
「ドル/円」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平
X(Twitter) : https://twitter.com/gaitamesk_ueha
最新のマーケット情報まとめ
<本日の見通し>
・想定レンジ: 147.300-148.500
・148.50は昨日の高値付近
・昨日のアメリカCPI結果を受けて148円を割り込む展開
・新たな材料がない限り、昨日の高値を上抜けるのは困難
<利下げ観測の高まり>
・9月の25bp利下げ織り込みは94%
・年内3回利下げの見方が40%超
・上値の重さが予想される
<テクニカル分析>
日足
・昨日は上ヒゲの長い陰線
・148円を割り込み、10日・20日線が抵抗
・RSIは50ライン上で上向き維持、下値にはある程度の硬さ
60分足チャート
・高値から約1円下落後、戻しが入る
・フィボナッチ61.8%水準が抵抗となり反落
・上値抵抗ゾーン:148.10-148.20付近
下値目標
・147.50(直近安値)
・147.35
<その他の注目材料>
・トランプ大統領、パウエルFRB議長に対する訴訟を検討
・米雇用統計、月次公表停止の可能性
・ベッセント財務長官、9月に0.5%利下げを検討すべき
・米欧ウクライナ首脳会合
<結論>
・基本戦略: 上値の重さを意識した戻り売り目線
・レンジ:147.35-148.50程度での推移を予想
・今週のPPI・小売売上高を見極めたいとの思惑から方向感は出にくいか
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『最新のドル/円相場を解説』
経済指標・イベントの結果について
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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・想定レンジ上限 ドル円 4日の高値148.09円が上値めど
次にボラティリティ、VIX指数を見てみましょう。雇用統計後、一気にVIX指数が上昇しましたが今週は総じて低下トレンドをたどりました。市場ではアメリカの利下げ観測が台頭し、ドル安が進みましたが、その利下げ期待が株式相場の上昇をもたらし、リスク回避色の緩和とともに円安圧力を高めました。その結果、雇用統計後にドル安が進んだものの円も冴えなかったことから両者が打ち消し合い、今週のドル円の横ばい推移につながったと考えられます(9ページ)。
来週のポイントです。まず雇用統計ショックが続いており、総じてドルの上値は重いと考えられます。但し、アメリカの小売売上高がよほど悪くなければ、アメリカでは期待インフレを支えに長期金利が横ばいないしは若干上昇していることから一段とドル安が進むことにもなりにくいと考えられます。先日のアメリカの雇用統計は日銀にとっても不確実性が高まる結果となりました。そこに加えて日本のGDP統計も冴えない結果となった場合、市場では10月の利上げ観測もありますが、そうした見方が後退し、円安気味に作用するイベントになりかねず要注意です。
このようにイスラエル・イラン戦争への楽観的な見方とFRBの利下げ期待からドル安となりました。
このような動きの中、24日、東京午前7時すぎ、トランプ大統領はSNSでイスラエルとイランが完全に戦争を停止することで合意したと発表したことからドル/円は1ドル=146円割れとなりました。その内容はイランの12時間停戦後、イスラエルが12時間停戦し、その後初めて「12日間戦争」が終わる(日本時間25日午後1時)とトランプ大統領は発信しています。
先週末の7月米雇用統計、7月ISM製造業景況指数に続いて今週に発表された7月ISM非製造業景況指数や新規失業保険申請件数なども予想より弱い結果となった。また、連邦準備制度理事会(FRB)関係者らの早期利下げを支持する発言が目立ち、先週末からのドルの重い動きが今週も続いている。ただ、昨日に発表されたニューヨーク連銀の最新調査でインフレ期待が上昇するなど、トランプ政権の高関税政策による物価上昇圧力が意識されており、積極的にドル売り地合いにもなりにくい。ドル円の下押し局面では実需の買いや短期筋の押し目買い意欲も強く底堅さも示されている。
こうしたことから米国の財政に対する懸念が和らぎ、タームプレミアムの拡大に歯止めがかかりつつあると考えられます。このこと自体は長期金利の低下を促す要因ですが、ドルにはポジティブな動きと捉えることもできます(7ページ)。
この抑制的な攻撃によって市場は楽観的になり、有事のドル買いで上昇したドルは売られ、23日の停戦合意報道の前に、既にドル/円は1ドル=146円台前半まで円高に行っていました。
また、8月雇用統計がそれほど悪くなければ、7月分の結果は指標のアヤであり、それほど米経済は悪くないとの見方から利下げ期待が後退すると考えられます。その一方、2カ月分続けて予想を下回った場合、利下げの織り込みがさらに進むことになります。具体的には年内3会合、全て利下げが行われる、または昨年同様、9月の利下げ幅が50bpになるといった見方です。このような場合、ドルにはもう一段の下落余地が出てくることから要注意です。
以上を踏まえると来週は総じてドルと円がどちらもさえない結果、ドル円は依然として綱引き状態となり、方向感は出にくいと考えられます。146円台半ばから148円台半ばで推移すると予想しています。一方、市場が大荒れとならない限り、ドルと円が弱い場合は他通貨が堅調に推移する結果、クロス円が引き続き上がりやすくなると考えられます。
さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)ボウマン副議長が「(関税政策が)インフレに与える影響はごくわずか」とした上で、「インフレ圧力が抑制されたままなら健全な労働市場を維持するために、次回7月の会合での利下げを支持する」と述べたことも株高、ドル安に弾みをつけたようです。
NYタイムでドル円は米長期金利や米株の動向を睨みながら147円台を中心とした小動きが続くと見込んでいる。ムサレム米セントルイス連銀総裁は7月に関税のインフレ高への懸念を示した。同氏は今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っている。
まずリスクプレミアムの一つであるタームプレミアムです。これは長期間、債券を保有することに伴い生じる価格変動リスクに対して投資家が求める対価と定義されます。このタームプレミアムが上昇するのは、いわゆる「悪い金利上昇」です。今年4月に相互関税の詳細が判明すると、ドル建て資産離れが意識され、米国債が値下がりし、長期金利が上昇しましたが、タームプレミアムを見る限り、この4月から5月にかけての長期金利の上昇はムーディーズによる格下げも相まっていわゆる「悪い金利上昇」だったことがわかります。
23日のボウマンFRB副議長の発言で7月利下げ期待が高まり、ドル安要因となりましたが、先週20日にはウォラー理事からも7月利下げの可能性を示唆する発言がありました。FRB高官からの相次ぐ7月利下げ示唆発言や停戦合意報道によって、7月29~30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ期待が高まりつつあるようです。
なおFRB理事にミランCEA委員長が就任することになりました。先述の通り、これまでにドル高を問題視する論文を出しており、ドル安誘導が一部では連想されています。ただアメリカは貿易収支の不均衡是正を主に関税によって進めていくとみられ、アメリカがドル安誘導を進めるとは考えにくいでしょう。
・想定レンジ上限 ドル円、4日の高値148.09円が上値めど。




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