25年の自社株買い 過去最高ペース

上場企業が自社の株式を市場から買い取る「自社株買い」の金額が去年は17兆円を超え、過去最高となったことが民間の調査で分かりました。自社株買いは株価の上昇につながりやすいとされていて、株主還元を強化する企業が増えているとみられます。

みずほフィナンシャルグループが16年ぶりの実施を決めたのをはじめ幅広い業種で行われ、2023年の9兆6840億円の1.8倍に増え、過去最高となりました。背景には、企業の業績が好調で自社株買いの資金を捻出しやすくなったほか、2023年に東京証券取引所が株価を意識した経営を要請したのをきっかけに株主還元を強化する企業が増えているとみられます。調査会社は「ことしも自社株買いは活発になると予想されるが、企業は従業員の賃上げの原資も確保する必要があり、持続的な成長に向けて株主還元と従業員への還元のバランスが重要だ」としています。

時事通信経済部 林里奈 上場企業による自社株買いが、2025年も過去最高のペースで推移している。企業が資本効率を高めるために実施する自社株買いは、株価上昇につながりやすく、個人投資家にとっても朗報。「物言う株主（アクティビスト）」対策として注目を集めることも多い自社株買いだが、近年の日本株上昇の立役者ともされ、専門家の試算では、年間で20兆円規模に達する勢いだ。