン・米国の緊張によるリスク回避(の円買い)」などの声が挙がった。中東情勢の悪化という材料に対して、有事のドル買いが強いか、あるいはリスク回避の円買いが強いかについては見解が分かれているようだ。
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
問5とは反対に、今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「米ドル」と答えた割合が34.6%と最も多かった。ただ、2位の「円」も33.4%と僅差で続いた。以下、「トルコリラ(7.4%)」、「ユーロ(6.5%)」、「中国人民元(4.9%)」と続き、さらに「英ポンド」と「メキシコペソ」が3.7%で並んだ。「米ドル」は5カ月連続で首位を維持したが、回答割合は前回(46.9%)から12.3%ポイント低下した。一方、2位の「円」は前回(28.6%)から4.8%ポイント上昇した。
なお、「米ドル」が最も弱くなると答えた理由については、「アメリカ経済の衰退」、「トランプ大統領の失政」、「米政権のドル安誘導」などが挙げられた。一方、「円」が最も弱くなると答えた理由として、「トランプ関税と中東の地政学リスクによる経済の不透明で日銀が利上げできなくて、他国との金利差による円売り」、「金利差による円安・トランプの関税による貿易収支の悪化・周辺諸国との安全保障上の懸念による日本への投資の減少」などの声が出ていた。
問7: 6月17-18日のFOMCを終え、年内の会合は7月、9月、10月、12月の4回です。年内の米利下げ回数をどう予想していますか?
今回の特別質問として「 6月17-18日のFOMCを終え、年内の会合は7月、9月、10月、12月の4回です。年内の米利下げ回数をどう予想していますか?」と尋ねたところ、「2回」が47.8%と最多で、以下「1回」が25.1%、「わからない」が16.7%、「0回」が5.3%と続き、「3回」は3.5%、「4回」は1.6%だった。6月米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内2回の利下げ見通しが示された直後の調査であることを考えると、「2回」の回答が最多とはいえ半数以下にとどまったのはやや意外だろう。もっとも、FOMC内でも「2回」が8人、「0回」が7人、「3回」と「1回」がそれぞれ2人と当局者の利下げ見通しが割れていた。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、金利見通しを深読みすべきでないと指摘している。それほどに、トランプ関税や中東情勢緊迫化の影響で先行きの見通しが不透明ということであり、個人投資家の見通しが定まりにくいのも致し方ないのだろう。
問8: トランプ大統領によるFRB批判や利下げ要求は、今後の米ドル相場にどのような影響を与えると考えますか?
もう一つの特別質問として「トランプ大統領によるFRB批判や利下げ要求は、今後の米ドル相場にどのような影響を与えると考えますか?」と尋ねたところ、「FRBも市場も冷静なため影響は限定的」が47.3%と最も多く、次いで「FRBの独立性への疑念が強まるため米ドル安」が30.6%、「FRBが利下げしにくくなるため米ドル高」は19.5%、「その他」は2.6%だった。なお、米国のトランプ大統領は今年4月、利下げを渋るパウエルFRB議長を「Mr.Too Late」と揶揄した上で「私が望めば即解任できる」と言い放った。これを受けて米ドル売りが強まる場面があったが、直後に「解任するつもりはない」と発言を修正。米国の大統領にFRB議長を解任する権限があるか否かについては、定かではないが、法律の面で高いハードルが存在することは確かなようだ。トランプ大統領は、その後も足元にかけてFRBに対する利下げ要求を続けているものの、米ドルの反応は当初ほど大きなものにはなっていない。こうした経緯を踏まえ、個人投資家の見方も「影響は限定的」に傾いているのだろう。

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
円安期待復活ユーロ 円1年ぶりの強気水準にトランプ大統領のFRB批判に個人投資家は冷静 外為短観
「今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、36.9%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は22.7%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は△14.2%ポイントとなり、前月の▼5.2%ポイントから強気スタンスのプラスへ転じた。調査期間前後の英ポンド/円相場は、昨年12月以来の高値を更新する展開。米国がイランの核施設へ攻撃したことを受けて、投機筋の円買いポジションの巻き戻し(円売り)が入ったと見られ198円台へ上昇した。年初来高値(198.25円前後)に迫ったことで、上抜けすればさらに上昇が加速する可能性があると見た個人投資家が多かったのだろう。今後1カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が203.00円、最安値が184.00円となり、高値の平均値は197.81円、安値の平均値は191.73円であった。高値の中央値は197.55円、安値の中央値は192.00円だった。前月調査(最終日)から実勢レートが4円程度切り上がった一方で、高値・安値の予想中央値は前回から2~3円程度、ポンド高・円安方向へシフトした。
「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、30.9%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は24.1%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は△6.8%ポイントとなり、前月の▼6.8%ポイントから強気スタンスのプラスへ転じた。 調査期間前後の豪ドル/円相場は、94円台を中心に方向感が定まらなかった。地政学的リスクにより豪ドルが売られやすかった一方で、原油高による日本の貿易赤字を警戒した円売りも入ったと見られ方向感が出にくかった。もっとも、リスク回避局面にもかかわらず、底堅い値動きが続いたことから、弱気スタンスの個人投資家が減少したと見られる。 今後1カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が102.00円、最安値が85.00円となり、高値の平均値は95.95円、安値の平均値は91.35円であった。高値の中央値は95.50円、安値の中央値は92.00円だった。前月調査時(最終日)と比べ実勢レートが1.7円程度切り上がった一方で、高値・安値の予想中央値は1.5円程度、豪ドル高・円安方向にシフトした。
コメント