
午前の為替予想は… CPIは警戒したほどではなく米9月利下げ期待高まる FRB高官発言に注意
作成日時 :2025年8月13日7時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村勉
ドル円予想レンジ
147.200-148.400円
前日の振り返りとドル円予想
昨日のドル/円は約0.2%下落。米7月CPIと同コアCPIは強弱まちまちの結果となったが、市場が警戒したほどの伸びではないと受け止められ、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測が高まると一時147.58円前後まで下落した。
直近の米7月雇用統計や同CPIの結果を受けてFedWatchで見る9月の利下げ織り込みは約93%まで上昇している。本日は米国にて主力級の経済指標の発表は予定されていないが、複数の連邦準備制度理事会(FRB)高官が講演を予定している。特にシカゴ連銀のグールズビー総裁は今年のFOMCでの投票権を有するため、同氏の発言に注目が集まる。米早期利下げ観測からドルが売られやすい一方で、日本国内政治の先行き不透明感から円買いに大きく傾ける状況でもない。ドル/円は方向感を探りながら次の材料を待つことになりそうだ。
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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ドル円午前の為替予想 CPIは警戒したほどではなく米9月利下げ期待高まる FRB高官発言に注意
米リッチモンド連銀のバーキン総裁は、「米経済の先行きに対する不透明感は薄れつつある」としつつも、「連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制と雇用の下支えのどちらに重点を置くべきかは依然として明確ではない」との認識を示した。また9月の金利調整については「次回会合までに多くの情報が得られる」とし、予断を持たない考えを示した。その後、カンザスシティ連銀のシュミッド総裁は、「経済の勢いが持続し、企業の楽観的な見方が強まり、インフレが当局の目標を上回る水準に止まる中では、緩やかな引き締め状態にある金融政策スタンスを当面維持するのが適切だ」との見解を示した。一方で、需要の伸びが「著しく鈍化し始めた」場合には、自身の見通しを調整することは可能と付け加えた。
来週15日に発表される米6月消費者物価指数(CPI)によっては、相場の見方が変わるかもしれないため注目したいと思います。前月よりも上昇予想が多いようですが、もし、予想通りもしくは予想を上回った場合、トランプ関税の影響が出始めてきたと市場は捉え、金利は上昇し、ドルが一段と高くなるかもしれません。
現在、ドル/円は1ドル=148円まであと1円ほどの円安となっていますが、関税交渉や合意を受けて1ドル=148円に届く勢いがあるのか、あるいは関税交渉が煮詰まってきていることから関税の影響を受けた物価高懸念や、景気後退懸念の方が勝り、FRBの利下げ期待がくすぶり続けることによってドルの上値が重たくなるのかどうかに注目したいと思います。
逆に、予想を下回った場合、関税の影響は小さいと市場は捉え、これまでの動きの反動がみられるかもしれません。金利は低下し、株は上昇し、FRBの利下げ期待が高まりドルは売られるかもしれません。
3日に発表された6月米雇用統計がよかったこともドル買い要因となっています。非農業部門雇用者数が14.7万人増加と予想を上回り、失業率が4.1%に改善しました。ただ、この内容は慎重にみた方がよいとの分析もあります。雇用者増は季節要因で増加したとの見方です。
米政権からFRBに金利引き下げを求める声が高まっているのも早期利下げの思惑を高めている。トランプ米大統領は米CPIの結果を踏まえて「今すぐ利下げすべきだ」と強調。ベッセント米財務長官も9月に0.5%の大幅利下げを検討すべきだと語ったと伝わった。
12日発表された7月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.7%上昇し、伸び率は市場予想(2.8%)を下回った。トランプ米政権の関税政策がインフレを加速させるとの懸念が今のところは実現しておらず、市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを織り込む市場参加者が増え、円買い・ドル売りにつながった。
トランプ関税によって、FRBの追加利下げや日銀の追加利上げが遅れるとの見方からドル高・円安の動きとなっていますが、特に日本は米関税による輸出の減少によって貿易赤字が拡大し、消費税減税や現金給付などで財政支出が拡大する懸念や、景気悪化による日銀の利上げ時期後退観測などの円売り材料によって円安に動きやすい環境となっています。
ドル/円は、関税による物価上昇からくる金利上昇と米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測後退によってドルが買われ、また、関税による日本企業の業績悪化によって日本銀行の早期利上げ観測が後退したことから1ドル=146円台への円安となり、9日には1ドル=147円台の円安となりました。
従って、雇用統計発表後、FRBの利下げ期待は7月見送りとなりましたが、雇用統計発表後も9月利下げ期待は続いている状況になっています。
これらの動きをみて市場では、関税による物価上昇が嫌気され長期金利が上昇しドル高の動きとなりました。株はそれまでに最高値を更新する動きになっていたこともあり、金利上昇と景気への悪影響を警戒して下落しました。長期金利の上昇は、4日に米国下院を通過した減税法案を嫌気した面もあるようです。
トランプ大統領からの利下げ圧力は強まってきています。FRB高官からも7月利下げを示唆する発言が相次ぎましたが、実際に6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でどのような議論がされたのか、9日発表のFOMC議事要旨に注目です。
ユーロは対ドルで上昇している。8時30分時点は1ユーロ=1.1675〜77ドルと同0.0055ドルのユーロ高・ドル安だった。
昨日のドル/円は約0.2%下落。米7月CPIと同コアCPIは強弱まちまちの結果となったが、市場が警戒したほどの伸びではないと受け止められ、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測が高まると一時147.58円前後まで下落した。直近の米7月雇用統計や同CPIの結果を受けてFedWatchで見る9月の利下げ織り込みは約93%まで上昇している。本日は米国にて主力級の経済指標の発表は予定されていないが、複数の連邦準備制度理事会(FRB)高官が講演を予定している。特にシカゴ連銀のグールズビー総裁は今年のFOMCでの投票権を有するため、同氏の発言に注目が集まる。米早期利下げ観測からドルが売られやすい一方で、日本国内政治の先行き不透明感から円買いに大きく傾ける状況でもない。ドル/円は方向感を探りながら次の材料を待つことになりそうだ。
13日早朝の東京外国為替市場で、円相場は上昇している。8時30分時点は1ドル=147円79〜81銭と前日17時時点と比べて47銭の円高・ドル安だった。米物価指標が市場予想ほど伸びず、米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを決めると意識された。日米の金利差縮小を見込んだ円買い・ドル売りが優勢となっている。


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