プリンアラモード絶滅危機 なぜ
「プリン・ア・ラ・モード」は、戦後日本に生まれ、経済成長期に発展し、バブル期に衰退が始まった、という歴史をたどっているようなのだけど、令和という時代になっても、「レトロ」「昭和スイーツ」という表現をされながらも、スーパーの棚の一角を、今も守っている。
コンビニのスイーツは、最近、特においしくなってきたような気がして、だから、コンビニの棚でも、時々、プリンアラモードを探してしまう。
テーブルに運ばれてきた瞬間、思わず笑顔になるこのビジュアル。オレンジ、さくらんぼ、プルーン、プリンのカラメルがキラキラと輝き、アイスと生クリームもたっぷり。脚付きのガラスの器に盛られ、まるで芸術品のようです。
――「プリン・ア・ラ・モード」といえば、横に長い舟形のお皿が特徴的ですが、なぜこのデザインなのでしょうか?熊倉 これは本来デザート用ではなく、前菜用の「コルトンディッシュ」というお皿なんです。当時はパティシエという肩書の者はまだいなかったので、シェフのデザート担当者が使い始めたのではないかと言われています。プリンもバニラアイスも単体メニューとしてはありましたが、「このお皿に両方のせて、さらにフルーツも加えて色とりどりに盛り付けたら、きっと喜んでもらえるのでは?」という想いが、このデザートを生み出したんです。
今のところ「最新」のコンビニのプリンアラモードは、ファミリーマートで発売されていた。
そして今、絶滅の危機に瀕しているのが、サンデーグラスに乗った、昔懐かしい「プリンアラモード」です。昭和の喫茶店を思い出させる一品がなぜ絶滅の危機なのでしょうか。その理由を探っていきます。
そんなプリン・ア・ラ・モードを、家庭でおいしく作るためのポイントを熊倉シェフに聞きました。
「最近ではなめらかなタイプも流行っていますが、当店のプリンは昔懐かしいと感じていただけるような固めの仕上がり。材料には余計なものやめずらしいものは使わず、卵、牛乳、砂糖、バニラエッセンスのみ。特徴としては、火が入りやすいように、全卵を使っていることですね。蒸し焼き具合は、その時々で細かく微調整しています。シンプルな材料で丁寧に作ることで、やさしいおいしさになっているのだと思います」
なお、プリンアラモードの発祥は、横浜の老舗ホテル「ホテルニューグランド」だといわれています。今もホテル内の「ザ・カフェ」でプリンアラモードが提供されていますが、その価格は2024円です。完全に姿を消さないまでも、高級品として生き残る未来もあるかもしれません。
――なぜ、プリン・ア・ラ・モードという名前になったのですか?熊倉 これは召し上がった将校夫人が付けてくださったものなんです。知り合いもいない異国の地、さらには島国で敗戦国でもある日本での生活は、将校夫人たちも不安だったでしょう。ホテルとして、せっかくなら少しでも楽しく過ごしていただきたい、何かおもてなしができないかと考えました。そこで生まれたのが「プリン・ア・ラ・モード」だったのです。この美しく豪華な見た目は、将校夫人たちにとって驚きであり、癒しにもなっていたのだと思います。現在、りんごはウサギ型のカットですが、誕生当時はアローカットという包丁技術を使って切っていました。初めて見る繊細な技術に感動して、「プリン・ア・ラ・モード」と名付けたそうです。当時としては、まさに最先端だったのです。
季節のフルーツプリンアラモードは店内手作りで、プリンは卵黄のみを使用している。いちご、バナナ、オレンジ、キウイ、シロップ漬けマンゴーとともに、丸みのある透明のグラスに盛り付けた。
プリンをメインに、色とりどりのフルーツが豪華に盛り付けられた「プリン・ア・ラ・モード」は、時代や世代を超えて愛されるスイーツ。昭和レトロを感じる懐かしさとともに、高級感や特別感もあります。ア・ラ・モードとは、フランス語で「流行の(a la mode)」という意味。
ただ、本当は、もっとマメに注意深く見ていれば、ここ数年でも「プリンアラモード」が発売されていたのを知った。
ところで、近所のスーパーで、プリンアラモードを買うときに、複数購入をためらってしまうのは、その容器の形のせいだった。
妻以外に、どんな人が、プリンアラモードを食べているのだろう。


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