執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年7月4日 14時35分
関税協議進展、期待薄 日米で金融政策への期待後退-ドル円はレンジで推移か
米ドル/円、144.00円を中心に振幅
27日にトランプ米大統領が7月9日に迫った追加関税の猶予期限延長について「その必要はないと思う」と発言し、景気見通しが懸念されたほか、パウエル米FRB議長の後任人事を巡りよりハト派な人選が行われるとの見方から、米国の早期利下げ期待につながり米長期金利が低下すると、ドル円は142.680円まで下げました。
その後、底堅さを示した米国のJOLTS求人件数を受けて、早期利下げ期待が緩むとドル円は144.247円まで持ち直しましたが、その後はADP雇用統計が予想外の減少となったことで雇用情勢への懸念が強まり、米ドル/円は143.50円付近へ下げました。
しかしながら、6月分の米NFP(非農業部門雇用者数)が市場予想を上回る14.7万人となり、米ドル/円は145.232円まで上昇するなど、方向性に欠ける展開となりました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
米関税と企業業績に着目
来週は新規失業保険申請件数以外に、目立った経済指標の発表はありません。注目されるのは、米国の追加関税の取り扱いです。4月9日に追加関税の発動が90日間延期されましたが、7月9日にその期限を迎えます。
すでに発動済みの自動車への25%の分野別関税や全輸入品への一律関税に加え、上乗せ関税も適用されれば、日本経済に大きな打撃となる可能性があります。目先では、上乗せ関税の適用時期が先送りされるかどうかが焦点となりますが、先送りされたからといって合意に近づくわけではなく、日本と米国との隔たりは依然として大きいため、見通しへの不確実性は高いままです。
こうした状況は、日銀の追加利上げの後ずれ感を強め、円の上値を抑える要因となります。一方で、成長に対する不透明さが株価を押し下げるリスクもあり、円高への警戒感もくすぶっています。
また、米予算案が可決されたことで債務上限が引き上げられ、米国の債務不履行という最悪の事態は回避されました。しかし、米財政の健全性から離れていくことになり、米国債の増発や需給悪化リスクから、米国資産売りの流れが強まる可能性は残されています。
さらに、四半期を終えて企業の決算が発表される時期になります。米関税政策を巡る不透明感を受けて、米企業の決算内容や今後の業績・採用計画などの見通しにも注意が必要です。
以上のような材料を踏まえると、米ドル/円を積極的に買っていける状況とは考えにくく、米ドル/円は調整含みの展開になる可能性が高いと見ています。
上方向へのモメンタムは限定的(テクニカル分析)
米ドル/円は、一時的に支持線を一度割り込んだものの、短時間で持ち直し、底割れは回避して145円台を回復しました。145.545円の日足一目雲上限に接近していることもあり、この抵抗帯を越えられれば147.00円を試す展開もあります。しかしながら、9日・14日間のRSI(相対力指数)は50を割り込み始めており、上昇へのモメンタムは高まりにくい状況です。足元の水準で上下に振れながら次の方向性を探ることになるのではないかと考えています。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:USD/JPY:142.000-147.000
7/7 週のイベント:
一言コメント
赤沢経済再生担当相の閣僚級会合について、「アポなし訪米」や「アポなし外交」などと揶揄されるなか、今週末も再訪米する可能性については「否定しないが、具体的に決まっていない」としています。日本の産業界に影響する重要な交渉でご尽力頂いていることは嬉しいのですが、今回はさすがに、トランプ大統領もあきれて、直接お手紙を頂く危険もあるかもしれませんね。
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来週の為替予想 米ドル 円
2028年11月のドル円予想。当月始値 168.83、最低 166.10、当月最高 171.16。平均 168.68。月末 168.63。変更 -0.1%。
2029年5月のドル円予想。当月始値 176.49、最低 174.38、当月最高 179.70。平均 176.90。月末 177.04。変更 0.3%。
プロのドル円FX予想は?
今後の展望については、日米金利差と投機的な円買いポジションの動向がカギを握ると思われます。前者については、来週3月18日と19日に開催される日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目され、日米とも政策変更は急がない姿勢が確認されれば、日米金利差縮小の反転が予想されます。ただ、トランプ関税は要注意で、過度な引き上げは景気の先行き不透明感を強め、現時点でドル安要因に作用する恐れがあります。
2029年6月のドル円見通し。当月始値 177.04、最低 172.11、当月最高 177.35。平均 175.31。月末 174.73。変更 -1.3%。
翌7月2日は続落し、節目の3万9500円を割り込む場面も見られました。前日にトランプ大統領が「9日の猶予期限を延長する考えはない」と明言。さらに日本との通商合意がまとまる可能性は低いとの認識を示し、日本への相互関税率を「30%または35%に引き上げる」と発言したことが、利益確定の売りに向かわせました。
最新のドル円為替レート 146.07円。日の範囲の 146.07 - 146.07円。前日 146.07円。前日比 0.00%。
金融政策面では、急激な円安進行時に日銀が利上げし、住宅ローン金利の上昇など家計の負担増加につながる可能性がある。また、米中対立の激化は日本企業のサプライチェーンに混乱をもたらすおそれがあり、特に中国に生産拠点や市場をもつ企業では、事業戦略の見直しを迫られるのではないか。地域経済への影響も無視できず、輸出産業が集積する地域では雇用・所得の改善が期待される一方、内需依存型の地域では物価上昇による消費低迷が懸念される。
2029年3月のドル円予想。当月始値 170.15、最低 170.15、当月最高 177.05。平均 172.95。月末 174.43。変更 2.5%。
円安の進行は輸出関連企業の収益改善につながり、特に自動車・電機・機械などの製造業では円換算での売上増加が期待される。一方で、輸入原材料に依存する製造業では、円安によるコスト上昇が収益を圧迫する可能性が高い。
週末の7月4日は、前日に発表された米国の雇用統計が予想を上回ったことが好感され、寄付直後に4万円を回復。その後は下落して再び4万円を割り込んだものの、底堅さが意識されました。
ドル 円 リアルタイム。
次に、「今後想定されるドル円価格シナリオを、就任日から任期終了までについて予測してください」とAIに指示したところ、基本シナリオとして強いドル・弱い円の展開が示され、政権移行期(2025年1~6月)では145~155円、政策実行初期(2025年後半~2026年)では150~165円、政策効果の本格化(2027年)では160~175円、政策定着期(2028年~2029年初)では165~180円という段階的な円安進行が予測された(図表2)。この予測には、法人税引き下げによる米国企業の収益改善、包括的関税措置の導入による輸入物価上昇、製造業の国内回帰、日米金利差の拡大などが要因として挙げられている。
2029年4月のドル円見通し。当月始値 174.43、最低 173.84、当月最高 179.14。平均 175.98。月末 176.49。変更 1.2%。
円高シナリオでは、政治的混乱による市場パニックや米国債市場での売り圧力から政権移行期で120~130円まで進行し、世界貿易の縮小や米国債格付け引き下げにより2029年初には90~105円に達すると予測。一方、超円安シナリオでは、極端な保護主義政策期待や日銀の金融緩和維持により政権移行期で160~180円まで進行し、対日貿易制裁や日本からの資本逃避を経て、2029年初には金融システムへの信認崩壊により250円以上も視野に入るとの分析が示された。
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