
メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。
作成日時 :2025年8月15日15時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
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執筆:外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田 卓也
NZドル/円(4時間足)

※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照
先週のNZドル/円は週後半に反落
夏休みシーズンで取引に厚みがない中、方向感を欠く値動きが続きました。12日に88円台を回復すると13日には88.35円前後まで上昇。世界的な株価の上昇を背景に今月1日以来の高値を付けましたが、翌14日には87円台前半へと反落しました。この日は、米7月生産者物価指数(PPI)の上振れを受けてドルが買われる中、NZドルが売られた格好で、円も下落しましたが、NZドルは利下げ観測を背景に円以上に軟調でした。15日の東京市場では87.05円前後まで続落する場面もありました。
今週のNZドル/円の注目ポイントはRBNZ
NZ中銀(RBNZ)は今週20日の理事会で政策金利を3.25%から3.00%に引き下げると予想されています。もっとも、市場は25bp(0.25%ポイント)の利下げを90%あまり織り込んでいることから、利下げ自体にサプライズの余地は乏しいと考えられます。大方の予想通りに利下げした場合の焦点は、今後の利下げに対する中銀のスタンスということになりそうです。中銀は、前回7月に政策金利を7会合ぶりに据え置きましたが、声明で「中期的なインフレ圧力が予想通り緩和し続ける場合、委員会は政策金利をさらに引き下げる見通しだ」と表明しました。そうした中、市場では中銀は来年初めまで緩和を続け、2.75%で利下げサイクルが終了するとの見方が優勢です。今回の声明に利下げの打ち止めを示唆する文言があるか注目しましょう。
今週のNZドル/円の見通し
予想レンジ
85.750~88.250円
基調
方向感模索
今週の注目ポイント
☆8/20 RBNZ政策金利
・ 主要国株価、国際商品価格
株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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たとえば現在NZドルの金利は 日本円よりも高くなっています
長期的に運用する資産は、分散投資に向いた投資信託の利用が良いとされています。その一方で、余裕があれば資産の一部で、より大きな利益を狙うという戦略も考えられます。リスクを取る運用をするときに、手段のひとつとなるのがFXでのNZドル取引です。
投資対象としてNZドルに関心を持つと、まず知りたいのが日本円などとの取引レート。証券会社やFXを取り扱っているサイトでチェックが可能です。たとえば楽天証券の楽天FXトップページでは、ログインしなくても各通貨ペアのレートをみることができます。
参考までにあげておくと2018年の政策金利は1.75%でした。NZドルは先進国通貨のなかでも金利が高めなため、金融市場が後退すると買われやすい傾向があります。
2016年後半からの上昇は、トランプ大統領就任による政策期待から、米国株が上昇したことによります。投資家の間でリスクを積極的に取る動きが広がり、NZドル/円も大きく買われました。
2015年からの下落は、原油安や中国経済の失速、ニュージーランド準備銀行による利下げの示唆などが要因となっています。中国経済はニュージーランドの輸出への影響が大きく、NZドル/円の下落につながりました。また、その金利の高さからNZドルを保有していた投資家も多かったと思われますが、金利が下がる可能性が示されると、NZドルを手放す動きにつながったようです。
・NZドル(ニュージーランド)/円のこれまでの変動要因NZドル/円の上昇や下落といった大きな値動きには、それを説明する要因があります。10年チャートにはでてきませんが、実は2008年のリーマンショックで、NZドル/円は40円台まで下げました。その後の世界経済の回復により、2014年までは上昇が続いています。
たとえば現在NZドルの金利は、日本円よりも高くなっています。NZドル/円を買うと、日本円を売ってNZドルを買うことになるため、スワップポイントを受け取れます。2017年7月の数値をみると、NZドル/円を買ったときのスワップポイントは10,000通貨あたり1円と表示されています。楽天FXの場合、スワップポイントが付与されるのは、各営業日の終了時です。
それでは、FX(外国為替証拠金取引)などで取引されるNZドルの通貨としての特徴をみていきましょう。ニュージーランドのおもな輸出品となっているのは、乳製品や肉類、木材や果実類などでした。こうしたことからNZドルの値動きは、農林水産物の需要や価格の動向に左右されやすくなっています。
2012年から2021年のチャートをみると、下限が1NZドル60円前後、上限は90円前後となっています。ここ10年は60円から90円という30円の間で推移しているということです。
・NZドル(ニュージーランドドル)/円の近年の為替相場それでは通貨ペア、NZドル/円について、現在までのここ10年間の値動きについてみてみましょう。楽天FXのサイトではログインしなくても10年分のチャートをチェックすることができます。
そして2020年初頭の大きな下落は、新型コロナウイルスの流行によるものです。投資家の間には不安心理が広がりました。世界経済の停滞は輸出にネガティブな影響を与えます。NZドル/円も一時大きく値を下げましたが、その後はワクチンの普及などウイルス流行が抑制されるという期待から、大きく値を戻しています。
そしてもうひとつNZドルの特徴となっているのが、相対的な金利の高さです。政策金利を比較してみましょう。2021年7月の数字をみると、日本の担保コール翌日物が-0.035%とマイナス金利になっている一方、ニュージーランドの目標短期金利は0.25%となっており、コロナ禍で低い数字となっていますが、ニュージーランドの方が高くなっています。
・過去10年のNZドル/円NZドル/円の「10年」を選ぶと、月足のチャートが現れます。月足というのは、表示されているローソク足の1本が1カ月に対応するということです。また同時に曲線も描かれています。たとえば「単純移動平均(24月)」は、直近24カ月分の平均値をつないだもので、値動きの方向性を知ることができます。
同じオセアニア通貨の豪ドルは、鉱物などの資源価格に左右されやすいのですが、この点は豪ドルとNZドルの違いといえるでしょう。また、ニュージーランドのおもな輸出相手国となっている中国とオーストラリアの経済状況から影響を受けやすいことも、NZドルの特徴のひとつです。
通貨ペアというのは、売買する2つの通貨の組み合わせのことです。たとえばNZドル/円を買う場合は、NZドルを買って円を売るという取引になります。2017年7月のレートではNZドル/円は77円前後となっており、これは1NZドルを77円で売買できるという意味です。


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