コメ5kg3500円台に 6カ月ぶり水準
ふるさと納税の仲介サイトでは、ことしの新米を返礼品とする自治体への寄付の受け付けが例年より早く始まっていて、寄付の件数は去年の同じ時期を上回る水準となっています。コメの価格高騰を背景にふるさと納税を活用して新米を早めに確保しようという動きが広がっているとみられます。
農産物を扱う通販サイトでは早くもことし収穫される新米の予約注文が相次いで寄せられています。野菜や果物などを農家から直接買うことができる通販サイトでは、先月の時点で全国の24のコメ農家がことしの新米の予約注文を受け付けています。
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サイトの運営会社 秋元里奈 社長「スーパーで売られるコメの価格自体が高くなったことで、少し高くても生産者から直接買おうという消費者が増えている」
小泉農林水産大臣は23日夕方、記者団に対し「石破総理大臣が今まで、6月中旬までに平均3000円台と話をしてきたことを多くの皆さんの協力で達成でき、大変ありがたく受け止めている。まだ地域による価格差もあり、楽観はできないが、異常なコメの価格の高騰を沈静化させることに向けて新たな段階に一歩踏み込めた」と述べました。
広島市に本社を置くコメの卸売業者「食協」は、全国の小売業者から依頼を受け、8月下旬までにあわせて6000トン以上の備蓄米を精米する計画です。備蓄米以外のコメも合わせると1日に精米する量は200トンを超え、通常の1.5倍から2倍程度だということで、1950年の創業以来初めてとなる24時間体制で精米作業にあたっています。
農林水産省は全国のスーパー、およそ1000店でのコメの販売価格をまとめ、毎週公表しています。23日発表された今月9日から15日までの1週間に販売されたコメの平均価格は5キロあたり税込みで前の週から256円値下がりした3920円でした。3000円台になるのはことし3月2日までの1週間以来およそ3か月ぶりです。農林水産省は値下がりの背景に割安な随意契約の備蓄米が店頭に並び始めたことをあげていて、備蓄米を含む「ブレンド米等」は平均3495円と前の週より339円値下がりしました。また産地と品種が単一の「銘柄米」も105円値下がりして4338円になりました。
ふるさと納税の仲介サイト「さとふる」によりますと、ことし1月から5月までに自治体が新たに新米を返礼品として登録した件数は、去年の同じ時期のおよそ4倍に増えていて、例年より早く寄付の受け付けが始まっています。また寄付の件数は去年の同じ時期に比べ、およそ1.6倍に増えているということです。運営会社では、コメの価格高騰などを背景に利用者の間でことしの新米を早めに確保しようという動きが広がっているとみています。自治体のなかには、確実に返礼品の新米を届けられるよう、予測している収穫量の一部だけを返礼品に充てているところもあるということです。
JA松山市の管内では、主な品種の1つ「あきたこまち」がここ数年、夏の暑さの影響で、コメの等級の中で最も評価が高い「1等米」として出荷できる割合が1%程度に落ち込むなど、品質や収穫量が下がっていることが課題となっています。このため、管内の44の農家ではことしから国の研究機関が開発した暑さに強いとされる品種、「にじのきらめき」に切り替えることを決めています。
水田農業に詳しい九州大学大学院・農学研究院の渡部岳陽准教授は「今のところ生育状況は順調と見ているが、この時期で気温が30度を超えているので今後の生育に悪影響を及ぼす可能性がある」としています。渡部准教授は、おととしは記録的な猛暑の影響で、最も評価が高い「1等米」の比率が大幅に低下したことを挙げ、「猛暑が続くことで1等米の比率の低下や、玄米で量が確保できても精米した際に量が減ってしまう事態が起きかねない。ことしのコメは豊作になる予測があったとしても、精米のあとにどれだけの量のコメになるのかが大事だ。温暖化によって質が悪く、量も確保できないとなれば、コメ不足を繰り返す事態になる可能性もある」と話しています。そのうえで「高齢化によってリタイアしていく農家がどんどん増えているので、放棄される農地を受けきれない地域もかなり多いと思う。今後も、需給がタイトな状況はおそらく変わらないので、コメを作れば儲かる環境を政策的に整えることが必要だ」と指摘しています。
農林水産省は11日、6月30日〜7月6日時点のコメの平均店頭価格を発表した。全国のスーパーなど約6000店舗から収集したPOS(販売時点情報管理)情報に基づくインテージリサーチ(東京都東久留米市)の分析では、5キログラム3534円と前週から157円(4.3%)下落した。安価な政府備蓄米が広がり、全9地域で4000円を下回った。
コメ卸売業者「食協」 武信和也社長「1日も早く消費者に届けるように全力で頑張りたい」
福島県大玉村では新米の入荷が来月から始まるのを前に、去年収穫されたコメを販売するセールが直売所で行われ、多くの客でにぎわっています。福島県大玉村の直売所で、7日限定で行われたセールでは去年収穫された「天のつぶ」が、相場より1割ほど安く販売されています。午前8時半の開店と同時に多くの客が訪れ、用意された77袋は次々に売れていきました。今回のセールは来月から早場米の入荷が始まるのに合わせて、手元にコメが残る農家に協力を求めて実現したということです。本宮市から訪れた70代の女性は「家族と相談しながら大事にいただきたい」と話していました。
厳しい暑さが続いていることを受けて、愛媛県宇和島市の農家からはコメの生育に影響が出ることを懸念する声が上がっています。愛媛県宇和島市三間町は県内有数のコメの産地で、毎年、8月上旬ごろから収穫が始まります。およそ10ヘクタールの田んぼでコメづくりをしている松本高秋さんによりますと、4月に植えたコシヒカリの稲は高さ80センチほどになっていていまのところ順調に生育しているということです。
一方、この会社ではコメを調達する際、卸売業者どうしがコメを融通し合う「スポット取引」を活用してきましたが、その価格の低下を実感しているといいます。5月下旬には玄米60キロあたり4万8000円台だった、栃木県産や島根県産のコシヒカリの価格が、今月16日の時点では3万4000円台と、1万4000円ほど安くなったということです。


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