
本日のNY為替市場のドル円は、まずは7月の雇用統計の調査対象週(7/12)の失業保険継続受給者数や7月米製造業PMI速報値を見極める展開。また、トランプ米大統領のFRB本部訪問に関するヘッドラインにも注目する必要があるだろう。
前週の米新規失業保険申請件数の予想は22.7万件、7月の雇用統計の調査対象週(7月12日週)の失業保険継続受給者数の予想は196.0万人。7月雇用統計を占う意味で、雇用情勢を見極めていくことになる。
7月米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを主張しているウォラーFRB理事は、利下げの理由として民間部門の雇用情勢の脆弱性を挙げていた。「先月の雇用増加の大半は公的部門だった。つまり、民間部門の状況はあまり良くないということだ」と述べていた。
7月FOMCでは政策金利(※FF金利誘導目標4.25-50%)の据え置きが見込まれている。ただ昨日は、ベッセント米財務長官は「FRBが公表している経済予測は政治的に偏っている」と批判ししていた。さらに、トランプ米大統領は以前、FRBに対して300bpの利下げを実施するように要求していた。その大統領が、本日FRB本部を訪問する予定と報じられている。
パウエルFRB議長は先日、「トランプ関税の影響で夏にかけて物価が上がると予想している」と述べていた。次期FRB議長の人選など、FRBの金融政策を巡る関連ヘッドラインには、引き続き警戒しておきたい。
7月米製造業PMI速報値は52.7と予想されており、6月の52.9からの若干の悪化見込み。トランプ関税の不確実性への警戒感を織り込んだ数字であるため、対日相互関税が15%で合意に至り、対欧州連合(EU)関税も15%での合意見通しと報じられていることで、8月分は改善するのではないだろうか。
トランプ米大統領のアキレス腱となりつつある「エプスタイン文書」だが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が17日に「故ジェフリー・エプスタイン元被告に宛てた2003年の下品な私信にトランプ大統領の名前があった」と報じた。昨日は「ボンディ司法長官がトランプ大統領に対し、エプスタイン文書にトランプ氏の名前があったと5月に伝えていた」と報じている。
トランプ米大統領の支持基盤である「MAGA(米国を再び偉大に)」派の離反が強まりつつあるある。来年の中間選挙でのトランプ米政権の敗北、すなわちレームダック化の可能性が高まることで、関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、147.65円(日足一目均衡表・転換線)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、144.36円(日足一目均衡表・雲の上限)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通し失業保険継続受給者数や7月米製造業PMI速報値に要注目
昨日はムサレム米セントルイス連銀総裁やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言の影響でドルが支えられたが、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、12月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率は8割弱で小幅に利下げ予想が増え、据え置き予想が2割超となった。一方で1月28-29日の据え置き予想が61%台から64%台へとやや拡大した。市場では、これまで通り12月FOMCでの利下げ以後は、当面様子見となる見通しになっている。市場の予想にさほど変化がなかったのは、1月には第2次トランプ政権が樹立していることで、トランプトレードによる金利上昇をすでに織り込んでいたからとも思われる。


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