
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年7月29日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 中村勉
目次
▼28日(月)の為替相場
(1):米EU 関税貿易協定合意
(2):石破首相 改めて続投意欲示す
(3):英紙 米中貿易協議について報じる
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米中貿易協議 進展あればドル買いへ/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
28日(月)の為替相場
期間:28日(月)午前7時00分~29日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):米EU 関税貿易協定合意
27日深夜に米国と欧州連合(EU)が貿易協定に合意。自動車を含む大半のEUからの輸出品に15%の関税が賦課される一方で、EUは米国から7500億ドル(約110兆7700億円)相当のエネルギー製品を購入し、既存の対米投資に6000億ドルを上乗せすることなどが決まった。米EUの合意を受けてユーロが買われたほか、リスクオンの円売りも相まってクロス円は上昇して取引を開始。ドル/円は対ユーロでのドル安の影響もあり前週末とほぼ同水準で取引を開始した。その後、欧州時間に入ると米EU合意による関税率がEUにとって過去最大のものになることへの懸念からユーロは一転して全面安となった。
(2):石破首相 改めて続投意欲示す
自民党は両院議員懇談会を開催。参院選の大敗の責任を取るように求める声が噴出する中で、石破首相は「政治空白を生むことがないよう責任を果たしたい」と続投に理解を求めた。
(3):英紙 米中貿易協議について報じる
英フィナンシャル・タイムズ紙は「トランプ米政権は中国との貿易合意を目指すために、対中のハイテク輸出規制を凍結した」と報じた。その後、「トランプ大統領は台湾の頼清徳総統が翌週に南米を訪問する際にニューヨークの空港を経由することを拒否した」とも報じられた。
28日(月)の株・債券・商品市場

ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)

【情報提供:外為どっとコム】
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ

ドル/円の見通し:米中貿易協議 進展あればドル買いへ
昨日のドル/円は終値ベースで約0.6%上昇。米国と欧州連合(EU)の関税協議が合意に達し、中国との関税停止措置が延長されるとの期待の高まりも相まって、全般的にドル買いが優勢となり148.58円前後まで上値を伸ばした。
米国の関税政策を巡る不透明感が徐々に晴れつつある中で、トランプ米大統領の就任後に売られたドルの買戻しにつながっている。本日は米中関税交渉の2日目で、協議終了後に両国から何らかの発表があるだろう。市場の期待通りに関税協議に進展が見られるか注目したい。関税においては、米国のインフレを高止まりさせ、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げに動きにくくなるとの見方につながることから米中協議に進展があればドルは続伸するだろう。一方で、本日から2日間にわたり米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されることから、結果を見極めたいとの思惑から様子見ムードが広がりやすく、ドルの上値が抑えられることも考えられる。7月16日高値の149.18円前後や200日移動平均線の通る149.59円前後が上値目途として意識されよう。材料面では米6月JOLTS求人件数や米7月消費者信頼感指数が発表される。
注目の経済指標:米JOLTS求人件数

注目のイベント:米中貿易協議
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
外為どっとコム総合研究所 情報企画部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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FX 為替 関税協議進展でドル全面高
昨日のドル/円は終値ベースで約0.6%上昇。米国と欧州連合(EU)の関税協議が合意に達し、中国との関税停止措置が延長されるとの期待の高まりも相まって、全般的にドル買いが優勢となり148.58円前後まで上値を伸ばした。米国の関税政策を巡る不透明感が徐々に晴れつつある中で、トランプ米大統領の就任後に売られたドルの買戻しにつながっている。本日は米中関税交渉の2日目で、協議終了後に両国から何らかの発表があるだろう。市場の期待通りに関税協議に進展が見られるか注目したい。関税においては、米国のインフレを高止まりさせ、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利下げに動きにくくなるとの見方につながることから米中協議に進展があればドルは続伸するだろう。一方で、本日から2日間にわたり米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されることから、結果を見極めたいとの思惑から様子見ムードが広がりやすく、ドルの上値が抑えられることも考えられる。7月16日高値の149.18円前後や200日移動平均線の通る149.59円前後が上値目途として意識されよう。材料面では米6月JOLTS求人件数や米7月消費者信頼感指数が発表される。
日銀は国内景気の下振れ警戒感を強めているに違いない。もっとも、日銀の軸足は景気の強弱よりインフレ圧力に置かれているとみられ、景気後退下の利上げもあり得るとみている。人手不足に起因するインフレ圧力は今後も強まっていく公算が大きく、この点は日銀の利上げを後押しする。また利上げによって為替が円高方向に推移すれば、個人消費の追い風になり得るため、国内景気を後押しする可能性すらある。通貨問題に対して「空気を読む」、「忖度する」といった可能性があることも重要だろう。もっとも、金融市場のボラティリティが高い局面において利上げは見送られる公算が大きい。結果的に「半年に一度」が狂う可能性はあるが、利上げ局面はそう簡単に終わらないと思われる。
短期的な材料としては、日米交渉で為替分野を担当する加藤財務大臣とベッセント財務長官の協議に注目。日程は世銀とIMF開催の会合およびG20やG7財務相・中銀総裁会合に合わせ4月24日とされている。通貨問題を巡る交渉を控え、為替市場では円安是正を求められるとの警戒感が燻ぶっているが、今回の交渉においてドル安誘導を目的とする特定の手段が示される可能性は極めて低いだろう。筆者は、協議が形式的なものになると予想する。円安是正といっても、日銀に大幅な利上げを迫まったり、円買い・ドル売り為替介入を要請(或いは米国側が実施)したりするのは容易でない。
為替は過去3週間程度に生じた急速かつ全面的なドル安が巻き戻され、USD/JPYは150円に向けて円安方向に回帰すると予想する。筆者は日米金利差の急速な縮小を見込んでいない他、自動車輸出の減少による(日本の)貿易サービス収支の赤字拡大予想が円安圧力を増幅させると判断している。
外国為替市場で対ドルの円相場が1ドル=130円台に突入するとの観測が出てきた。今週からの日米関税交渉を巡り、米国から日本に対する「円安是正」要求が強まるとの見立てだ。ドル全面安のもとで円高進行を抑えてきた「構造的な円売り」論が転機を迎えれば、過去2年で2度防波堤となった「140円ライン」が崩れる可能性もある。
日経平均株価の先行き見通しを39,000円とする(従来43000円)。トランプ関税については、現在90日間の停止措置中にある相互関税の上乗せ分が今後の日米交渉で緩和されることを前提にしている。不確実性の根源がトランプ大統領という個人にある以上、予見可能性は大幅に後退しているが、これまでの経緯を踏まえると、トランプ大統領といえども金融市場には逆らえず、特に米国債の不安定化やドルの不気味な下落には敏感とみられる。金融市場が荒れれば、通商政策は穏健な方向に軌道修正されると思われる。脱グローバル化を目論む米国の方針に変化はないにしても、米ドルの信認と表裏一体の関係にある米国債の不安定化を無視できない以上、その速度はトランプ政権の理想より遥かにゆっくりとしたものになるのではないか。政治的な面でみても、民主主義の米国は中国に比べて「我慢比べ」に弱いはずであり、関税引き上げという痛みを伴う構造転換を急速に進めるのは困難であろう。


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