推し活休暇 若手定着図る福利厚生
中国地方の企業が、若手社員のプライベートの充実を後押しする福利厚生に力を入れている。好きなアーティストの音楽ライブなどに参加するための「推し活休暇」を導入。動画配信サービスの利用料を負担する企業もある。人材の獲得競争が激しくなる中、若手の定着を図る狙いがある。 【グラフ】やる気アップへ自社株を社員報酬にした企業数 きな粉や米粉など製造の上万糧食製粉所(広島市安佐南区)は昨夏、年1日の「推し活休暇」を取り入れた。人気アーティストのライブなどは、広島が開催地に含まれない「広島飛ばし」がしばしば。社員が泊まりがけでライブに行けるようにした。有給休暇とは別に取得でき、これまでに20~50代の9人が利用した。 新入社員の近野凜さん(22)は5月、札幌市であった音楽ライブに行くため、月曜日に推し活休暇を取得した。「週末だけだと厳しい日程だったが、3連休にしてゆっくり楽しめた」と喜ぶ。栗栖亮輔社長は「休みを楽しみ、仕事も頑張ってほしい」と期待する。 自動車部品輸送のロジコムホールディングス(HD、東区)は4月、グループ5社の従業員と来春の入社予定者計約1400人を対象に、米動画配信大手ネットフリックスのサービスを会社の負担で無料で見られるようにした。 ネットフリックスの無料視聴は、第一生命ホールディングス傘下のベネフィット・ワン(東京)の福利厚生サービス。最近は地方の企業にも広げている。ロジコムHDの大上正人社長は「新入社員の半分は10年以内に転職してしまう。インパクトのある施策を打ち出し、長く働いてほしい」と願う。 厚生労働省によると、2021年春に就職し、3年以内に離職した大卒の割合は34・9%と、過去10年間で最も高かった。 恋愛や結婚を後押しする企業もある。山口フィナンシャルグループ(FG、下関市)は、全国約1400社の登録企業の従業員を対象にしたマッチングアプリ「エールゴエン」に23年から参加している。利用者が登録した情報に基づき、人工知能(AI)が社外の異性を薦める。プライバシー保護のため、会社側は利用者を特定できない。 山口FGは「社員が安心して使える出会いの場を提供したい」と説明する。
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