
「ドル/円」を中心に前日の振り返りと当日の見通しをギュッとまとめて動画配信しました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
X(Twitter):@gaitamesk_naka
最新のマーケット情報まとめ
<ドル円相場に影響を与えた材料>
日銀追加利上げ期待やや高まる
米労働市場が底堅い
米製造業PMI悪化の影響は一時的
<ドル円は…>
145円台へ下落も147円台へと反発
<今日の注目材料>
来週のビッグイベントを前に動きにくい
引き続き関税関連報道には注意
『最新のドル/円相場を解説』
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
外為どっとコム総合研究所 情報企画部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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今日のFX予想ドル 円 日銀追加利上げ期待も
相場の動きはいくつもの要因が複雑に絡み合った結果だというのが常ですが、「特定の人物」の一挙手一投足が世界のマーケットを動かし続ける状況は「1971年のニクソンショック以来だ」という専門家もいます。しかも、今はその「特定の人物」の行動、発言自体がきわめて予想しにくい状況です。“円高マグマ”がさらに膨張するのか、円高ポジションの巻き戻しによる“円安”が進むのか。方向感を読み解くのは困難ですが、「台湾ドルショック」のように微少な動きが巨大なうねりに発展するリスクに当面は警戒が必要かもしれません。
円は対ユーロでも上昇した。12時時点は1ユーロ=172円32〜37銭と、同29銭の円高・ユーロ安だった。
<円高方向のシナリオ>一方の「円高シナリオ」は、(今は後退しているものの)今後の関税交渉の中でトランプ政権が「ドル高の是正(ドル安)」をちらつかせ、交渉先の国・地域に揺さぶりをかけてくるのではないかという見方に立っています。さらに、交渉が不調に終わって延期している相互関税を発動する事態になった場合も、円高シナリオに立つ市場関係者は、高い関税によってアメリカ経済がダメージを受けることでドルは売られ、円高が進むとみています。
9時30分ごろには146円20銭近辺まで上昇する場面があった。日銀による追加利上げ観測が高まり、23日午前の国内債券市場では政策金利の影響を受けやすい新発2年債利回りが4月上旬以来の高水準を付ける場面があった。日米金利差の縮小観測が円相場を押し上げた。
この日の金融政策決定会合で日銀は今年度の経済成長見通しを大幅に下方修正(除く生鮮食品の実質GDP伸び率 従来は+1.1%→最新は0.5%)。理由はもちろんトランプ政権の関税措置による経済の下押しリスクです。さらに植田総裁が会合後の会見で、政策判断にあたって重視している「基調的な物価」について「足踏み状態というパスを見ている」などと述べると、追加利上げが近いという観測は一転、「年内の追加利上げすら難しいのではないか」といった見方が金融市場に広がりました。日銀の会合の翌日には円相場は1ドル=145円台後半まで下落(円安ドル高)。一部の市場関係者の間では投機筋も先物取引での円買いポジションを解消し始めたのではないかという見方も出ています。
日銀の内田真一副総裁は23日、高知県金融経済懇談会で講演し、「経済・物価のメインシナリオが実現していくとすれば、経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」などと説明した。従来の主張に沿った内容で、現時点の為替市場の反応は限られている。
23日午前の東京外国為替市場で、円相場は上昇した。12時時点は1ドル=146円86〜87銭と前日17時時点と比べて85銭の円高・ドル安だった。トランプ米大統領が日本時間23日朝、自身のSNSで日本との関税交渉で合意し、日本への相互関税を15%にすると表明した。米関税政策を巡る不確実性の後退で日銀が利上げに動きやすくなるとの見方から円買い・ドル売りが入った。
<円安方向のシナリオ>円安シナリオの根拠は、これまで円高を加速させた2つの主要因=「トランプ政権のドル安志向」と「日銀の早期利上げ」の観測がいずれも後退していることです。
実際に円相場の動きのグラフを見てみると、2月上旬の円相場は1ドル=155円台でしたが、その後じわじわと円高が進み、トランプ大統領が一律関税や自動車関税を発動した4月には円買いドル売りが加速。4月22日には一時1ドル=139円台まで値上がりしました。ちなみに先の「IMM通貨先物ポジション」のグラフ左側(青枠)をみてみると、去年の夏は円先物が記録的な売り越し状態だったことがわかります。このときの円相場を振り返ると1ドル=161円台という記録的な水準まで円安ドル高が進んでいました。今はその逆です。過去最高水準の「円の買い越し」が続く中、外国為替市場に“円高マグマ”のエネルギーが充満し、いつかショックを引き起こすのではないかと警戒する市場関係者は少なくありません。
三井住友銀行 鈴木浩史チーフ・為替ストラテジスト「トランプ政権の政策の不確実性の霧は晴れにくい。政策の動きしだいで投機筋の円高ポジションが巻き戻されて円安が進む場面も想定される一方、反対にドル売り円買い圧力も相当に強くなることも想定される」
ソニーフィナンシャルグループ 尾河眞樹チーフアナリスト「トランプ政権の政策の不確実性が晴れるかどうかだ。市場が判断する経済政策の不確実性を示す指標は急騰していて、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大の時と比べても高い状態になっている。今後の円相場は▽90日間措置を停止した相互関税がどうなるか、▽日米間での関税交渉の行方、▽トランプ政権の支持率、▽トランプ政権が減税や規制緩和の政策をいつ打ち出すかに左右されるだろう」
「逆アジア通貨危機だ」と表現する人もいたくらいでした。先週から今週にかけて異変が起きたのは、ドルでもユーロでも円でもない、台湾の通貨=台湾ドルです。
円は急速に伸び悩む場面もあった。11時半すぎには一時1ドル=147円20銭近辺まで上げ幅を縮めた。毎日新聞が23日午前に「石破茂首相は自民党が8月にまとめる参院選の総括を踏まえ、同月までに退陣を表明する意向を固め、周辺に伝えた」と報じた。石破首相の退陣で次期政権がより積極的な財政政策に傾くとの思惑が広がり、円売り・ドル買いが増えた。
アメリカのCFTC=商品先物取引委員会が毎週発表している「IMM通貨先物ポジション」は円先物の投機筋の動向をつかむ指標のひとつとされています。この中では非商業部門の円買いポジションと円売りポジションの差が特に注目されますが、このところは円買いポジションが大きく上回る状態が続いていて、直近4月29日時点の「円の買い越し」は17万枚あまりに達しています。「円の買い越し」は2月から13週連続、しかも直近の4週は過去最高を更新(赤枠)し続けています。
日本では、構造的な人手不足や良好な企業収益を背景に2025年も高い賃上げが期待され、個人消費の緩やかな回復などを主導に景気は改善されていくと予想する。企業は賃上げ原資を確保する観点から、価格転嫁姿勢を積極化するとみられ、消費者物価(生鮮食品を除く総合)は2025年も2%台半ばでの推移を予想する。日銀は経済への影響を慎重に見極めながら、半年に1度程度での緩やかなペースで利上げを行うとみられ、円金利は、2025年末にかけ、2%近傍への上昇を見込む(図表3)。




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