米財務長官が日銀の金融政策に口出し?ドル円とS&P500、9月利下げ期待で明暗分かれる(今週の米国株・FX見通し)田嶋智太郎氏 2025/8/18 #外為ドキッ

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米財務長官が日銀の金融政策に口出し?ドル円とS&P500、9月利下げ期待で明暗分かれる(今週の米国株・FX見通し)田嶋智太郎氏 2025/8/18 #外為ドキッ
 

このレポートの概要:米国株式市場と外国為替市場の最新動向と分析
金融マーケットで永く情報発信を行っている田嶋智太郎氏が、米国株式市場の最新動向を詳しく解説します。

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“異例”の米財務長官発言

先週13日のベッセント米財務長官発言は「極めて異例」で済まされるものではなかった。同氏は「9月の0.5ポイントの利下げを皮切りに、そこから一連の利下げを実施できるだろう」と語り、同時に米政策金利について「今より1.5-1.75%ポイント低い水準にあるべき」との見解をも示したと伝わる。まるで金融政策当局者の発言である。
翌14日、同氏は「予測モデルが示す『中立』水準が現行金利より約1.5ポイント低いことを指摘しただけ」などと弁明したが、そもそも中立金利水準に意見すること自体が越権行為。結果、FRBの独立性が汚されただけでなく、市場にも大きな影響を及ぼした。

日銀の政策にまでケチ

ベッセント氏は「FRB当局者らが米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の2日後に発表された米雇用統計での“改定値”を事前に把握していれば6月と7月に利下げが可能だったのではないか」とも述べた。確かに、米国の非農業部門雇用者数の前月比の伸びが5月と6月の“速報値”から大幅に下方修正されたことを考えれば、ベッセント氏の主張にも一理はある。とはいえ、やはり今回は「トランプ米大統領に忖度した」との誹りを免れず、米財務長官の発言としても甚だ深謀遠慮に欠くものであった。
まして、同氏は日銀の植田総裁と話したことを明らかにしたうえで「日銀は後手に回っており、利上げするだろう」などという私見まで披露した。日銀が利上げ判断に踏み切れないのは、一つにトランプ関税を巡る先行き不透明な状況が続いたためであり、それこそ米政府関係者にケチをつけられる筋合いはまったくない。

「FRBは雇用を優先」と市場は判断

その前日(12日)に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)が、市場に9月利下げ期待を維持させる結果であったこともあり、市場では米利下げ期待の一層の高まりから米国株買いとドル売りにポジションを傾ける動きが強まった。14日に発表された7月の米生産者物価指数(PPI)が3年ぶりの大幅上昇となったことで、米利下げ期待は若干後退したものの、なおも9月の米利下げ確率は90%程度と高止まりしている。
FRBは「雇用」と「物価」の両面に配慮せねばならず、ことにトランプ政権下においてはその舵取りが「極めて困難」な状況にある。そこで、目下の市場は「ひとまず、雇用の安定の方を優先せざるを得ないだろう」との見方を強めている模様である。

米企業の収益力には低下リスク

結果、S&P500種は先週末15日に一時6481ポイントまで上値を試し、またも取引時間中の史上最高値を更新するに至ったが、そこには幾ばくかの“危うさ”が潜むと思われてならない。まず、7月のCPIについては市場関係者の多くが「どうやら関税の影響が本格的に出るのは8月以降になりそう」と解釈している。実際、多くの関税措置が8月に入ってから発効したわけで、市場では「米物価上昇がこれで終わるとは考えにくく、年内にインフレ圧力が一段と強まる可能性は大いにある」と見る向きも多い。
実際、7月のPPIは非常に強い結果であった。それにも拘らずCPIの上昇が抑えられているのは消費者への価格転嫁が進んでいないからであり、それは少なからぬ企業がコスト上昇分をマージンの圧縮で吸収しているからということになる。つまるところ、少し長い目で企業の収益力が低下する、あるいはインフレが再加速する公算が大きい。

S&P500週足チャート

パウエル議長は何を語る?

目下の市場の関心はジャクソンホール会議に向かっており、なかでも22日に予定されるパウエルFRB議長の講演内容に集中している。前回のFOMC後の会見では9月下げに消極的な姿勢を示し、その後にドル/円は一時151円近辺まで押し上げられた。後に発表された雇用統計やCPIの結果を得て、議長は姿勢を大きく転換してくるのか。
個人的には、ドル/円について基本的に戻り売り方針で臨みたいと考えており、上値は21日移動平均線(執筆時は147.71円処に位置)に押えられやすいと見る。なお、下値については146.70円処が一つの節目と考えており、仮に下抜けると先週14日安値=146.21円処が次の目安になると見る。

ドル円週足チャート

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yoshizaki.jpg田嶋智太郎氏
経済アナリスト 慶應義塾大学を卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券を経て、経済アナリストに転身。現場体験と綿密な取材活動をもとに、金融・経済全般から戦略的な企業経営、個人の資産掲載まで幅広い範囲を分析・研究。 WEBサイトで経済・経営のコラム執筆を担当し、株式・外為・商品などの投資ストラテジストとしても高い評価を得ている。 また、「上昇する米国経済に乗って儲ける法」など書籍も手掛けるほか、日経CNBCレギュラーコメンテーターも務める。

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米財務長官が日銀の金融政策に口出しドル円とSampP500 9月利下げ期待で明暗分かれる 今週の米国株

反響の大きさに驚いたのか、ベッセント長官は14日なって、「自分は中立金利のモデルの話をしただけで、FRBにその水準にしろと求めたわけではない」と幾分軌道修正しましたが、9月の0.5%引き下げを改めて求めるなど、圧力弱める気配はありません。

ところが、中央銀行のトップが慎重姿勢をキープしている間に、財務長官の口先介入で、金融市場はすでに9月の大幅利下げを織り込みにかかってしまったのです。こうなると、その「織り込み」を否定したり、まして利下げをしなかったりしたら、株価急落といった市場の混乱を招きかねません。パウエル議長は言いたいことが言えない状況に追い込まれました。

そのベッセント長官、翌13日にブルームバーグテレビで、「FRBは9月の0.5%利下げを皮切りに、そこから一連の利下げを実施できるだろう」と述べると共に、「どのモデルで見ても、おそらく1.5%から1.75%引き下げるべきだろう」と明言しました。

7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は5会合連続で政策金利が据え置かれた。一向に利下げする気配のないパウエル議長に対して米トランプ大統領はこれまで2度の解任騒動を起こし市場を混乱させたが、その後も利下げ要求メモを手渡したり、米連邦準備理事会(FRB)本部の改修工事視察後の会見で直談判したりした。トランプ大統領が「遅すぎる男」と非難し続けるパウエル議長だが、「関税の影響はなお不透明」「次回9月会合での利下げは決めていない」と早期利下げに慎重な姿勢を崩さなかった。

こうした質問をいまだに受けるが、間違った考え方だ。日本市場を含めて、世界の株式市場の方向性を決めるのはFRBの金融政策である。FRBは昨年9月にようやく0.50%の利下げを開始し、11月と12月は連続で0.25%ずつ利下げした。その結果、5.25%~5.50%だった政策金利は現在4.25%~4.50%の水準にある。FRBが昨秋に利下げを始めたことで逆業績相場から金融相場に移行した。今年に入ってから利下げされていないので中休みの状態にあるが、米国で利下げが再び始まれば本来の金融相場らしい動きが出てくる。

むしろこの日、ベッセント財務長官がFOXテレビのインタビューで「消費者物価の数字は素晴らしい。9月に0.5%利下げを検討すべきだ」と述べたことが、株式市場をさらに勢いづかせました。

9月の倍速利下げどころか、その後の連続利下げの必要性、さらにはターミナルレート(終着点)にまで、財務長官が具体的に言及するなど聞いたことがありません。株式市場が沸かないはずがありません。多くの機関投資家が運用指標の目安とするS&P500指数は、連日、最高値を更新しました。

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