
■各社予想 7月米失業率
JPモルガン 4.2%
バークレイズ・キャピタル 4.2%
BNPパリバ 4.1%
HSBC 4.2%
モルガン・スタンレー 4.2%
市場コンセンサス 4.2%
前回 4.1%
(関口)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 7月米失業率 各社予想
1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。
7月の非農業部門雇用者数の前月差52万8,000人増の内訳をみると、民間部門は47万1,000人増で、うち財部門が6万9,000人増、主な業種として製造業は3万人増、建設業は3万2,000人増だった。サービス部門は40万2,000人増で、教育・医療サービス業12万2,000人増、娯楽接客業9万6,000人増、対事業所サービス8万9,000人増、運輸倉庫業2万1,000人増と多くの業種で引き続き増加しており、前月増加に転じた小売業も引き続き2万2,000人増となった。なお、政府部門も5万7,000人増と2カ月ぶりに増加した。(添付資料表2参照)。
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労働市場は着実に軟化してきているものの、米国経済全体はなお安定を維持している。6日、雇用統計の直後に発表された12月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は74.0と11月の71.8から予想以上に上昇し、4月以来で最高水準に達している。1年期待インフレ率速報値も2.9%と、11月の2.6%から予想以上に上昇し、7月以来最高水準となった。
7月の人種別失業率は、白人3.1%(前月3.3%)、アジア系2.6%(前月3.0%)、ヒスパニック・ラテン系3.9%(前月4.3%)、黒人6.0%(前月5.8%)だった。
GDP成長率が2四半期連続でマイナスとなるなど(2022年7月29日記事参照)、弱い内容が目立ち始めている最近の経済統計だが、雇用動向はほぼ一貫して強く、7月も予想以上の堅調な内容に、いまだ底堅い米国経済を示すかたちとなったと言えそうだ。一方で、8月2日に公表された雇用動向調査によると、6月の求人件数は約1,070万件で3カ月連続の減少となっており、勢いの鈍化傾向も見られる。企業の動向をみても、自動車メーカーのフォードは最大8,000人の従業員を解雇すると報道されたほか(ブルームバーグ7月20日)、小売り大手のウォルマートでは約200人の従業員を解雇するなど(CNBC8月3日)、企業の雇用姿勢には変化が見られる。インフレ抑制のため金融引き締めを急ぐ連邦準備制度理事会(FRB)にとっては、雇用者数増となった今回の雇用統計はさらなる金融引き締めを進める理由の1つとなりそうだが、軟調傾向も見せる米国経済を前に、どこまで金融引き締めを進めるかという問題もある。そのため、近く公表される7月消費者物価など直近のインフレ動向が今後の金融引き締めを見極めるポイントとなりそうだ。


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