
本日のNY時間では、明日までスウェーデンで行われる米中閣僚級貿易協議についての発言や報道で上下すると予想する。もっとも、今週は30日に米連邦公開市場委員(FOMC)、31日に日銀の両中銀が政策金利を発表し、1日には市場注目の米雇用統計の発表と米国の関税延期期間が終了することなど、大きなイベントが控えていることで値動きが限られる可能性がありそうだ。
米中閣僚級貿易協議については、両国とも現在8月12日に期限を迎える貿易休戦の延長で合意するとの予想が多い。すでに、本日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、双方の関係筋の話として「米国と中国は停戦をさらに3カ月延長する見込み」と報じている。
今回の協議については、先週行われた中国と欧州連合(EU)の首脳会談同様に、中国側が強気の姿勢を示すと予想されている。先週EU側は、貿易不均衡、ウクライナ戦争における中国のロシアへの継続的な支援、さらに最近の中国によるレアアースの供給網への締め付けまで、多くの問題に対する懸念を表明した。しかしながら、中国はほぼ未回答で会談を終えている。米国側もレアアースの供給問題もあり、中国に対しての譲歩姿勢が予想される。逆に中国は強気に交渉に臨み、米国にフェンタニル関連の20%関税の撤廃を求めるとの報道もある。
なお、米国側はロシア産原油の購入を継続している中国に対して非難を繰り返し、今回もロシアへの制裁について議論されると一部では報じられている。しかしながら、5月の中露首脳会談で、習中国主席は「中国はロシアとともに両国と幅広い発展途上国の権利と利益を断固として守る」と発言し、プーチン露大統領は「ロシアと中国の関係は歴史上、最高レベルに達した」と述べるなど、中国がロシアへの制裁に加わることは考えられないだろう。米国側も多くは期待できないことで、ロシアに関しては話し合ったという表面的なもので終わる可能性が高そうだ。
なお、本日は米国から市場を動意づけるような経済指標の発表は予定されていないが、2年債と5年債の入札が予定されていることで、入札結果による債券市場の動きが為替にも影響を及ぼすこともありそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、21日高値148.66円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、2日安値147.52円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通し米中閣僚級貿易協議の報道に注目 経済指標乏しいが米債入札予定あり
9日の欧米外為市場では、ドル・円は下げ渋る展開を予想する。欧米諸国の主要経済指標の発表は特に予定されていないため、ロンドンで行われる米中両国の主要貿易交渉担当者による協議の行方が注目されそうだ。報道によると、トランプ米大統領は6日、「中国の習近平国家主席が鉱物やそれを使用する磁石の材料の供給再開に同意した」と発言。一方、中国政府は7日、「一部のレアアース輸出申請を一部承認した」と発表した。ただ、対象となる国や産業については明らかにしなかった。なお、ホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長は8日、米CBSNのニュース番組で「携帯電話などに不可欠なレアアースや磁石が、4月初旬以前と同じように流通することを望んでいる」と伝えている。 中国製品に対する関税の猶予措置は8月に期限を迎えるため、それまでに米中協議は何度か行われる可能性がある。今回の協議で具体的な進展がみられた場合、リスク回避的な為替取引は縮小し、主要通貨に対する円売りがやや強まりそうだ。


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