前日欧州時間から本日アジア時間のマーケット動向と個人資家動向をまとめました。市場参加者の動向を確認し、FX取引をする上での情報としてお役立てください。
FX投資家フローと市況
前日オープンから本日15時までのUSDJPYの値動き(ローソク足)と個人投資家動向です。(画面下のグラフは各時間帯の個人投資家の売買を表しており、青いバーが売数量、赤いバーが買数量です。)

29日、日米の金融政策会合を控え、月末の実需に絡んだフローが主導する展開となり、ドル円は22時30分過ぎに一時148.803円まで上昇した。ただその後は、148円半ばで膠着状態が続いた。発表された米6月の財貿易収支は赤字幅が市場予想を下回り、同月のJOLTS求人件数は前月比で減少。一方、7月の米消費者信頼感指数は前月の95.2から97.2へと改善するなど、経済指標は強弱入り混じる内容だった。
また、スウェーデンで開かれていた米中閣僚級協議では、一時停止中の関税措置について、両国がさらに90日間延長することで合意したと報じられた。ただ、この結果はある程度予想されていたため、市場の反応は限定的だった。
本日のアジア時間では、日米イベントを控えた中でポジション調整が出やすい状況に加え、カムチャッカ半島沖で地震が発生し、太平洋沿岸に津波警報が発令された影響もあり、調整の動きが加速。ドル円は一時147.845円まで下落した。しかしその水準では押し目買いの動きも根強く、売り一巡後は148.00円前後まで持ち直した。
取引金額
外為どっとコムのFX取引サービス「外貨ネクストネオ」の取引を円換算した取引金額です。

市場シェア上位
外為どっとコムのFX取引サービス「外貨ネクストネオ」取り扱い通貨30通貨ペアの内、取引量が多かった上位10位です。

ポジション金額
外為どっとコムのFX取引サービス「外貨ネクストネオ」ポジションの円換算金額です。(青いバーが売建玉、赤いバーが買建玉です。)

ポジション増減
外為どっとコムのFX取引サービス「外貨ネクストネオ」主要通貨ペアのポジション増減(前日比)です。

外為どっとコムの取引サービス「外貨ネクストネオ」での取引データを元に作成しています。
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FX個人投資家動向 日米イベント前でポジション調整主導 円高局面で買い優位だが一部の新興国通貨では売りも優勢
9月19・20日の米FOMCに向けて、8月の米消費者物価指数(CPI)を確認して、今後のドル円を予想します。結論からいえば、当面のドル円は、150円を上限に円安基調が続くでしょうが、米国景気の減速感が明確になれば、ドル安円高方向に転換すると予想します。
当面のドル円は、140円前後で高下すると予想します。 しかし、ドル円が円高方向に大きく振れる要因もあります。
ただし、ドル円と相関の高い日米10年金利差は、長い目でみれば、アメリカの10年金利の上下の影響の方が大きいでしょう。10年金利の変動幅は、アメリカの方が日本よりも大きいと考えます。今はアメリカの10年金利が上昇トレンドであり、ドル高円安要因になっているでしょう。
植田新総裁のもとで初めての金融政策決定会合を通過して、ドル円は円安に動きました。また、日銀会合というイベント通過で、ドル円の予想変動率も低下しています。日米政策金利差が約5%もあるなかで、ドル円の予想変動率の低下は、当面のドル高円安要因でしょう。
先週末に、アメリカの銀行株は大幅に下落しました。アメリカで金融不安が高まっていることは、米金利の低下などを通じて、ドル安円高要因でしょう。ドル円は一時133円台まで円高に動きました。
日欧の金融政策に関する市場予想は、15日の欧州中央銀行が0.25%利上げ実施、日銀は現状維持でしょう。日米欧の金融政策決定会合を波乱なく通過した場合、次の日米欧の金融政策決定会合は7月後半と1か月以上も時間があきます。
また、過去のドル安円高のピークからの動きを振り返ると、円安のピークをつけてから3ヶ月程度は10%以内の円高に収まっています。例外は1998年の世界的な金融危機ですが、今は金融危機などが発生しているわけではありません。
2023年7月以降のドル円は、145円近辺から137円台まで円高に動いた後、再び円安方向の戻りを試しています。
株や為替を中心とした情報サービス提供企業であり、多くのFX会社にニュースを配信している。為替分野では、各市場の概況からアナリストの独自分析まで幅広い記事を取り扱う。ディーラー業務経験者など、経験豊富な専門家を揃えている。
日米の政策金利差をリターンとすれば、ドル円の予想変動率がリスクともいえます。ドル円の1か月の予想変動率は、9%台まで下がっています。投機筋の円キャリートレードが急増した2006年7月から2007年6月のドル円の予想変動率は、平均で7%台でした。今の予想変動率は、円キャリートレードが増加しやすい水準まで下がってきたと考えます。
米国景気の方向が下向きとなり、米10年金利が低下方向に動けば、ドル安円高のペースは意外と早いと考えます。
円高になるリスクは、投機筋が米ドルに対する日本円の売り越しを買い戻すことです。投機筋の円売りポジションは、約94億ドルと昨年5月以来の高水準なので、注意が必要でしょう。
日銀の金融政策調整を受けても、ドル高円安トレンドが続いている理由は、2つ考えられます。第一に、ドル円と相関の高い日米10年金利差は、長い目でみれば、米10年金利の上下に左右されてきました。10年金利の変動幅は、アメリカの方が日本よりも大きいことが多いためです。米10年金利の上昇トレンドが変わるかが、ドル円にとっては重要だと考えます。
日米の政策金利差が5%以上になるのは、2007年以来です。当時は、米ドルと日本円で運用した時の金利差が大きいため、金利の低い円で資金調達して、金利の高い米ドルで運用して利ザヤを稼ぐ円キャリートレードが増えて、ドル高円安要因になりました。
市場は、来年3月頃にアメリカの中央銀行が利下げに転換する可能性があると想定しています。その場合、過去の例からいえば、今年10-12月期にも、米ドル買い円売りのポジションが縮小して、ドル安円高に動く可能性があります。政策金利の予想を反映しやすい米2年金利の大幅な低下が円売りポジション縮小の一つのサインと考えています。


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