市場センチメント分析:材料不足と方向感欠如の相場環境【明快!テクニカルレビュー】
動画配信期間:公開日から3カ月間
動画解説
相場分析ポイント解説・通貨ペア分析
市場の潜在的センチメントと方向感の欠如
金曜日のアメリカ市場休場という環境下で、マーケットの潜在的なセンチメントを観察しましたが、対円・対ドルともにいまいちな動きとなりました。木曜日の雇用統計発表で一時的にドルが買われる場面があったものの、その後の持続性に欠ける展開となっています。
株式市場についても、強い地合いは継続しているものの、雇用統計の好結果を受けてさらに買われるかと思いきや、そうした展開にはならず、一段落ついて冷めた雰囲気が漂っています。関税問題、ウクライナ情勢、イラン問題(こちらは一応決着)など、各種材料の扱いが不透明で、市場が何を織り込もうとしているのか見えにくくなっています。
ドル円の上下固い展開
ドル円は木曜日に急上昇したものの、金曜日は陰線で沈む展開となりました。先週火曜日に下髭を伴い、その前には上髭もあることから、3本の移動平均線から離れにくい状況が続いています。上値も下値も固く、方向性に欠ける展開となっています。
ユーロ円の相対的な強さ
ユーロ円はドル円と比較して相対的に良好な状況を維持しています。木曜日の陽線に対して金曜日は陰線となったものの、小さな実体部分にとどまり、下髭を伴って戻して高い位置で引けています。下値も切り上げており、木曜日の陽線効果が残っている状況です。
実体線と長期移動平均線の乖離は6円強とやや気になる水準ですが、まだ許容範囲内と考えられます。金曜日の高値を超えてくるような展開があれば、すかさず買いエントリーできる状況です。
ポンド円のタチの悪い動き
ポンド円はチャート形状的にはユーロ円と似ていますが、より複雑な動きを見せています。先々週に高く引けて買いかと思われたところから下押しし、木曜日の陽線で跳ね返したものの、金曜日も陰線となりました。結構な値幅を伴っており、買い持ちポジションの投げが入りやすい状況ですが、その後の戻りも力強さに欠けるタチの悪い動きとなっています。
相場が明確に売りに転じたわけではありませんが、非常に扱いにくい状況となっています。
豪ドル円のボラティリティ欠如
豪ドル円は最も動きが乏しい状況です。木曜日に陽線で引けて高いところで弾ければ通常は買い場と考えられますが、何のことはなく戻してしまい中途半端に引けています。実体線の位置自体は悪くないため売りではないと考えられますが、買いポジションを持った場合は適切な利食いが必要な状況です。
終値ベースでのボラティリティが著しく低下しており、この点を前提とした取引が必要です。
ユーロドルの陰りと慎重な買いスタンス
ユーロドルは先々週から先週初めにかけて順調な上値追いを見せていましたが、若干陰りが見え始めています。先週水曜日は下髭を伴って戻したものの、木曜日の陰線で安く引け、金曜日の戻りも限定的でした。
実体線が短期移動平均線の下側に落ち込んだのは6月中旬以来で、当時も23日の陽線で跳ねてから再び上伸基調に戻った経緯があります。先週木曜日の高値を超えてくるような展開があれば買いエントリーを検討できますが、中途半端な押し目買いは苦戦する可能性があります。
ポンドドルと豪ドル米ドルの方向感欠如
ポンドドルはポンド円同様に奇怪な動きを見せており、陰線での下押し後も明確な方向感を示していません。実体線は高い値を保っているため売りではありませんが、先週水曜日の陰線やMACDのデッドクロス可能性を考慮すると買いにくい状況です。
豪ドル米ドルもボラティリティの欠如が著しく、木曜日に下髭を伴って戻したものの、金曜日は木曜日の下髭を埋める動きとなり、買いにくい状況となっています。
投資戦略と今後の方針
全体的な分析として、対円ではドル円が上下固い展開を象徴しており、取引するならユーロ円が最適ですが、できるだけ高値圏での押し目を狙いたい状況です。ポンド円は扱いが困難で、豪ドル円はボラティリティ不足が顕著です。
対ドルについても同様の分析となり、ユーロドルで高値を突き抜けるような展開があれば条件付きで買いエントリーを検討するという慎重なスタンスが適切です。
雇用統計の好結果を受けても、従来のドル安・金利安・株高という明確なトレンドが継続しなくなったことが、当面の取引を難しくしている要因となっています。
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井上義教 氏
株式会社チャートリーディング 代表取締役 昭和39年東京都生まれ。 昭和63年大阪大学経済学部卒業、同年大和銀行入行、平成3年よりロンドンの証券現法にてディーリング業務に従事。 平成15年に退社するまで為替・債券・スワップ市場を歴任、チーフディーラーとしてチームを統括。 平成28年 株式会社チャートリーディング設立とともに代表取締役に就任。
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