JR美祢線をBRTで復旧へ JR西で初
社会人のプロから観光戦略を学びました。山口大学で17日、観光について学ぶ学生らを対象に講演会が開かれました。講演会は、山口大学経済学部観光政策学科が開いたもので、JR西日本で観光戦略に関わる3人の社員が講師として招かれました。この中ではJR西日本などが来年秋に行う「山口デスティネーションキャンペーン」や地域の交通手段を連携させて観光客の利便性を高める「MaaS」の今後の取り組みについての説明がありました。また、運休が続くJR美祢線の復旧方法として検討されている「BRT」=バス高速輸送システムについても触れました。(西嶋俊輔課長)「地域の方々と一緒に、作ってよかった、乗りたいね、というものを作っていきたい」(男子学生)「地域の人々のニーズを反映した 交通を目指している取り組みにとても興味を持ちました」学生たちは、観光や交通の最前線の取り組みに真剣に聞き入っていました。
これに対して沿線自治体は「バス専用道路が短く、定時性を確保しにくいのではないか」「具体的な費用や工期を示してほしい」などの意見が出されたそうです。なお費用に関しては、次回の検討会議でJR西日本が示すとしています。
5月の総会でJR側は、便数の増便などでより利便性を確保できる「BRTでの復旧がふさわしい」との考えを示し沿線自治体の方針に注目が集まっていました。16日の臨時総会では美祢市は「単なる路線バス転換は復旧とは言えない。BRTでの復旧を基軸に進めていくことを受けざるを得ない」、長門市は「未来感、刷新感あるBRTでの復旧を」山陽小野田市は「BRTまたは路線バスで検討していくべき」との考えを示しBRTでの復旧に一定の理解を示しました。
【2024年12月18日】福島県は、JR只見線と会津鉄道の維持費に国の補助金を活用する方針を決めました。
さて、今回(第3回)の部会では、「鉄道以外で復旧する場合」について議論。JR西日本は、BRTまたはバス転換したときのルート案を説明しました。いずれも、現在代行バスが走る県道や国道316号をベースとしたルートですが、BRTに関しては県道から外れる湯ノ峠~厚保付近の約4.2kmをバス専用道路に転換するとしています。
具体的には、現在も運行している代行バスを継続する「代替バス案」と、一部区間をバス専用道路にする「BRT(バス高速輸送システム)案」の2案です。このうちBRT案は、湯ノ峠~厚保付近の約4.2kmをバス専用道路にする案を示しました。いずれの交通モードも、停留所や運行本数を増やすことで利便性を高められると、JR西日本は説明したようです。
被災した鉄道路線をバス高速輸送システム(BRT)で復旧させる例は2011年の東日本大震災以降、相次いでいる。12〜13年にはJR東日本の気仙沼線と大船渡線、23年には九州北部豪雨(17年)で被災したJR九州の日田彦山線のそれぞれ一部区間に導入された。
JR美祢線利用促進協議会に設置された復旧検討部会は、「鉄道で復旧する場合」と「鉄道以外で復旧する場合」を比較検討する協議組織です。前回(第2回)の部会では「鉄道で復旧する場合」について議論され、JR西日本は上下分離方式への移行を提案しています。なお、JR西日本が単独復旧・運行する考えは「ない」ことも伝えています。
2023年夏の豪雨で被災し、全線運休が続く山口県のJR美祢(みね)線を巡り、沿線の3市と県、JR西日本などでつくる利用促進協議会は16日、同県山陽小野田市で臨時総会を開き、鉄道での復旧を断念し、バス高速輸送システム(BRT)の導入を軸に検討を進める方針を決めた。今後、知事と3市の市長が協議し、最終決定する。被災した鉄道路線をBRTに転換して復旧するのは全国4例目で、JR西では初めてとなる。
今後は、JR京都駅の地下を南北に通る「南北案」と、JR桂川駅付近の地下に新駅を作る「桂川駅案」の2案で検討されますが、ルートが決まらなければ建設事業費の予算計上ができません。国の2025年度当初予算案は今年中に計上しなければならず、2025年度中の認可・着工も見送りになる模様です。
なお、委員会は12月20日にも会合を開催。3案のうち、JR京都駅の地下を東西に通る「東西案」について、地下水への影響が大きいなどの理由で候補から外すことを決めています。
また、バス専用道路は美祢線の跡地に整備するわけですから、専用道路が長くなれば厚狭川を渡る橋の数も増えます。そもそも、JR西日本が美祢線の復旧を拒む理由のひとつに、「復旧してもまた災害で橋が流されて不通になる」ことがあります。JR西日本としては、「できるだけ橋を避けたい」という考えもあり、橋があまりない湯ノ峠~厚保付近のみをバス専用道路にしたとも考えられるのです。
一方、全線をBRTに転換し、湯ノ峠―厚保(あつ)(美祢市)のうちの約4・2キロを専用道化する案では復旧費は約55億円、年間運営費は約2・5億円で、復旧まで3〜4年とされた。JR西は「BRTでの復旧が望ましい」としていた。
【2024年12月19日】美祢線の復旧方針を議論する第3回復旧検討部会が開かれ、JR西日本が「鉄道以外の復旧方法」を示しました。
プランの内容は、JR西日本の協力のもと、西脇市~谷川で車内放送や巡回をしたり列車に出発合図を出したりといった駅員体験ができるほか、日本へそ公園駅の近くにある「テラ・ドーム」で天体観測を楽しむなど、1泊2日のコース。加古川線100周年記念のキーホルダーなども、贈呈されます。


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