日本の 温泉 を輸出資源に
日本のヒートポンプは、家庭部門でエアコンの空調に多く導入されていますが、給湯機器や冷蔵・冷凍庫等様々な製品にも使用されています。また、高効率で大規模施設にも対応できるヒートポンプはオフィスビルの空調や病院・ホテルの給湯等に利用されていますが、今後は工場や農場等でも普及拡大が期待されています。
日本の総輸入金額に占めるLNG輸入金額の割合を見ると、1980年代の後半からはLNG輸入価格の低下に伴い、5%を下回る水準で推移してきました。しかし、2000年代後半以降は原油価格の上昇によりLNG輸入価格も上昇したことに加え、特に、2011年3月の東日本大震災以降の原子力発電所稼動停止に伴い、発電用途のLNG輸入量が増加しました。これにより、LNG輸入金額の割合は上昇し、2014年度には過去最高となる9.3%に達しました。その後は原油価格の低下によるLNG輸入価格の低下等からLNG輸入金額の割合は低下しました。2016年度からLNG輸入金額の割合は再び上昇を始めましたが、2019年度は円建てLNG輸入価格が低下し、LNG輸入量も引き続き減少したことからLNGの輸入総額に占める割合は3年ぶりに低下し、2020年度も前年の傾向が続き、輸入総額に占める割合は4.6%と、2016年以来の4%台となりました(第213-1-14)。
日本において、運輸部門のエネルギー消費の大半は、ガソリンや軽油の使用を前提とする自動車によるものであり、これらの燃料を消費しない、あるいは使用を抑制する次世代自動車の導入は環境面への対応等の観点から非常に有効な手段です。次世代自動車は、その導入について価格面を中心に様々な課題がありますが、いわゆるエコカー補助金・減税等のインセンティブの効果等もあり、ハイブリッド自動車を中心に普及台数が拡大しています。さらに、2009年には電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の市販が開始され、2014年には燃料電池自動車の市販も開始されました。2020年度末時点の日本の保有台数はハイブリッド自動車が約1,007.3万台(プラグインハイブリッド自動車約15.1万台を含む)、電気自動車が約12.6万台、プラグインハイブリッド自動車が約15.1万台、燃料電池自動車が約0.5万台となりました(第213-3-1)。
1950年代に始まった日本の原子力利用から既に50年以上が経過し、一部の原子力施設では施設の廃止や解体が行われ、所要の安全確保の実績が積み上げられてきました。一方、これらの経験を踏まえ、安全確保のための制度上の手続面の明確化や、原子力施設の廃止や解体に伴って発生する様々な種類の廃棄物等から、放射性物質として管理する必要のあるものと、汚染のレベルが自然界の放射性物質の放射線レベルと比べても極めて低く、管理すべき放射性物質として扱う必要のないものを区分するための制度(クリアランス制度)の創設が必要とされていました。こうした状況を踏まえ、2005年5月に原子炉等規制法を改正して、廃止措置及びクリアランス制度等の導入が行われました。
「より多くの人が“本物の温泉”に足を運ぶこと、これに尽きます。例えば山形の『肘折温泉』なんて行くと、ひなびた湯治宿が軒を連ね、朝市では地元の食材がずらりと並ぶ……まさに日本の温泉地の原風景ですよ。そこで買ったものを自炊して食べ、そしてのんびり湯につかる。最高ですね」
日本の原油自給率9は、1970年頃から2020年度に至るまで継続して0.5%未満の水準にあります(第213-1-2)。エネルギー資源の大部分を海外に依存する供給構造は、2021年10月に閣議決定された第6次「エネルギー基本計画」においても、日本のエネルギー需給における構造的課題として明記されています。日本は中東地域のサウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、イラク、オマーン等から輸入しており、2020年度にそれらの合計が全体に占める割合は92.0%でした(第213-1-3)。特に輸入量が多いのはサウジアラビア(42.5%)とアラブ首長国連邦(29.9%)です。諸外国と比較すると、2020年の米国の中東依存度10は11.9%、欧州OECDは16.2%であり、日本の中東依存度は諸外国と比べて高い水準となっています。
原油の輸入金額は、かつて日本にとって無視できない負担となっており、第二次石油危機後には日本の総輸入金額に占める原油輸入金額13の割合は30%を超えていました。しかし、1986年度以降はおおむね10%程度で推移してきました。背景には、原油価格が低下したこととともに、石油危機以後の石油代替政策、省エネルギー政策等が功を奏したことがあります。輸入金額に占める原油の割合が低下したことで、原油価格高騰が日本経済に与える影響は石油危機当時と比べて小さくなったといえます。2005年から2013年にかけては、原油価格の高い状態が続いたこと、2011年の東日本大震災後に石油火力発電所が多く利用されたこと等により、原油の輸入量が増え原油輸入金額の占める割合が15%を超える比較的高い水準にありました。2014年度から2019年度までは石油の消費量が減少し、おおむね10%程度で推移してきました。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響による石油需要の減少から原油の輸入量が減少し、原油の輸入CIF価格が低下したことにより、原油輸入金額の占める割合は5.9%となりました(第213-1-8)。
廃棄物エネルギーの利用方法としては、廃棄物発電、廃棄物熱供給、廃棄物燃料製造が挙げられます。2020年度末における日本の廃棄物発電(一般廃棄物に限る)の施設数は387で、1,056に上る全一般廃棄物焼却施設の36.6%を占めました。また、発電設備容量は合計で207.9万kWに達しました(資料:環境省「一般廃棄物処理事業実態調査結果(令和2年度)」)。
日本は、プルトニウム利用の透明性向上のため、1994年から毎年「我が国のプルトニウム管理状況」を公表しており、内閣府が取りまとめを行っています。また、1998年からはプルトニウム管理に関する指針に基づき、国際原子力機関(IAEA)を通じて、日本のプルトニウム保有量を公表しています。その上で、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持し、プルトニウム保有量の削減に取り組む方針としており、再処理によって回収されたプルトニウムを既存の原子力発電所(軽水炉)で利用するプルサーマルに取り組んでいます。電気事業連合会は、2020年12月に、基本的なプルサーマル導入の方針を示すプルサーマル計画を公表し、地元理解を前提に、稼働する全ての原子炉を対象に一基でも多くプルサーマル導入を検討するとともに、当面の目標として、2030年度までに少なくとも12基でのプルサーマルの実施を目指す旨を表明しました。更に、電気事業連合会は、2021年2月に、より具体的なプルトニウムの利用見通しを示すプルトニウム利用計画も公表しました。これらを踏まえ、再処理事業の実施主体である使用済燃料再処理機構が中期計画を策定、2021年3月に経済産業省が原子力委員会の意見も聴取した上で認可し、プルトニウムバランスの確保に向けた具体的な取組方針が示されました。
日本の一次エネルギー供給における石油供給量は、石油危機を契機とした石油代替政策や省エネ政策の推進により減少しましたが、1980年代後半には、取り組みやすい省エネの一巡や、原油価格の下落に伴って増加に転じました。1990年代半ば以降は、石油代替エネルギー利用の進展や自動車の燃費向上等により再び減少基調で推移し、2020年度の供給量は熱量ベースで6,543PJとなりました(第213-1-1)。
日本のLNG輸入価格は、1969年の輸入開始以来、初期の数年間を除き、原油価格に連動してきました。1970年代の二度の石油ショックで原油価格が高騰すると、LNG輸入価格も上昇し、1980年代後半に原油価格が下落すると、LNG輸入価格も低下しました。日本のLNG輸入量の大半を占める長期契約におけるLNG輸入価格は日本向け原油の輸入平均CIF価格に連動しているため、2004年度以降の原油価格の高騰につれて、日本向けLNG輸入CIF価格も上昇してきました(第213-1-13)。ただし、連動率はおおむね65% - 90%であり、また一部の日本向けLNG輸入価格は、原油価格変動の影響を緩和するために、Sカーブといわれる調整システムを織り込んだ価格フォーミュラにより決定されています。2004年度以降の原油価格急騰の環境下では、この価格フォーミュラの影響等もあって、LNG輸入価格の変化は原油に比べると緩やかになっています。なお、2016年度にはシェールガス生産が増加した米国からのLNG輸入が開始されましたが、同国からのLNG輸入は、米国国内のガス市場価格(ヘンリーハブ価格)に連動するものが多く、価格決定方式の多様化につながります。更に2010年代以降増加しているスポット調達では、原油価格、他ガス価格等の動向を参照しながらも、相対交渉により独自の価格設定がなされるようになっています。
福島市の西部、連なる火山に囲まれた温泉地「土湯温泉」。この温泉地に、全国各地から多くの人が視察に訪れています。取材に訪れた日も、土湯温泉で行われている先進的な取り組みを自分たちの地域にも生かしたいという人たちが新潟県から視察に来ていました。私たちもその視察に同行し、取り組みを見せてもらうことにしました。なぜ、この温泉地が注目されているのか。その背景には、日本に数ある温泉地が直面する問題があります。近年、各地で温泉の取れる量が減少したり、温度が低下するなどといった、いわゆる“温泉が枯渇する”という問題です。日本の文化として育まれてきた温泉の持続可能性が危ぶまれているというのです。地熱発電所や新たな温泉施設の建設を目的に、地下にある資源量以上に温泉を掘削してしまうことがその原因のひとつにあげられています。いまできる対策としては、くみ上げた温泉をいかに有効に使うことができるか。土湯温泉では取れた温泉を一つの目的だけで終わらせずに、何段階にもわたって地域の限られた資源を再利用しており、その取り組みが全国から注目されているといいます。
三田氏の挑戦の根底には、日本の「目に見えない価値」を世界に正しく評価させたいという強い思いがあります。リーマン・ショックや東日本大震災での経験から、社会の混乱時に利益を上げることへの葛藤を感じ、資源の本質的な価値を追求するようになりました。温泉が日本のGDPを数%押し上げる可能性を秘めていると語る氏は、単なる事業成功に留まらず、最終的には「日本政府への払い上げ」を目指し、国益に資する事業体として温泉の価値を最大化することを目指しています。
「はっきり言って、いまの日本には多くの『これは本当に温泉と言えるのか? という温泉』がはびこっています。そのきっかけは、80年代後半から90年代前半にかけてのバブル景気。この時に起きたこと、行われたことによって、日本の温泉は今も『後遺症』に苦しめられているのです」
世界と比較すると、日本の水力発電導入量は2020年末で第7位(世界全体の約4%)となっています(第213-2-22)。
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