執筆：外為どっとコム総合研究所　小野　直人
執筆日時　2025年7月25日　12時45分

注目材料は欧州や中国との関税協議の行方、安堵感広がればユーロやポンドは上昇

ユーロ／円・ポンド／円は方向性欠き横ばい

ユーロ／円、ポンド／円は売買が交錯。本邦の参議院選挙や日米が通商協議で合意にいたったこと、さらには各種経済指標の強弱が相場を動意付かせたものの、それら多くが噛み合わず明確な方向性は定まりませんでした。ユーロ／円は171.365円から173.172円、ポンド／円は197.432円から199.416円と限られたレンジで振幅した。また、ECB理事会では政策金利は据え置かれたほか、ラガルドECB総裁は「２％のインフレ目標が達成されている」と指摘し、ECBは様子見モードにあることを明らかにしています。新たな材料は見られず、理事会は手掛かりになりませんでした。また、英国はサービス業の回復が鈍いことを示す指標結果が出て、英国経済に対する不安をのぞかせました。

（各レート水準は執筆時点のもの）

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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。

英国の財政不安でポンドの上値は重そう

市場の関心は、米国との関税協議が合意に至るかどうかに集まっています。現在、協議は合意に近いと報じられていますが、トランプ米大統領の言動は予測が難しく、予断を許しません。現時点では、日本と同様の15％前後の関税率で合意するとの観測があります。内容がこの水準から大きく外れない限り、市場の見通しに対する不透明感はある程度解消されて投資家心理の改善を通じて、ユーロに上昇圧力がかかる可能性があります。また、28日-29日に開催される第3回目の米中通商協議の結果も注目です。ECBが物価目標の2％を達成し様子見姿勢を強める中で、米国の関税協議に対する注目度は増しています。また、企業も家計も賃金上昇率の減速が予測される状況を踏まえ、賃金トラッカーの動向にも注意を払いたいところです。

一方、英国は６月の政府借入額が予想を上回る207億ポンドとなり、市場予想（175億ポンド）を上回り、前年同月から66億ポンド増加しました。労働党政権が、数十億ポンドに上る歳出削減措置を撤回したことで財政計画に支障が生じており、増税が避けられないとの声も高まっています。財政問題が英国の信用低下につながり、国債価格の下落やポンド買いの手控えにつながる懸念があります。こうした中、日銀のタカ派姿勢が鮮明となれば、ポンド／円の調整幅が拡大する可能性はあります。

ユーロ／円は慎重に買場見極め、ポンド／円はレンジプレイ（テクニカル分析）

ユーロ／円は、ローソク足が下髭を伸ばして21日移動平均線レベルでサポートされている形を見ると、同支持線が機能していることが判断できます。まずは、この線付近では押し目買いを検討したいと考えています。

ただし、パラメーターが12日、26日、9日のMACDでデッドクロスが出現している点で、買いのタイミングはMACDの底打ちを確かめてからにしたいです。調整幅が深くなり21日線を割り込むようなら、ロングは解消して、170.00円付近の底堅さを確認することに徹したいです。

一方、ポンド／円は引き続き200円の節目で頭を抑えられ、苦しい展開が続いています。
下ヒゲを伸ばしたローソク足も散見されるため、即座に地合いが悪化するとは限りませんが、上昇の勢いは依然として限定的です。21日期間のボリンジャーバンドも横ばいとなっており、仮に200.00円を超えても、上昇の勢いは限られそうです。足もとのレンジ内で次の方向性を探る展開が続いていると考えられます。

【ユーロ／円チャート　日足】

出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ：EUR/JPY：170.000-175.000

【ポンド／円チャート　日足】

出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ：GBP/JPY：195.500-201.500

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一言コメント

「石破おろし」が自民党内で強まる一方、与党を超えたところでは石破首相擁護の動きも広がっているようです。一方で、次期総裁候補として名前が挙がる高市氏については、自民党内での支持は石破首相よりも低い一方、野党支持者からは高いなど、適材適所って難しいですね。