
「ドル/円」を中心に前日の振り返りと当日の見通しをギュッとまとめて動画配信しました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
X(Twitter):@gaitamesk_naka
最新のマーケット情報まとめ
<ドル円相場に影響を与えた材料>
複数のFRB高官が米景気減速懸念を示す
米関税 日本には15%の追加関税
<ドル円は…>
146.90円台まで下落もその後は反発
<今日の注目材料>
FRB高官発言
米労働関連経済指標
『最新のドル/円相場を解説』
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
外為どっとコム総合研究所に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。
外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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今日のFX予想FRB高官が利下げに傾斜 ドル一段安の可能性は 2025
一方、コア指数でインフレの鈍化が確認される場合は、米ドル安・円高のトレンドが続くことが予想される。
そしてFRBの利下げ観測は後退するのですが、もし、物価上昇によって消費がより慎重になり、景気が悪化するのではないかと市場が警戒し始めると、金利上昇は抑制的になり、FRBの利下げ期待が復活するかもしれません。そうなると、ドル買いよりもドル売りの方が勝る可能性があります。このようなシナリオも想定しておいた方がよいかもしれません。
逆に、予想を下回った場合、関税の影響は小さいと市場は捉え、これまでの動きの反動がみられるかもしれません。金利は低下し、株は上昇し、FRBの利下げ期待が高まりドルは売られるかもしれません。
トランプ関税によって、FRBの追加利下げや日銀の追加利上げが遅れるとの見方からドル高・円安の動きとなっていますが、特に日本は米関税による輸出の減少によって貿易赤字が拡大し、消費税減税や現金給付などで財政支出が拡大する懸念や、景気悪化による日銀の利上げ時期後退観測などの円売り材料によって円安に動きやすい環境となっています。
つまり、州・地方自治体による教育関連の雇用が6万人超増え、夏休みに入る時期(6月は米国の学校では学年末)と集計期間の関係で教員の数が多く出たとの分析や、失業率の低下は、6月の労働参加率が62.3%に低下し2022年12月以来の低水準となっており、職探しをする働き手の減少(職探しをしない人は失業者として数えられず、「隠れ失業者」が増加)という側面があるとの分析もあります。
アメリカ消費者のインフレ期待が急速に高まっている。この点を示唆したのが、ミシガン大学の調査による2月の期待インフレ率(速報値)だった。1年先のそれは4.3%と2023年11月以来の高水準となり、前月の3.3%から急上昇した。昨年の米大統領選挙以降からインフレ期待が急速に高まっている。この状況はトランプ関税で物価が上昇することを消費者が敏感に感じ取っていることを示唆している。
昨日のドル/円は米長期金利の上昇を背景に152円台を回復した。本邦10年債利回りは1.43%前後まで上昇して15年ぶりの高水準を付けたが、米10年債利回りが4.55%前後へと上昇する中、日米長期金利差はむしろ拡大。一時152.22円前後までドル高・円安に振れた。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事とサンフランシスコ連銀のデーリー総裁が利下げに慎重な考えをあらためて表明したほか、トランプ米大統領は自動車や医薬品に25%前後の関税を賦課する方針を示した。これらに加え、今週行われる米長期債入札への需要を巡る懸念も相まって米債利回りが上昇。本日はNY市場で160億ドル規模の米20年債入札が予定されている。一方、東京市場では高田日銀審議委員の講演に対する注目度が高い。高田委員はタカ派と目されており、本日も追加利上げに前向きな発言を行うとの観測が強い。こうした中、本邦長期金利も上昇地合いが続きそうだ。ドル/円は日米双方の長期金利を睨んだ値動きとなりそうで、方向感が出にくい相場展開が予想される。下値のメドは151.00円および7日安値150.92円前後、上値のメドは200日移動平均線152.66円前後及び日足一目均衡表の転換線152.86円前後と見ている。
国内金利の上昇幅が拡大した一因となったのが、24年12月の毎月勤労統計調査(速報)だった。名目賃金(1人当たりの現金給与総額)は前年同月比で4.8%増の619,580円と、堅調な伸びを示した。2024年の実質賃金は前年から0.2%減となり3年連続のマイナスとなったが、昨年12月は前年同月比でプラス0.6%と、2か月連続でプラスとなった。日銀高官の発言も材料視されたとの見方がある。田村直樹審議委員は先週6日、長野県松本市の金融経済懇談会で「25年度後半には少なくとも1%程度まで短期金利を上げておくことが必要」との考えを示した。
・アメリカ物価指数の内容と国内金利の動向次第では、米ドル安と円高が同時に進行するだろう。このケースでは、瞬間的に148円台へ下落する可能性がある。テクニカルの面では、昨年9月30日の安値を基点としたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準148.23のトライが焦点となろう。この水準を今週の予想レンジの下限と想定しておきたい。
・円高の圧力が高まる状況で、FRB高官の言動と雇用統計をはじめとした経済指標が米金利の低下要因となれば、ドル円の下落幅が拡大することが予想される。今週、円高と米ドル安が重なる局面が多く見られる場合は148円を下方ブレイクし、146円台まで下落する展開を想定しておきたい。このケースでは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準146.14レベルの攻防が焦点となろう。
先週7日の国内債券市場で新発10年物国債利回りが1.3%へ上昇した。2011年4月以来、およそ13年10カ月ぶりの高水準である。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも0.8%を視野に上昇幅が拡大した。
3日に発表された6月米雇用統計がよかったこともドル買い要因となっています。非農業部門雇用者数が14.7万人増加と予想を上回り、失業率が4.1%に改善しました。ただ、この内容は慎重にみた方がよいとの分析もあります。雇用者増は季節要因で増加したとの見方です。
来週15日に発表される米6月消費者物価指数(CPI)によっては、相場の見方が変わるかもしれないため注目したいと思います。前月よりも上昇予想が多いようですが、もし、予想通りもしくは予想を上回った場合、トランプ関税の影響が出始めてきたと市場は捉え、金利は上昇し、ドルが一段と高くなるかもしれません。
米金利の低下幅が拡大したきっかけは、昨年12月の米コアCPIの鈍化にあった。ゆえに今回もコア指数の内容が米金利と米ドルの変動要因となることが予想される。コア指数が予想外に上昇する場合は、インフレ再燃のリスクが意識されることで、「米金利の反発→米ドル高」を想定しておきたい。特に先週の外為市場では、対米ドルで2.5%も円高が進行した。ゆえにアメリカの物価指数が米金利の反発要因となれば、今週は円高の逆回転相場を警戒する必要があろう。



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