日枝氏はこれについても反論する
インタビューの終盤、日枝氏は、当時フジテレビ副会長だった遠藤龍之介氏との間で起きた衝突についても言及しました。
また、遠藤氏が局長会で行った「爆弾発言」についても触れ、「自分を追い出すための演出だった」と日枝氏は語りました。
他方、長年にわたり日枝氏が人事権を掌握し、“独裁体制”を敷いてきたことへの批判も根強い。2017年に代表取締役を退任した後、相談役についてからも会長や社長の人事を決めてきた、と第三者委員会の報告書に記されている。日枝氏はこれについても反論する。
これに対して日枝氏は強く拒否したと語り、「すでに退いた人間が再び権力を握るべきではない」と答えたとのことです。
これに対し、日枝氏はインタビューで「意見は述べたが、強制はしていない」と重ねて否定しました。
しかし、第三者委員会の報告書には、日枝氏が相談役に退いた後も人事に強い影響力を及ぼしていたとの指摘があり、その認識のずれも注目を集めました。
ほかにも日枝氏は、第三者委員会の聴取の様子や、遠藤龍之介元副会長から取締役相談役の退任を迫られた際に遠藤氏が切り出した驚愕の提案、そして遠藤氏がフジの局長会で物議をかもした“爆弾発言”についても明かしている。
これに衝撃を受けているのは、フジ局内だ。それもそのはず。フジは7月6日に自社で検証番組「検証 フジテレビ問題~反省と再生・改革~」を放送したばかり。日枝氏の権力と責任についても検証したが、3回にわたった取材要請をすべて拒否していたからだ。フジ局員の話。
中居正広氏の性加害問題の余波もあり、過去の経営体質に遡って責任を問う声が噴出する中で、日枝氏本人が公の場に姿を見せないことは、批判に拍車をかけていました。
日枝氏によれば、かつてのテレビ局は社員同士の距離が近く、飲みの席やイベントを通じて関係を築く文化があったとのことです。
しかし、多くの場合株主総会では、「内規に従って支払う」といった抽象的な言葉で終わるケースが多く、実際の金額が公開されるケースは稀です。ましてや日枝氏のように、地方局の非常勤取締役などを多くやっていると、その株主総会が全部終わるまで総額はわからない仕組みになっているのです。
一方で、森氏はテレビ局との利害関係がなく、取材対象にも容赦しないことで知られる記者です。その森氏を相手に選んだことで、日枝氏なりの誠実さや覚悟を感じたという意見もあります。
日枝氏はインタビュー内で「黙っていることが会社にとってマイナスだと感じてきた」とも語っており、フジテレビに残された後輩たちにこれ以上の悪影響を与えたくなかったのかもしれません。
そして、日枝氏が現在でも役職を務めている会社・団体は、3月27日の辞任発表以前では(1)フジテレビジョン、(2)フジ・メディア・ホールディングス、(3)共同テレビジョン、(4)北海道空港株式会社、(5)NST新潟総合テレビ、(6)株式会社TOKYOTOWER、(7)彫刻の森芸術文化財団、(8)新日本フィルハーモニー交響楽団と8つあります(wikipedia調べ)。財団法人や社団法人の役員や顧問も10以上となります。
検証番組では「日枝体制の長期化」と題し、企業風土を形成する上で大きな影響を与えたと指摘。側近の1人だった遠藤龍之介元副会長が「いろんな決定事項において、もっとも影響力がある人事権を持っていたからですよ」と明かせば、2007年から13年にフジテレビ社長を務めた豊田皓氏は「役員の指名も報酬の決定も日枝氏が行っており、役員指名ガバナンスも役員報酬ガバナンスも機能していなかったことは事実だと思う」とまで答えている。


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