【最新号】

オーストラリアの通貨「豪ドル」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
豪ドル(AUD)トレードに関わる現在までの相場トピック
・NY原油先物市場は反落。終値は前営業日比-0.87ドルの1バレル=65.16ドル(7月25日)。
・7月17日発表の豪6月雇用統計は、雇用者数が市場予想(2.00万人増加)に対して0.02万人の増加だった。失業率は4.3%で前月から悪化。労働参加率は67.1%だった。
・7月8日に豪準備銀行(RBA)は金融政策決定会合を開催。政策金利を3.85%に据え置いた。市場予想は25bp(0.25%ポイント)の利下げだった。
・7月2日に発表された豪5月小売売上高は前月比+0.2%と市場予想(+0.5%)を下回った。
・6月25日に発表された豪5月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.1%(予想:+2.3%、前月:+2.4%)だった。また、5月CPIトリム平均は+2.4%で前月(+2.8%)から伸びが鈍化した。
4月30日に発表された豪1-3月期CPIは前年比+2.4%(予想:+2.3%)で前四半期から横ばいだった。また同CPIトリム平均は前年比+2.9%だった(予想:+2.8%、前四半期:+3.3%)。
今日の豪ドル(AUD)トレード メインシナリオ
米中協議で期待以上の進展はあるか?
本日から2日間の日程で米中が閣僚級貿易協議を開催する。米中は5月の協議で互いに関税率を115%ずつ引き下げることで合意した。そのうちの24%は8月12日までの一時停止となっている。今回の協議ではこの一時停止期限の延長について協議される見込みだ。ベッセント米財務長官は「中国との通商は非常に良好な状況にある」「米中で取り組める多くのことについても協議する」との認識を示している。また、中国側も今回の協議で「対話と意思疎通を通じて共通認識を促進させ、誤解を減らして協力を強化し、両国関係の安定的で健全かつ持続可能な発展を推進することを望む」(中国外務省報道官)と協議を通じての関係改善に前向きな姿勢が報じられている。両国から前向きな姿勢が報じられているため、関税一時停止期限の延長については市場もすでに織り込んでいる。そのため、「関税停止期限の延期」は中国と交易関係の強い豪ドルを支える要因とはなるが、さらに買い進める材料にはならないだろう。米中協議でのさらなる進展に注目したい。
豪ドル/円 最新チャート分析

今後の注目材料
日米株価動向
米中貿易協議
「ぴたんこテクニカル」内「お天気シグナル」の分析結果
外為どっとコムのテクニカル分析ツール「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」では豪ドル/円、豪ドル/米ドルはともに晴れ。7時に豪ドル/円の移動平均でシグナルが点灯。

【情報提供:外為どっとコム】
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- ※ 「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」とは、選択した通貨ペア・足種に対して、複数のテクニカル分析を行った結果をパネル形式で一覧表示することにより、直感的に相場状況を把握することができるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(パソコン版)/(スマホ版)では「取引分析」 を選択することで、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況をチャート上に表示が可能です(「外為注文情報」)。
- ※ なお「ぴたんこテクニカル」の「お天気シグナル」や、「外為注文情報」は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家ご自身でなさるようお願い致します。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
外為どっとコム総合研究所 情報企画部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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豪ドルはプラス幅を拡大し 夜以降は安定的に推移しました
*13:30JST 豪ドル週間見通し:もみ合いか、豪準備銀行は追加利下げの可能性 ■強含み、原油高や米国株高を意識した豪ドル買い今...
今後、トランプ政権の政策不透明感に伴う米ドルへの資金集中が修正に向かう場合には、売りに偏ったポジションの反動から豪ドルへの見直しが進むことが期待されます。
*23:32JST NY外為:豪ドル買い一服、豪州準備銀は予想外に政策金利据え置き NY外為市場で豪ドルは買いが一段落した。 アジ...
豪ドル関連に投資する上で、しっかり確認しておきたいリスク要因は、「財政引き締め」「新興国経済の落ち込み」「一段の利下げ懸念」「資源価格の下落」「世界的な天候不安」などが挙げられます。
過去24時間の相関関係を見ると、豪ドル円と強い相関関係だったのは豪ドル米ドルです。 相関関係だったのはポンド円とポンドドル、弱い相関関係だったのはユーロ円とユーロドルです。 その一方、逆相関の関係だった通貨ペアはありませんでした。
米国にとって豪州向けの貿易収支は黒字であることから、豪州への直接的な関税引き上げのリスクは限定的とみられています。ただし、米国の貿易赤字額が大きい中国や欧州などへの関税引き上げが世界的な貿易戦争に発展すれば、市場心理(リスク・センチメント)に敏感な豪ドルにも間接的な影響が及ぶ可能性があります。
米国・豪州の中銀が今後の利下げに慎重な姿勢を維持する中では、トランプ政権下での基軸通貨米ドルの方向性が豪ドル相場を左右する要因になりやすいと考えられます。
2025年の豪ドル相場の先行きを左右する注目点としては、①豪州と米国の金融政策の行方、②トランプ政権下での基軸通貨米ドルの方向性、③トランプ政権の関税政策の豪州および世界経済への影響、が挙げられます。
もっとも、米国と並んで豪州の高金利環境が続いていることは、海外投資家の豪州への債券投資流入の活性化に繋がっています(図6)。10年国債利回りで比較した豪州と日本の金利差は依然として3%程度の開きがあり、豪州の金利の投資妙味の高さは今後も豪ドルの対円相場を下支えすることが期待されます(図7)。
最新の市場予想では、豪ドルの対米ドル相場は2025年末から2026年にかけて緩やかに持ち直す展開(豪ドル高・米ドル安)が見込まれています。こうした中、豪ドルの対円相場は2026年に向けても安定した推移が続くと予想されており、米ドルからの通貨分散先として豪州への証券投資が再評価される可能性がありそうです。
過去24時間の通貨強弱分析を見ると、直近で最も強い通貨はNZドル、最も弱い通貨はドルです。 円はゼロを挟んで上下動し、本日朝時点でマイナス圏に位置しています。 豪ドルはプラス幅を拡大し、夜以降は安定的に推移しました。
もっとも、今後の通商交渉の進展次第では、関税政策への市場の懸念が後退し、投機筋による米ドル買い・各国通貨売りの巻き戻しが起きる可能性も残されているとみられます。投機筋による米ドル買いの裏側で売られている通貨の内訳を見てみると、カナダ・ドルやユーロ、スイス・フランへの売りポジションの規模が大きいほか、豪ドルに対しても一定規模の売り持ちが膨らんでいます(図4)。
*13:52JST 豪ドル週間見通し:もみ合いか、豪追加利下げの可能性残る ■下げ渋り、日米の株高を意識した豪ドル買い今週の豪ドル...
2024年末からの豪ドル相場は、対米ドルで軟調な推移が続いてきました。特に2024年11月の米大統領選挙以降、トランプ政権の関税政策などをめぐる不透明感から米インフレ懸念が台頭し、主要通貨に対する米ドル高が進んだことが豪ドルの下落要因になったと考えられます(図1)。
豪ドル/円の為替相場は引き続き米国の通商政策などの国外要因の影響を受ける場面も予想されるものの、相対的に堅調な経済成長率や高水準の貿易黒字、所得税減税などの景気刺激策の実現により、豪ドルは再評価される可能性があるものと考えられます。オーストラリアでは、実質GDP成長率が2019年2.1%、2020年2.8%、2021年2.8%と、米国や日本と比べても相対的に高い経済成長が予測されており、今後も緩やかな成長が続く見込みです(IMFによる2019年4月公表値)。政策金利は2019年7月に2ヵ月連続となる利下げにより過去最低の1.00%へ引き下げとなりました。市場では2019年末までにあと1回の追加利下げが予想されていますが、現状の豪ドル相場には概ね織り込まれていると考えられます。



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