【見通し】ロンドン為替見通し=ユーロ高進むなか、欧州金融当局者の発言に注目

【見通し】ロンドン為替見通し=ユーロ高進むなか、欧州金融当局者の発言に注目

本日のロンドン為替市場でもユーロドルは、欧州金融当局者の発言内容を見定めながらの値動きか。ユーロドルは昨日、2021年9月以来の1.18ドル台でニューヨーク引けした。ここからは当局者のインフレや金利見通しだけでなく、ユーロ高への見解も注目されそうだ。本日は、デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、チポローネECB専務理事、レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストがECBフォーラムのパネルディスカッションに参加予定。

 昨日は複数のECB高官から、為替水準についてコメントが見受けられた。シムカス・リトアニア中銀総裁は「ユーロ上昇のスピードを注視する必要」、ナーゲル独連銀総裁からは「ユーロは対ドルで特別に高い水準ではない」との見解が示された。ミューラー・エストニア中銀総裁は「ユーロの上昇は速いが、今のところ特に気にする必要はない」と述べ、慌てる必要がないというスタンスが目立った。

 デギンドスECB副総裁も「ユーロドルは1.17ドルで十分許容できる」と発言。ただし「1.20ドルでも無視できるが、それ以上になると複雑になる」と警戒感もにじませてきた。そういったなか本日は、欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定において重要な役割を担うレーン専務理事の発言が市場の注目を集めそうだ。

 なお、昨日発表された6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比+2.0%、同コア指数も+2.3%と市場予想に沿った結果だった。結果発表の数時間後、ラガルドECB総裁の発言「責任を全うしたとはいえないが、目標には到達」が伝わった。

 ユーロドルの値動きはユーロ高というだけでなく、ドル安でもある。主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは昨日、96.38まで低下した。今年一番高かったところからだと、約12.5%の下落率だ。

 前述したトランプ米政権がFRBに利下げ圧力を強めていることが、米金利先安観というだけでなく、中銀の独立性への懸念も相まってドル安要因とされている。また、米上院が僅差で可決した大規模なトランプ減税・歳出法案も、ドルにとってネガティブと受けとめられているようだ。一部試算によるとこの法案は、今後10年間で約3兆3000億ドルの財政赤字の拡大につながるもよう。米国発の材料も気にかけておくべきだろう。

想定レンジ上限

・ユーロドル、2021年9月8・10高値1.1851ドルを超えると同月3日高値1.1909ドル

想定レンジ下限

・ユーロドル、6月30日安値1.1708ドル

(小針)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ

[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 【見通し】ロンドン為替見通し=ユーロ高進むなか、欧州金融当局者の発言に注目

経済見通しでも物価上昇鎮静化に自信をみせた

実際に発表される結果が予想よりも上振れた場合には、ECBの利下げ見通しがさらに後退することでユーロ高が継続する可能性がある。一方、結果が大きく下振れた場合には、ユーロ圏経済の消費の弱さが連想されてユーロが売られるとともに、足元での円高圧力とも相まって、ユーロ円相場でユーロ安が進むことも想定されそうだ。

一方、円相場では日銀の利上げの難しさが意識されている。日銀は16、17日の金融政策決定会合で政策金利を維持。植田和男総裁はトランプ氏の高関税政策が日本企業の収益性を低くすることに懸念を示し、物価や経済の見通しについては「下振れリスクの方が高い」とした。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている12月決定会合後の政策金利の水準は0.62%程度で、現状の0.5%から1回の利上げがあるかどうかといった筋書きが見込まれている。

こうした中、ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、欧州連合(EU)統計局が日本時間の7月1日午後6時に発表する6月CPIに注目が集まる。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比2.0%となり、前月(5月)の1.9%から物価上昇が加速する見通し。また食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は2.3%と見込まれ、こちらは前月から横ばいになると予想されている。

ユーロ高の背景にあるのは、ECBの利下げが打ち止めになるとの見立ての浸透だ。ECBは5日の理事会で政策金利の下限にあたる中銀預金金利を2.00%にまで引き下げ。経済見通しでも物価上昇鎮静化に自信をみせた。クリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で「金融政策のサイクルの終わりに近づいてきている」と述べている。

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