コメ価格の見通し指数 下落幅最大
真相を知るためには、まずコメの流通の仕組みを理解する必要があります。図表1は国産米の流通ルートです。もち米や加工用米を除いた主食用うるち米の生産量は2022年時点で約650万トンでしたが、そのうち農協などの集出荷業者を経由して流通しているものは半分弱の約300万トンにすぎません。2004年に実施されたコメの流通自由化以来、農協を経由した流通量が大きく減少する一方、農家が卸・小売店や中食・外食業者、あるいは消費者に直接販売する量は底堅く推移し、コメの流通量全体に占める割合は大きく上昇しました。
また、消費者にとってコメは生活必需品ですが、飲食店にとってもコメが仕入れられなければ事業継続に関わる死活問題です。しかし、コメの価格高騰によるコスト高は報じられていますが、コメを調達できずに営業停止に追い込まれたという話はあまり聞きません。大手外食チェーンを含めて、ある程度の量のコメのストックが既に確保されていることを示唆していると思われます。
6月30日の金価格は反発して終えた。しかし、日足チャートでスポット価格のトレンドを確認すると、6月中旬から下落トレンドが鮮明となっている。50日線がレジスタンスラインへ転換し、先週27日の市場では4月7日安値が基点の短期サポートライン(下値支持線)を完全に下方ブレイクした。
消費者が賢く冷静に行動することも重要です。コメ不足という報道に踊らされて皆が買いだめに走れば、コメ不足は一層悪化します。米価高騰を機会に、ご家庭の食卓でもいろいろな食品に挑戦してみることはいかがでしょうか。また、消費者が冷静な行動をとることができるためにも、情報開示やコストダウンに向けた一層の取組みが政府や生産者に求められることはいうまでもありません。
2024年8月にコメが品薄状態に陥りコメの小売価格が急騰、「令和のコメ騒動」と報じられましたが、2025年に入りコメ騒動が再燃しています。消費者物価指数に占める米のウエイトは0.62%しかないため、総合指数への影響は限定的ですが、主食である米価高騰が国民生活に与える影響は無視できません。一部のメディアは「消えた21万トン」「異業種から参入した転売業者が隠し持っている」などと報じていますが、真相はどうなのでしょうか。
農林水産省は24年夏の事態は「米穀の生産量の減少」によるものではないから、備蓄米を放出することは食糧法に違反すると説明していた。今回の放出について、「コメの流通不足を理由とした備蓄米の利用は初めてで、こうした方法が可能かどうかを来週31日に開く(食料・農業・農村政策審議会の)食糧部会で議論する予定である」と説明している(TBS CROSS DIG)。現在の状況は、生産量の減少ではなく卸売業者がコメを抱え込んでいることによる流通量の減少だと言っているようだ。しかし、そうなら食糧部会で了承されたとしても法律違反である。
しかし、農林水産省は「コメ不足が解消され、価格が落ち着く」という立場を変えていない。
コメの消費量は過去20年間では年間10万トンのペースで減少してきましたが、2022年以降は一転して回復傾向にあります。2024年産米が出回り始めた7月から2025年1月にかけてのコメの一人当たり消費量は精米ベースで前年同期比0.82kg(2.6%)増加していますが、玄米換算では日本全体で約11万トンの消費が増加したことを意味します。(図表3)。
さらに、「コメ不足再燃」との報道を受けて、直近で消費者が意識的に家庭内ストックを積み増している可能性もあります。ちなみに私の知人に、コメが入手できなくなることに備えて、ご夫婦2人暮らしにもかかわらず精米20kgを購入した方がいらっしゃいます。仮に、同様に全国民が一人当たり10kgを買い集めると玄米換算で140万トン弱の需要増になってしまいます。これは「消えた21万トン」とは比べものにならない大きさです。
農家にとってはリスクヘッジの機能を持つ先物市場も、2005年から商品取引所により創設の要請が行われてきたにもかかわらず、価格操作ができなくなるJA農協の反対により実現せず、24年8月になってコメ指数先物に限り認められることになった。特定の産地銘柄の先物取引は認められていない。野菜や果物については、卸売市場で公正な価格形成が行われる。しかし、主食のコメについては公正で適正な価格形成を行う市場は存在しない。
集荷業者に備蓄米を販売しても、そのコメは卸売業者を通じてスーパー等に販売される。農林水産省が主張する卸売業者悪玉論に従うと、卸売業者が売り惜しみすれば、備蓄米を放出してもコメの供給量が増えることはない。
一部で報じられているのは、異業種からの参入組を含めたいわゆる「転売ヤー」と呼ばれる転売業者が高値での転売を目論み、コメを隠し持っているというものです。確かにその可能性は否定できませんが、統計データがないため確認することができません。
実は、8~9月に農林水産省が卸売業者に要請する前に、既にコメ業界は不足分を在庫の取り崩しで対応していた。その結果、2024年7月末の在庫は前年同期より40万トン少ない82万トンと近年にない低水準となっていた。この在庫減少分40万トンは前述した不足量と符合する。毎月の販売・流通量が45万トンだとすると、7月末の在庫は8~9月の端境期までのコメ消費を賄えない異常な事態だった。
2024年8月に宮崎県沖で大規模な地震が発生し、気象庁が初めて「南海トラフ地震臨時情報」を発表した際に、消費者がコメ売り場に殺到した記憶は新しいところです。コメの価格高騰が本格化したのもこの時期に相当します。
コメの消費量は過去20年間では年間10万トンのペースで減少してきましたが、2022年以降は一転して回復傾向にあります。2024年産米が出回り始めた7月から2025年1月にかけてのコメの一人当たり消費量は精米ベースで前年同期比0.82kg(2.6%)増加していますが、玄米換算では日本全体で約11万トンの消費が増加したことを意味します。
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