トルコリラの焦点「インフレ鈍化で財務相が経済回復に自信…政治リスクはくすぶり続ける」FX予想 2025/8/7 #外為ドキッ

トルコリラの焦点「インフレ鈍化で財務相が経済回復に自信…政治リスクはくすぶり続ける」FX予想 2025/8/7 #外為ドキッ

トルコリラの焦点

中東に位置するトルコの通貨リラを取り巻く環境を分析し、トルコリラの今後の値動きを予想した。

執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也 X(Twitter)

インフレ鈍化で財務相が経済回復に自信…政治リスクはくすぶり続ける

今週4日に発表されたトルコの7月消費者物価指数(CPI)は前年比+33.52%と、2021年11月以来の水準に伸びが鈍化した。2022年10月に85.51%に達していたインフレ率は、2023年に入りトルコ中銀が利上げに転じるなど、当局が金融政策や財政政策を引き締めたことでようやく落ち着きつつある。7月には中銀が利下げを再開。大手格付け会社ムーディーズは利下げの翌日に、金融政策の信頼性向上や、物価上昇率の鈍化、経済不均衡の縮小を理由にトルコの格付けを「B1」から「Ba3」に引き上げた。

こうした中、トルコのシムシェキ財務相は今週6日、あらためて今年末のインフレ率が中銀予測の19~29%(中央値24%)の範囲内に収まるとした上で、インフレ率は2年以内に1桁台に向けてディスインフレ(物価鈍化)が進むとの見通しを示した。一方で、今年の経済成長率は中期目標の4%をやや下回ると予測したが、「一時的な減速であり、急激な経済後退ではない」と説明した。

財務相の見立て通りに経済の修復が進めば、当面は中銀の利下げが継続することになるだろう。もっとも、インフレを加味した実質政策金利は現時点でほぼ+10%に上昇しており、そうした中での利下げはリラ売り材料にはなりにくいと考えられる。ただし、トルコ経済が回復しても、リラの重しのひとつである「政治リスク」が低下する訳ではない。2028年5月までに行われる総選挙に向けて、エルドアン大統領が政治や経済の分野で強権を発動するリスクはくすぶり続けるだろう。

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株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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トルコリラの焦点 インフレ鈍化で財務相が経済回復に自信政治リスクはくすぶり続ける FX予想

こうした中、トルコのシムシェキ財務相は今週6日、あらためて今年末のインフレ率が中銀予測の19~29%(中央値24%)の範囲内に収まるとした上で、インフレ率は2年以内に1桁台に向けてディスインフレ(物価鈍化)が進むとの見通しを示した。一方で、今年の経済成長率は中期目標の4%をやや下回ると予測したが、「一時的な減速であり、急激な経済後退ではない」と説明した。

トルコリラは数十年にわたり下落基調にあります。背景の一つには、高いインフレ率が挙げられます。しかし最近は、トルコリラ反転の兆しも見え始めてきました。

財務相の見立て通りに経済の修復が進めば、当面は中銀の利下げが継続することになるだろう。もっとも、インフレを加味した実質政策金利は現時点でほぼ+10%に上昇しており、そうした中での利下げはリラ売り材料にはなりにくいと考えられる。ただし、トルコ経済が回復しても、リラの重しのひとつである「政治リスク」が低下する訳ではない。2028年5月までに行われる総選挙に向けて、エルドアン大統領が政治や経済の分野で強権を発動するリスクはくすぶり続けるだろう。

10月17日の中銀政策委員会では、9月に続き7会合連続で政策金利を50%に据え置いたうえで基調的インフレ率がやや加速しているとし、慎重な姿勢を示しました。 ただ、インフレ率は5月の75.5%をピークに9月の49.4%まで4ヵ月連続で鈍化しており、11月4日に発表の10月のインフレ率が一段と鈍化し、その後も鈍化傾向を強まることが確認できるか注目されます。 こうした中、22日に政府が2035年までに風力発電と太陽光発電の設備容量を現在の4倍となる120ギガワットに引き上げる計画を明らかにしましたが、計画が順調に進めば輸入インフレの抑止力となると思われ、今後のインフレ動向が注目されます。

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トルコ政府は、9月に2025年~2027年の中期経済計画を発表し、インフレとの闘いに断固とした姿勢で臨み、投資、生産、雇用、輸出および成長を優先するとしました。 また、今年の成長率見通しについて、地政学リスクの高まりを背景に+3.5%と昨年9月時点の目標 (+4.0%) から下方修正した一方、来年の成長率目標を+4.0%としました。 また、今年末時点のインフレ率を41.5%(9月:49.4%)とし、2026年に9.7%、2027年に7.0%へ収束させるとの目標を示しました。 トルコは原油を輸入に依存していますが、今後、鉱物やクリーンエネルギー資源の国内生産を促すとともに輸出産業の育成にむけた研究開発、DX (デジタルトランスフォーメーション)投資拡大や技術革新、さらには労働市場の活性化などを進めることを掲げました。 こうした方向性の下、トルコ中銀の金融引き締め継続により対ドルでのリラ安が底入れし輸入インフレ圧力が緩和すれば、インフレはさらに鈍化する可能性が高まると思われます。

トルコリラは、対ドルでは4月12日に33.02でリラ安が一服、さらにドル円の円安進行とともに対円でも3月11日の4円52銭から7月3日には年初来高値となる4円98銭まで上昇しました。 しかし、その後、円キャリートレードの巻き戻しにドル円が7月3日の161円95銭を高値に急落すると、再びリラ安トレンドを辿り、8月28日には4円割れと史上最安値を更新しました。 しかし、政府の緊縮財政策や正常な金融政策への転換、さらには、高インフレの緩和や財政規律など経済ファンダメンタルズの土台を強化するなどエルドアン政権が様々な構造改革を進める中、9月に0.50%の利下げを決めたFRBをはじめ日本を除く先進各国で金融緩和に転換したことによる対主要通貨での上昇にサポートされたほか、日本での衆議院選を経て円安が進んだことから、10月28日には4円48銭まで持ち直しています。 今後経済改革を進める中、インフレの鈍化を通じてリラ安からの本格的な脱却を図れるか注目されます。

トルコリラ低迷の要因としては、経済政策の失敗、財政赤字、貿易赤字の拡大などに加え、エルドアン大統領独自の経済理論が挙げられます。

リラ反転の要素としては、株高も挙げられます。トルコでは、現預金は高インフレにより貨幣価値が目減りしてしまうことから、株式市場へ資金が流入しています。トルコの代表的な株式指数であるイスタンブール100指数は、史上高値を更新しています。年初来の上昇率は31.37%*となりました。

さらに、インフレ率は今年5月の75.5%をピークに9月には49.4%へと鈍化する中、緩やかな経済成長が見込まれます。 IMFの見通しでは、2024年から3年間は3%成長するとされており、歳入拡大も見込めるかもしれません。 ただ、安定的な財政運営のためには、市場の信用回復を得るべく、引き続き金融政策と財政政策両面から課税ベース拡大など構造的な課題にも取り組んでいくことが必要不可欠となります。

最近では、トルコリラが反転する兆しが見えてきました。背景には金融政策の転換や株高などが挙げられます。ここでは反転の兆しについて解説します。

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米国市場で取引されているトルコETFの上昇率は18.24%と、インドの6.02%、イタリアの6.01%を大きく上回っています。

トルコでは、経済政策の失敗により何度も金融危機を起こしてきました。1994年のリラ暴落時、2000年と2001年の通貨危機の際には、IMF(国際通貨基金)の金融支援を受けました。2005年1月には100万分の1のデノミが実施され、一時はリラが回復したものの、その後の政治混乱、リーマンショック、高インフレ、財政赤字拡大などが原因で下落し現在にいたっています。

今週4日に発表されたトルコの7月消費者物価指数(CPI)は前年比+33.52%と、2021年11月以来の水準に伸びが鈍化した。2022年10月に85.51%に達していたインフレ率は、2023年に入りトルコ中銀が利上げに転じるなど、当局が金融政策や財政政策を引き締めたことでようやく落ち着きつつある。7月には中銀が利下げを再開。大手格付け会社ムーディーズは利下げの翌日に、金融政策の信頼性向上や、物価上昇率の鈍化、経済不均衡の縮小を理由にトルコの格付けを「B1」から「Ba3」に引き上げた。

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