
本日これまでのドル円は147円半ばを中心に小幅の上下とこう着相場が続いたが、欧州タイムに入りやや買いを強め147.89円まで上昇し昨日の高値を上回った。ただ、上値も重く積極的に買い進める地合いにはなりにくい。
本日のNYタイムでは主な経済指標の発表は予定されていない。ただ、複数の連邦準備制度理事会(FRB)関係者の発言が予定されており、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの可能性について言及するかどうかが注目される。本日発言機会があるクックFRB理事とコリンズ米ボストン連銀総裁はこれまで追加利下げをより慎重に進めるべきとの見解を示している一方で、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁は利下げの時期が近づいており、年内2回以上の利下げが必要になる可能性があると指摘している。
昨日に発表された7月ISM非製造業景況指数は先週末の7月米雇用統計、7月ISM製造業景況指数に続いて弱い結果となった。市場は9月FOMCでの利下げをほぼ織り込んでいるが、米景気の先行きに対する懸念が一段と強まればドルに売り圧力が強まる。もっとも、トランプ関税によるインフレ高への懸念が根強いことやドル円の押し目に買い意欲が強いことを鑑みると、新規の手掛かりが出るまで神経質ながらしっかりした方向感が出にくい相場が続きそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円、4日の高値148.09円や日足一目均衡表・転換線148.77円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、日足一目均衡表・基準線147.12円や5日安値146.62円が下値めど。
(金)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通しドル円 FRB関係者らの発言に注目
これと似た現象について、パウエル議長率いるFRBは手痛い失敗をした経験があります。2021年、コロナ禍の影響で物価上昇の傾向が明らかになったときに、FRBはこれを「一時的」とみなし、利上げ開始を見送ったのです。しかし先ほど言及したような現象で物価上昇が連続して起きてインフレが収束せず、2022年以降に大幅に利上げをせざるを得ない事態となってしまいました。結果、2022年は米国の企業業績が堅調だったにもかかわらず大幅な株安となり、S&P500株価指数は年間で19%下落しました。
7月30日に声明文が発表されたFOMC(連邦公開市場委員会)は、予想取り政策金利の変更はなく、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の記者会見でも利下げに慎重なタカ派的な姿勢が示された。米労働市場が堅調さを維持する中で、関税のインフレへの影響を注視するスタンスが確認された。ただし、金利据え置きの採決に際し、2名の理事が反対票を投じたことが話題となった。しかし、いずれも事前に7月会合での利下げ支持を表明していたことから、市場への影響は限定的だった。
こうした中で今週のNY金は3,380~3,450ドルを、JPX金に関しては最高値接近を含む1万5900~1万6300円を想定している。
▼FRB議長 米国の中央銀行にあたる米連邦準備理事会(FRB)のトップ。使命である物価の安定と雇用の最大化に責任を負い、政策金利の変更や資産買い入れ策などの金融政策を通じて目標の達成をめざす。経済政策における金融政策の存在感が高まるなか、ホワイトハウスにおける重要人事の一つになっている。世界の基軸通貨ドルの番人でもある。
FRBは2024年9月のFOMCから3会合連続で利下げを行いましたが、それ以降は据え置きが続いています。次にFRBが利下げを決定するときが、今回の株式市場が底を打つきっかけになる可能性はあります。5月6~7日のFOMCがその最初の機会となりますので、注目したいところです。それまでに株価下落がずっと続くような事態になれば、もっと早く緊急利下げを決定する余地もあるでしょう。
今は過剰な貯蓄が概ね解消しており、FRBの金融引き締め策により景気にブレーキがかかりやすい状態になってきています。そのため人々は「そんなに物価が高いと買えない」と判断するようになり、需要が供給を下回って物価上昇に歯止めがかかる可能性があります。こうした環境を考えると、コロナ禍後よりも利下げを決断しやすいのではないかと期待できます。
野村證券はFRBが利下げを再開するのは2025年12月という予想を置いていますが、マーケットの動向によってはこれが早まる可能性はあります。
なお、8月1日午後の遅い時間帯にNY金が上値を伸ばしたのは、FRBがクーグラーFRB理事の8月8日付の退任を発表したことによる。クーグラー理事は7月29、30日のFOMCを欠席していた。理事の任期は2026年1月末までだった。辞任によりトランプ米大統領は後任の理事を前倒しで指名できることになる。利下げに積極的なトランプ米大統領の意に沿う人選になるとの見方から、米ドル売りが加速。10年債利回りはさらに低下し、NY金を押し上げた。
市場はFRBの慎重な姿勢をすでに織り込んでおり、8月1日の雇用統計発表前には、債券先物市場は9月FOMCでの0.25%の利下げ確率を38%と見込んでいた。
先週(7月28日週)のニューヨーク金先物価格(NY金)は、週足で反発となった。8月1日に発表された7月の米雇用統計は、雇用水準が低調だったうえ、過去のデータも大幅に下方修正され、市場にサプライズを与えた。7月以降、予想を上回る企業決算や堅調な米国経済を背景に上昇していた米ドルは急反落し、米国株も大幅に下落した。その結果、米国債に資金の一部が流入して価格が上昇し、指標となる10年債利回りは5週間ぶりの低水準に急落。このような状況の中、NY金は急伸した。
先週(7月28日週)は前週末に米国とEUの通商協議がEUに対して15%の関税を課すことなどで合意し、通商摩擦激化への懸念が後退したことで、NY金は売りが優勢となっていた。一方、スウェーデンのストックホルムで開催されていた米中閣僚級協議が関税導入の停止期限を90日間延長する方針と伝えられたことも売り手掛かりとなり、NY金は3,300ドル近辺での取引となっていた。
もうひとつ、FRBが「利下げを決断しなかった」失敗もあります。2024年8月の歴史的株価下落は、7月末のFOMC(連邦公開市場委員会)でFRBが政策金利の据え置きを決定した後でした。そして次の9月のFOMCには、4年半ぶりの利下げを決定しただけでなく、7月に利下げしなかった分を埋め合わせたという名目で一気に50ベーシスの利下げを決定しました。2つの失敗も、FRBが今後利下げを決断する上での教訓になりえると思います。
こうしたNY金の動きを映す形で国内金価格も週足では反発となった。ただし米雇用統計を受け米ドル/円相場が急反落(円急伸)したことが、上値を抑える要因となった。大阪取引所の金先物価格(JPX金)の8月1日の終値は1万6081円と前日までの1万5900円台から回復した。週足は、前週末比76円(0.47%)高の反発となった。レンジは1万5892~1万6138円で値幅は246円となった。
8月1日のNY金は前日比51.20ドル高の3,399.80ドルで終了。その後も買いが続き、時間外取引もほぼ高値圏で推移し、3,416.00ドルで週末の取引を終えた。 NY金の週足は前週末比64.20ドル(1.9%)高の反発となった。レンジは3,300~3,416.90ドルで、値幅は116.90ドルとやや大きくなった。前回の当欄では想定レンジの下値を3,300ドルとし、下回ったとしても3,280ドル程度と読んでいた。
FRBはこれを教訓として、今回の関税についても、一時的な物価上昇にとどまらず持続的なインフレに繋がらないかどうかを慎重にみていると思われます。



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