
25日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、「来週30-31日の日銀金融政策決定会合では追加利上げが見送られる公算が大きい」との観測報道を受けて一時147.94円まで上昇した。ユーロドルは米長期金利の上昇やトランプ米大統領が「欧州連合(EU)との貿易合意は五分五分の可能性」と発言したことで1.1703ドルまで下落した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、週内に日米金融政策決定会合の開催や米7月雇用統計の発表を控えていることで動きづらい展開が予想される中、引き続きトランプ米大統領による突発的な発言には警戒しておきたい。
ドル円相場の道標ともいえるシカゴIMM筋の円のネット買いポジションは、4月29日時点の過去最大規模の179212枚から、直近7月22日時点では106645枚まで減少している。7月20日に投開票が行われて自民・公明の連立与党の敗北が判明した後、そして23日午前中に日米関税合意が発表される前のポジションとなっているが、ポジションを手仕舞う目安は200日移動平均線の149円台後半だと思われるため、夏休み前の投機筋の動向には警戒しておきたい。
ちなみに、昨年7月2日時点では、過去最大規模の184223枚の円のネット売りポジションに膨れ上がっていたが、11日と12日の本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入、31日の日銀金融政策決定会合での利上げと植田日銀総裁のタカ派発言、パウエルFRB議長のハト派発言などで、8月6日時点では11354枚の売り持ちに減少し、13日には23104枚の買いポジションに転換していた。
今週は、28-29日の米中通商協議、29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、30-31日の日銀金融政策決定会合、8月1日の米7月雇用統計の発表などのイベントを見極めていくことになる。米中通商協議に関しては、中国がロシアから原油を輸入していることで第2次関税への警戒感が高まる中、8月12日の関税停止期限が3カ月延長されるとの報道もあるため、関連報道に注目していきたい。
今週のFOMCや日銀金融政策決定会合では政策金利の据え置きが予想されているものの、米国と日本及び欧州連合(EU)との関税合意を受けて、据え置き理由となっていた不確実性がやや後退していることで予断を許さない状況となりつつある。
日銀金融政策決定会合に関しては、先週末に日銀筋の話として、「日米の関税合意によって日銀が年内に利上げできる環境が整う可能性」、新聞報道では、「7月会合では追加利上げが見送られる公算が大きい」などと伝えられており、今後もリーク報道には警戒しておきたい。
また、先週、ジョンソン米下院議長は、民主党と一部の共和党議員からエプスタイン関連のファイルを30日以内に公開する採決を強制するよう圧力が高まったことで、予定より早く夏休み休会を宣言したため、米下院は約5週間の夏休み入りした。
トランプ米大統領の再選の原動力となった熱烈な支持基盤であるMAGA(アメリカを再び偉大に)派は、公約であった永遠の戦争終結やエプスタイン関連のファイルの公表に関して裏切られたため離反しつつある。トランプ米大統領も「愚かな人々」と呼び、「もう彼らの支持はいらない」と対決姿勢を示している。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、17日に、故ジェフリー・エプスタイン元被告に宛てた2003年の下品な私信にトランプ大統領の名前があったと報じ、23日には、ボンディ米司法長官が5月にトランプ大統領に対し、エプスタイン・ファイルにトランプ氏の名前があったと伝えていた、と報じており、今後も関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
市場概況 東京為替見通しドル円 動意薄か
市場では「ドル離れがテーマになっていた4月ならまだしも、ここで仮に日本の次の利上げが9月になったとしても、日銀の歩みは遅いままという我々のイメージは簡単には覆らないだろう」(欧州系ヘッジファンドのマネジャー)との声が出ている。緩和的な金融環境への安心感はそのまま株価の支えになり、ヘッジの円売りを促す。


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